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【 モナコを侮るな その1 】 [フランス]

【 モナコを侮るな その1 】 

ワシントン条約加盟国会議が、ドーハで開かれ、大西洋と地中海産のクロマグロの国際取引を禁止するモナコの案が否決されました。 ドーハと聞いて、嫌な予感がしたという日本人もいるそうですが、杞憂でした。しかし、オヒョウはドーハではなくモナコの名前に、嫌な予感がしました。

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国際会議では、しばしば吹けば飛ぶような小さな国が重要な提案をする事があります。実際には、それはダミー提案国で、背後には有力な国または多くの国が根回しをしている場合が多いのです。有力国同士が表舞台で衝突すると、収拾が困難になりますし、無用の反発を招くからです。

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かつて国連では、中華民国(台湾)を追放し、中華人民共和国を復帰させると同時に、安全保障理事会の常任理事国にするという重要な提案がなされました。背後にはソ連他、多くの東側国家と第三世界の国々の意向があったのですが、提案国はアドリア海に面した小国アルバニアでした。

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アルバニア案に対抗して、台湾の国連残留を求めるアメリカ案は、あっさり否決されました。当時のアメリカの国連大使はブッシュ(パパ)、日本の外務大臣は愛知揆一でしたが、アルバニア案が実は多くの国の根回しを経ていたのを把握しておらず、会議場で2人が愕然としていたのがTVに映っていました。

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余談ですが、国連発足時点ではまだ国がなく、その後一貫して国連の加盟国ではなかった中華人民共和国を復帰させるという表現は、おかしいのではないか?と子供のオヒョウは思いましたが、まともに回答してくれる大人はいませんでした。

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だから、小国モナコの名前を冠した提案も、実は大半の加盟国の賛成を取り付けた後の提案だとオヒョウは思ったのです。

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幸いにして、今回モナコの提案は否決され、日本の回転寿司からトロが消える可能性はなくなりました。しかし、それで本当に喜んでいいのか・・といえば、事態は容易ではありません。

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そもそもワシントン条約とは絶滅危惧種の生物種の保護を主眼としたものです。 大量に捕獲され世界的に産業としてなりたっているマグロ漁を議論するのに適した場とは言えません。 それに今回、反対派が勝利したのは、アフリカ諸国などに強い影響力を持つ中国が反対に回ったからです。

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中国の立場は明解で、自国の活動や産業が規制を受ける内容であれば、何事であれ反対します。そして中国では富裕層の間で日本食ブームが始まっており、マグロのおいしさに13億人がまさに気付いたところです。彼らは、これから自分たちが食べたいのに、規制されるのは困るので反対したのです。決して日本の意見に賛同したり、日本に同情したからではありません。

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中国が反対したというのは、どういう事か?これは、中国はこれから世界中でクロマグロを取りあさるぞ・・と宣言したのと同じ事です。これからますます豊かになる中国人は寿司を食いまくるぞ・・と宣言したのと同じ事です。

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それは、世界中でマグロの価格高騰と資源の枯渇を招く事を意味します。 

えっ?そんな大袈裟な・・ですか?既に、別の分野でこれに類した現象が発生しています。ここ数年で生産量が飛躍的に増加した中国の製鉄業は、世界中の鉄鉱石と石炭を買いあさり始めました。 その結果、鉄鉱石と石炭の値段は3ヶ月間に40%も高騰し、日本の鉄鋼価格を引き上げる要因にもなっています。 

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今、中国は自動車生産台数が世界一になりましたが、完成した自動車はその日からガソリンを消費しだします。中国の人々が日本やドイツなみに自動車を利用しだしたら、原油価格はたちまち100ドルを超え、CO2排出量は日本の数十倍になるでしょう。

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皆、その事はわかっているのですが、マスコミは大声で言いません。中国に遠慮しているのと、先進国の我々が後から来る国にクレームする後ろめたさを感じているからです。

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確かに、ふんだんにマグロを食べてきた日本人が、中国人に「マグロを食うな」とは言えません。 しかし、今回の否決により、短期的にはマグロの供給は減りませんが、長期的には逆にマグロ資源を失う事になります。 中国が日本に賛成するとは、そういう事です。

 では今回の提案国モナコとは・・どういう国なのか? 次号で管見を申し上げます。


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夏炉冬扇

こんばんは。
今日はちょっと「憶測」気味だと感じました。
お彼岸ですね。
by 夏炉冬扇 (2010-03-20 20:54) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様 コメントありがとうございます。

たしかにご指摘のとおり、今回は憶測をまじえております。
憶測が、私の予想違い、勘ぐりすぎになるか、予想的中になるか、
刮目して今後の行方を見守りたいと思います。
マグロ好きな方には、予想が外れた方がいいのですが。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-03-21 08:17) 

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