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【 地球温暖化対策基本法 批判 その2 】 [政治]

【 地球温暖化対策基本法 批判 その2 】 

地球温暖化対策基本法のポイントの一つは、家庭で太陽光発電した電力を、無条件で電力会社が買い上げる制度です。電力会社が自社の発電コストより高い価格で買い上げる事で、本来コスト的にペイしない太陽光発電を推進するものです。 

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しかし、この方法には問題点が2つあります。 

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新しい事業を考えた場合、最初は採算が合わなくても、しばらく辛抱すれば、量産効果や初期投資の回収などで収支が改善し、黒字になる場合があります。 その場合、最初は採算度外視で赤字操業する場合もありますし、公益性があれば行政が補助する場合もあります。ハイブリッドカーの初代プリウスの製造販売もその一例です。

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しかしその場合、将来必ず黒字になる目処が必要です。黒字化の目処がなく、だらだらと赤字の事業を続けても長続きしません。電力会社が、自社発電コストより高い価格で、家庭で発電した電力を買い上げる逆ザヤシステムは、本来期限を設けるべきであり、恒久的に続けるべきものではありません。

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かつて、国は生産者米価が消費者米価より高い逆ザヤの食管制度を維持していましたが、やがて破綻しました。同じことが電力でも発生します。

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もう一つの問題は、不公正感の醸成です。環境の為に国民に新たな負担を強いるというなら、それは一種の租税とも言えます。そして、新税を設ける時の基本は税の公平性が担保されているか?という事です。

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電力料金の場合、太陽電池パネルを設置した家庭は、売電する事で儲かります(或いは、一定年限で初期投資を回収できます)。一方、太陽電池パネルを持たない人は、電気料金の引き上げの形でその負担を一手に引き受ける形となります。 そこに不公平感が発生します。世の中には、集合住宅に住む人、借家に住む人、日照の少ない場所に住む人など、自分の太陽電池を持てない人が大勢います。その人達にとっては電気料金の値上げだけがふりかかってくるのです。

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かつて消費税が導入された時、売上高3000万円未満の零細な事業者は消費税の納付義務がなく、益税となる事が問題視されました。太陽光発電の場合は、逆に不利な立場の人が負担を被るので更に事態は深刻です。

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「 税の重きを憂えず、等しからざるを憂う 」という観点から見た場合、高コストの太陽光発電の負担を、電力料金に転嫁する方式には問題があります。

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では、なぜこの方式を採用したのか?お手本となる例がヨーロッパにあったからですが、その内容にオヒョウは首を傾げます。 具体的にはドイツの例です。以前のブログに書いた事と重複しますが、繰り返し書きます。

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昨年来、NHKも民放も、盛んにドイツの太陽光発電を紹介しました。ポイントは全て同じで下記の5点です。

1.ドイツで太陽光発電が普及しているのは、電力会社が発電した電力を買取るシステムが確立しているからだ。

2.その結果、太陽電池パネルを設置した人は、比較的短期間で投資が回収でき、喜んでいる。人々は自分たちが環境対策に参加していることに満足している。

3.その結果、太陽光発電が普及し、クリーンエネルギーの比率が高まっている。

4.太陽電池パネルメーカーのQセルズは高成長し、注目されている。

5.かつて、太陽電池の開発や製造で世界の先頭を走っていた日本は大きく遅れをとってしまった。ドイツと比べると全く情けないが、これは政府の政策がなっていないからだ。

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そしてTVを見ると、必ず6月のドイツの風景が映されます。そこでは若いカップルがパソコンで電力会社に売却した電力量を確認して、にっこり笑って満足する様子が登場します。まるで、マルチ商法でお客を勧誘する時や、深夜の通販番組で商品を紹介する時のようなわざとらしさ・・・です。

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しかし、まてよ。 この映像に世論を誘導する意図はないか?それらの番組を見ていると、おかしな点に気づきます。 それについては次号で申し上げます。


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