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【 地球温暖化対策基本法 批判 その3 】 [政治]

【 地球温暖化対策基本法 批判 その3 】

 ドイツの太陽光発電を紹介する時は、必ず5月か6月の風景が映されます。ドイツの夏は爽やかで、かつ日照時間は長いのです。(あまりに当たり前ですが・・)。

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太陽電池は、温度が高くなると発電効率が下がります。日照時間は長いけれど、気温がそれほど高くないドイツの夏は適しているのです。最も日照時間が長い季節に梅雨があり、梅雨明け後は高温になり、高湿度でパネルの劣化も早い日本とは事情が違います。

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では冬はどうか?ドイツの冬は暗く、日照時間は短くなります(あまりに当たり前ですが)。気温が低く、屋根に積もった雪はなかなか融けません。そして雪の積もった太陽電池は全く発電しません。一方で、電気暖房を用いるドイツでは冬期に電力消費のピークが来ます。 その時、太陽光発電は全く役に立ちません。

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つまり、ドイツの場合、太陽光発電もしくは自然エネルギーでの発電は全くの補助的な意味しかありません。本番では使用されないAuxiliary (AUX)でしかありません。ドイツでは再生可能エネルギーの利用が中心になる・・というマスコミの主張は誤謬です。太陽電池の普及は、強力な政府の後押しがあって実現していますが、財政難の中、政府補助の切れ目が縁の切れ目です。政策変更の後、Qセルズはあっというまに赤字に転落しました。

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そもそも、太陽電池パネルの製造というのはハイテクでも何でもありません。板ガラスを搬送するロボットとテーブルがあり、シリコンウエハーを切断する糸鋸があって、ハンダゴテがあれば、チベットでもニューギニアでも製造できます。実際、中国の内陸に太陽電池メーカーができています。これは、板ガラス加工工場を知っているオヒョウのよく知るところです。Qセルズのビジネスに感心する必要はありません。

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太陽電池の場合、重要なのはシリコンウエハーの製造であり、より高効率の電池素材の開発です。この分野ではまだ日本は遅れをとっていません。 ドイツは進んでいて日本は遅れている・・・というのは皮相的な見方です。

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ではマスコミが称える、ドイツのエネルギー政策全体はどうか?と言えば、こればもうメチャクチャです。 彼らの迷走は東西ドイツの融合時点から始まりました。

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もともと、ドイツは石炭を多く産出する国です。旧西ドイツのルール、ザール地区の炭田、そして旧東ドイツのザクセン炭田があり、石炭火力の比率が高かったのです。今後、石炭火力はCO2排出削減の為に減らさざるを得ません。 一方、もう一つの化石燃料である石油は、当然ながら全量輸入です。そして天然ガスは、ロシアからパイプラインで購入していますが、もしロシアの機嫌を損ねれば、何時でもバルブを閉じられる不安定な状態です。

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統一後のドイツで連立与党に入っていた緑の党は、強力に反原発を唱え、一時期、ドイツは原発廃止を打ち出しました。この時も日本のマスコミは褒めたたえました。「ドイツを見習え」と。不足する電力はフランスから買います。フランスは原子力で発電していますから、本当は同じ事なのですが・・・。

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つまり、ドイツは、天然ガスと石油は全面輸入、電力も一部輸入、自給できる石炭は使えない・・・という甚だ心細い状況です。東西統一後に、環境は重視するけれど、エネルギー自給を真剣に考えず、輸入すればいい・・と考えてきた結果です。期待できるのは、北部の海岸地帯などの風力発電(北隣のデンマークは風力発電の先進国)や、バイオエネルギー、そして太陽光発電ですが、ドイツ人の豊かな暮らしをそれらでまかなえるとはとても思えません。

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近年、ドイツは原発廃止政策を放棄し、原発推進に方向転換しました。 しかし、マスコミは決してその事を報道しません。ドイツの真冬の太陽電池の発電量を紹介しないように。


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おじゃまま

そうなんですよね〜。
原発の是非はともかくとして、太陽光にしろ風力にしろ、
ドイツはいい実験になったんではないでしょうか。

逆に日本は、太陽光をもっとうまく取り入れられる可能性を
模索すべき、でしょうか…。お説の不公平感は、その通りですね。
by おじゃまま (2010-03-18 11:02) 

笑うオヒョウ

今から30年ほど前に、太陽熱と太陽光の両方の利用に関して、実現の可能性(採算が取れるかどうか)を研究機関が調査した事があります。
その時の結論は、太陽熱はダメ。でも太陽光は可能性がある・・というものでした。しかし私はその結論に疑問を持っています。太陽熱についても使い方によっては、採算が取れます。今でも、屋根に太陽熱温水器を乗せた家がありますが、現在の技術なら、その上をいく活用方法(太陽熱で冷房するなど)が
ありえると思っています。 そのあたり別途雑文に書きます。またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-03-19 00:42) 

白熊パパ

原発と地球環境温暖化懐疑論については後日自分の拙いブログに
更新しようと思ってます・・・。
期待しないでお待ちください・・・。
by 白熊パパ (2010-03-19 02:31) 

笑うオヒョウ

白熊パパ様、 期待してまっております。
by 笑うオヒョウ (2010-03-19 02:42) 

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