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【 普天間飛行場の嘘 その2 】 [政治]

【 普天間飛行場の嘘 その2 】

議論する前に確認すべき事はたくさんあります。

1.沖縄の人々は米軍基地を望んでいないか?

素朴に考えた場合、自国内に外国の軍事基地があるというのは、無論愉快ではありません。米兵による犯罪もあり、また事件や事故があった場合、日米地位協定の為に、一種の治外法権が実現している事も不愉快です。 だから、他の事情を考えなければ、基地など出ていって欲しいというのは当然です。

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しかし、観光と第一次産業が主体の沖縄では、米軍基地での雇用は重要ですし基地から落ちるお金、それに政府からの補償金も重要です。軍事基地に限らず、嫌われ者の施設(原発、核処理施設等)は、全ての自治体から総スカンを食らいます。 それでも、結局どこかに落ち着くのは、不利益の埋め合わせとなる、補償金があるからです。

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沖縄でも本音としては、基地があるお陰で潤っている面があります。TVカメラの前では、建前しか語れません。だから誰もその事に触れませんが、普天間飛行場が沖縄県外に移転したら、経済的には大打撃です。マスコミは、普天間が沖縄から無くなった場合の雇用の喪失、地域住民の所得の減少量、GDPの減少率等を明示した上で、人々に判断を迫るべきです。 

全ての事柄には、必ず良い面と悪い面がある訳で、マスコミが、そのどちらかだけを取りあげて議論する時は、公平とは言えず、ある結論に誘導したい意図がうかがえます。

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名護市の市長選挙では、辺野古沖への受け入れ反対派が当選しましたが、選挙結果は意外に僅差で、経済的な観点から受け入れを認める人も半数近くいる事を示します。 オヒョウは、この選挙結果こそが実態を表していると考えます。

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2.米軍基地を硫黄島やグァム島に移せるか?

国外移転を主張する、社民党は本来、軍隊が嫌いですから、軍事面での事情については疎いのです。だからグァムや硫黄島でも良いではないか?と考えるのかも知れませんが、全く現実的ではありません。

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沖縄の海兵隊は、純粋に訓練の為に駐屯するのではありません。主として東シナ海、黄海で紛争が起こった時に迅速に対応するためにいるのです。 その現場にグァムや硫黄島からヘリコプターが駆けつける事はできません。 固定翼機の場合は、現場に到達できるかも知れませんが、片道に数時間を要し、到着が遅れるうえ、現場での作戦行動時間はごく限られたものになります。空中給油で対応することもできますが、作戦行動は著しく制約されます。全く非現実的です。

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グァム島は全島が要塞化されている訳ではなく、基地を拡大して普天間の部隊を受け入れる事はできるでしょうが、海兵隊はその機能を失います。 グァムの存在は、湾岸戦争やイラク戦争に於ける、ディエゴガルシア基地みたいなもので、戦略爆撃のB-52の発進基地にはなりえても、アジア紛争地で戦術的な対応をする部隊にはふさわしくないのです。

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硫黄島もグァムと同様ですし、結局日本の領地内という点では、沖縄と同じです。

かつて沖縄に拘っていた故筑紫哲也は、沖縄の米軍基地について

「そもそも日本の国内に外国軍基地が存在する事は、日本人の民族感情からみても問題がある・・」と言っています。

勿論、これは米軍基地憎しの観点から筑紫が言った詭弁であり、それなら、日本の自衛隊の基地なら良いのか? と訊けば、彼はもっと反対した筈です。 

彼の心の中では沖縄に駐留していいのは、人民解放軍だけだったのでしょう。

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もし、民族感情という観点から言えば、激戦地で多くの人が亡くなった戦場という点で、沖縄も硫黄島も同じです。沖縄から硫黄島へ移しても、この問題は解決しません。

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3.普天間をグァムや硫黄島に移した場合、誰が喜ぶか?

これは、沖縄県民でも米軍でもなく、中国政府または中国海軍です。中国の海軍は、沿岸型海軍から遠洋型海軍に、脱皮しつつあります。その場合、目の上のたんこぶは、東シナ海を塞ぐ形になっている、南西諸島や沖縄諸島です。 中国が台湾と軍事衝突したり武力解放する可能性は低下しましたが、その代わり太平洋の西半分を支配下に置きたいという覇権主義は強くなっています。 その場合の第一次防衛戦は、沖縄諸島のラインであり、第二次防衛戦はグァム島からマリアナ海域です。だから、沖縄の米軍がグァムに撤退すれば、大喜びです。

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普天間の機能を国外や遠隔地に移す提案をしている人達は、全て中国を利する形での変更を提案するという点で一貫しています。つまり、沖縄の人達をダシにして、基地の危険性をことさらあげつらい、中国にとって邪魔な軍事基地を排除したい・・というのが本音です。

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ではどうすべきか?オヒョウの提案は簡単です。

1.普天間基地は残す。

2.安全の為、基地周辺部の宅地や、商業用地は買い上げ、代替地を沖縄本島内のもっと安全な場所に確保して提供する。

3.軍事基地の雇用は従来とおりとする。

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これは、自衛隊小松基地の騒音対策で行われている事に近いです。軍事基地を持ってくると言えば、どこでも反発されます。それにまとまった広大な土地が必要になります。 しかし、市民の住宅地を確保する事であれば、問題解決は容易です。もともと市街地に隣接した基地が危険だから・・という理由だったのですから、それでいいのです。 本音ではとにかく米軍基地を遠隔地に追い出したい・・という人達は、当てが外れるでしょうが、本音と建て前が違う事が原因であり、自業自得です。

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もし、上記の案を採用しない場合、どうなるか?

鳩山首相は、昨年の衆議院選で、自民と違う政策を・・という事で、普天間飛行場の辺野古移転を白紙に戻す・・という公約を提示しましたが、別に他に案があった訳ではなく、口から出任せでした。

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5末末までに、地元の了解を得て、アメリカも納得する候補地や移転案を示せる可能性はなく、おそらく、鳩山政権は5月の期限到来と同時に崩壊総辞職するのではないか?と思います。

自分の資金問題を追究されて、嫌気がさして総理を辞職した細川政権と似た経緯をとるでしょう。それでも平成22年度の本予算を通過させる事ができれば、一応、鳩山政権として仕事をした・・という事になるでしょう。その後の政権は、多分普天間居座り案を提案するでしょう。

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それにしても社民党が、国外移転を主張するとは意外です。彼らは社会党時代、日米安保そのものに反対し、米軍基地は移転ではなく廃止を主張していたのではないですか? 彼らの宗旨替えについては論じませんが、日米安保の見直しに言及する人もいるようです。その辺りの話は、また別稿で。

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コメント 4

雪紘

基地移転での経済的打撃は大きいでしょうね。
父の実家は沖縄で、
兄弟の中には基地周辺で働いていた方もいたようなので。。。
地域住民にとっての良い面、悪い面を尊重しつつ、
政治的な話も出てくると、更にややこしくなってしまうのでしょうね;;
次回も楽しみにしております^^
by 雪紘 (2010-02-03 01:04) 

笑うオヒョウ

雪紘様 コメントありがとうございます。

どうも私には、人々がイデオロギーに縛られて議論しているように思えてなりません。何が沖縄の人にとって一番幸せな解決策であるかを考えず、人々をダシに使うのは、不善の行いと言うべきです。 これについて、また機会があれば、書きたいと思っております。またのコメントをお待ちします。


by 笑うオヒョウ (2010-02-03 13:23) 

おじゃまま

沖縄では、基地存続に賛成、反対が二分している、という話は
聞いたことがあります。しかし、同じ米軍基地でも、
フィリピンやスペインでは問題なく撤退した、しかも、
沖縄のような不愉快な事件は起こっていなかった、ということも
聞きました。真偽は分からないのですが、どうも、腑に落ちない。
なぜ、十数年に一度かもしれないにせよ、沖縄では悲惨な事件が
起こるのでしょうね?暴行事件、強姦事件などは、ひどいですよね。
そのあたりのことがよくわからないので、
(経済面はもっとわからないので、)
私には判断不可です。沖縄の人が決められたら、いいんですが。
by おじゃまま (2010-02-04 00:19) 

笑うオヒョウ

おじゃまま様 コメントありがとうございます。
オヒョウは、日本以外で米軍が駐留している基地をあまり知りません。

記憶に残るところでは、ドイツでは日本の様な摩擦はありませんでした。
(フランクフルト国際空港には、たしか今でも米空軍がいますよね)。

一方、話に聞くところでは、韓国では日本以上の摩擦があるそうです。
女子中学生が軍事車輌に轢かれた事故をきっかけに、韓国での反米軍感情が高まり、それを巧みに、ノムヒョン大統領が利用したというのを憶えています。

フィリピンでの撤退は、ピナツボ火山の爆発による降灰をきっかけにスービック海軍基地とクラーク空軍基地を放棄した事だと記憶していますから、
住民との摩擦は無かったのでしょうね。 でもその結果、フィリピンの西側の海域は、中国に取られてしまいましたが・・・。

このあたり、次回、ブログに書こうかと思っています。

またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2010-02-04 01:42) 

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