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【 普天間飛行場の嘘 その1 】 [政治]

【 普天間飛行場の嘘 その1 】

普天間基地(飛行場)の移転について、多くの人が議論していますが、どうも、前提条件が間違っている様に思えてなりません。人々が本音で語らず、敢えて建前論に固執し、また真実を知りながらそれを隠して議論する事はしばしばあります。 しかし多くの場合、その種の議論では実りある結論は得られません。

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具体的に考えてみます。

 1.市街地にある普天間飛行場は極めて危険ですぐ移転すべきか?

実は普天間飛行場は比較的に安全です。 過去30年を見ても、市街地にヘリコプターが墜落した事故が1件あるだけです。例の大学のキャンパスに墜落した事故ですが、この時も死者はでていません。

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同じ期間に、厚木基地では離陸した飛行機の墜落事故では日本側に死者が3人でています。沖縄の嘉手納基地でもB-52の墜落事故で多くの乗員が亡くなっています。民間飛行場では、その期間に羽田、成田、福岡、名古屋、但馬空港などで多くの死亡事故が発生している訳で、普天間が格別危険とは言えません。普天間を移設すべきというなら、もっと危険な民間空港は全て移転すべきという事になります。

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軍事基地の方が民間飛行場より危険だという先入観がマスコミにありますが、正確ではありません。 確かに軍用機に求められる安全性は、定期路線の民間航空機とは違いますが、軍用機とて安全を無視している訳ではありません。軍人だって死にたくはないですし・・・。

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2.軍事基地が市街地にあるのは誰の責任か?

沖縄県にある米軍基地は1950年代に現在の配置になっています。沖縄が日本に返還される前で、日米安保の前からです。基地は沖縄県民の土地を強制的に収容して造ったもので、民主的な手続きが取られた訳ではありません。しかし普天間飛行場ができた時、周囲は市街地ではなく農地でした。 基地の後に住宅や商店街、大学ができた訳です。そしてそこに暮らす人々には米軍基地の仕事で収入を得ている人も多いのです。 

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つまり基地の周辺に暮らす人は、基地の前から暮らしていた訳ではなく、またヘリコプターを近くで見たいから引っ越してきた訳でもなく、基地から補償金を貰いたくて引っ越してきた訳でもありません。 米軍基地で働く上で、基地の近くが便利だからです。もし普天間飛行場がなくなれば、多くの人達が失業します。マスコミも政党も敢えてこの問題に触れていませんが、この問題は実は重要な問題です。

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飛行場はそれほど危険ではなく、また住民は自発的に既に存在する飛行場の周辺に住み始めたのにもかかわらず、彼らを被害者とみなし、彼らの安全を確保するために、飛行場の移転が喫緊の課題とするのは、誤りです。しかし、民主党も自民党も社民党もその誤謬を前提に議論しています。普天間の議論の発端と前提は、果たして妥当なのでしょうか?

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普天間問題の発端となったヘリコプター墜落事故と似た事件が九州で発生していますが、その時は、少し違った展開になりました。

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今から40年近く前です。板付の米軍基地に着陸しようとしたファントム戦闘爆撃機が九州大学に墜落しました。乗員は脱出して無事でした。機体は建設中の電子計算機センターの建物に、ちょうどカスミ網にかかった小鳥の様にひっかかり、火事にもならず、機体も原形を留めていました。 炎が出なかったという事は、燃料切れで墜落したのではないか?とオヒョウは推測しますが、原因は公表されませんでした。

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問題はその後です。 墜落した機体を学生達が囲んでバリケードを築き、当局による回収を拒み、未完成の電子計算センターを学園闘争の拠点にしました。そしてマスコミは危険な米軍基地は出ていけ・・と叫びました。

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結局、板付基地の米軍は撤退し、今は民間機だけの福岡空港です。そして、何十年もしてから九州大学もキャンパスを移転しました。米軍撤退は、反米基地逃走に負けたからではなく、ベトナム戦争が終結したからですが・・・。結局、あの時のファントム墜落事件は、何も残しませんでした。当時、大騒ぎした人々は大まじめだったのでしょうが、時間が経って振り返れば愚かな活動です。

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あの騒動でオヒョウが受けた感銘とは、「電子計算機とは大型のビルディングを必要とするくらい大げさなものなのか・・・」という事だけです。その電子計算機も、今の卓上のパソコンより遙かにチャチなものでしたが・・・。

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普天間飛行場のヘリの墜落事故では、大学生は騒ぎませんでしたが、マスコミと左派系の政党が騒ぎました。 自民党政権もその意見を無視できずに基地の移転を決めた訳ですが、もし普天間の事故が政治的に利用されなければ、九州大学の時と同様、数年で忘れられたはずです。

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実は、オヒョウも米軍基地のすぐ近くで暮らしていた事があります。 シカゴ郊外のグレンビュー海軍飛行場( Glenview Naval Air Station )です。海から遠く離れたイリノイ州になぜ海軍基地があるのか?という点については、いずれ別稿で説明しますが、とにかくオヒョウ一家は基地のすぐ近くのアパートに暮らしていました。しかし、危険を感じた事はありませんし、断熱・遮音の窓ガラスから騒音が聞こえる事もありませんでした。

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時々、上空をフライバイするFA18ホーネットを見て、凄いなと感心したことはありますが・・・・。

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今、普天間飛行場に反対している人は、基本的に米軍基地全てに反対している人達です。普天間が危険だから移転せよと言った後は嘉手納基地にクレームするでしょう。沖縄にある米軍基地の全てを、或いは日本にある米軍基地を全て撤去するまで、この活動を続けるでしょう。

しかし、それが本当に良いのか? 次号でオヒョウの考えを述べます。

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夏炉冬扇

今晩は。
興味深く読ませて頂きました。
by 夏炉冬扇 (2010-02-01 18:38) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様 コメントありがとうございます。

沖縄、普天間の問題は大きいので、軽々にブログで結論を出せませんが、
ぼちぼち数回に分けて、記述したいと思います。

またご意見をお願いします。
by 笑うオヒョウ (2010-02-03 00:05) 

こんにちわ

普天間基地がなくなると、宜野湾市民の大半が失業と言うのは間違いだと思いますよ。
今では基地への経済依存は大幅に下がっています。
むしろ経済的に損失を被るのは、土地を日本政府に貸し、税金から賃料を得ている地主です。
ちなみに隣の北谷町では、米軍基地の返還跡地に商業地が集積し、変換前の10倍以上の雇用と経済効果をもたらしています。
これがそのまま宜野湾市に当てはまるとは思いませんが、街のど真ん中に軍用飛行場が居座るより遥かに大きな経済効果が生まれるのではないでしょうか。
民間空港ならまだしも、商業や物流に無関係の軍飛行場なんて、経済的には遥かにマイナスな土地利用方法です。
ましてやあれだけの人口密集地なので。


あと、基地があるから人が集まったというのも若干間違っていると思います。
沖縄の中南部は那覇を中心として、国道58号を伝って経済圏が一続きに繋がっています。
宜野湾市は那覇から国道58号を通って10kmちょっとの場所にあるため、那覇都市圏の一部として人口が密集したと考える方が自然です。

同じように、厚木基地の周りは、今では人口が密集していますが、かつては宜野湾市と同様、人口密集地ではありませんでした。
それが今では多くの人家が建ち並んでいます。
しかし、そこに住む住民は基地で働くために移り住んだと言うよりは、東京や横浜のベッドタウンとして拡大した場所にたまたま米軍基地があったと考えるのが自然ではないでしょうか。

確かに、コザ市(現沖縄市)のように宜野湾市も基地経済の影響を一時的に受けたことは確かな事実ですが、その影響だけで人口が密集したというのはちょっと強引な気がします。
現に、基地経済の影響が以前より薄れたものの、宜野湾市は沖縄市ほど酷い状況にはなっていません。



ただ、普天間基地だけが危険と言われてるのはおかしいというのは同感です(だからと言って、安全であるとは思いませんが)。
飛行場は全て危険です。
そのため、普天間基地を移設するなら、厚木基地や横田基地も移設すべきだとは思います。




ただ、政府が普天間基地だけを移設したがってるのは住民の意向だけではなく、米軍の強い意向があるためというのも事実です。
アメリカは米軍再編をしたがってますから。

だから、普天間周辺住民のことをワガママだと考えておられるようなら、それはちょっと違うんじゃないかなと思います。
by こんにちわ (2010-12-02 18:47) 

笑うオヒョウ

こんにちは様

コメントをありがとうございます。 早速、私の思いを書こうとしましたが、
長文になるため、ブログ本文に書く事にします。

あなた様のご意見に噛み合わず、反論や賛同にならない部分も多いかと
思いますが、何回かに分けて、私の沖縄に対する思いを書きたいと思います。 それぞれについてご意見をいただければありがたいと存じます。
by 笑うオヒョウ (2010-12-03 12:44) 

こんにちは

笑うオヒョウ様


コメントありがとうございます。

個人的には沖縄の人たちには同情する部分もありますが、それを自ら変えようとせず、文句しか言わない姿勢(一部の人だとは思いますが)は納得できません。
基地が居座ってるのは、日本政府やアメリカ政府だけの責任ではなく、沖縄県民自身の責任でもある(政府のやり方に不満があるなら、自ら打破する方法を考えるべき)のに、政府に対応を任せきりにした挙句、後から文句しか言わないのは卑怯だと思ってます。
政府は責任を持たなきゃならない立場で全体のことを考えなきゃならないのに、責任を放棄して好き勝手言って何の提案もしないのはおかしいと思っています。
また、好き勝手言う人たちを無条件に応援するマスコミもおかしいと感じます。

先日の知事選の低投票率を見てると、沖縄県民は自ら世の中を変えるチャンスを放棄してるんだから、こうなって当たり前だよねって思っちゃいましたね
by こんにちは (2010-12-07 13:35) 

NO NAME

こんばんは、読ませていただきました。少しコメントをさせて頂きたいと思います。

>ヘリコプターが墜落した事故が1件あるだけです。例の大学のキャンパスに墜落した事故ですが、この時も死者はでていません。
というこの文面を読んでびっくりしました。
この事でも充分撤去するに値する事件ではないでしょうか?死者が出てからでは遅くないでしょうか?
これは何を思ってそう思うのでしょう。この事件でも、もし基地がなければ防げた事ではないでしょうか?

基地があるから宜野湾に集まっているわけではないですよ。
宜野湾市はある意味、沖縄の中心にある場所だからです。
那覇市からも北部からも行き来しやすい交通の便利な場所にあるからです。ただそれだけです。
それに普天間は沖縄の人だけではなくアメリカだって必要ないと思っています。再編したいと思っています。

昔は北谷町も米軍基地でした、学校もなくてへんぴな処でもありました。ところが返還された直後もしばらくは58号線沿いからは瓦屋根の民家やその奥にある海までも見える程、何もありませんでした。はっきりとその風景を覚えています。
しかし返還されてからはどうでしょう、ご存知のように商業施設が出来き、たくさんの人が集まり学校が建ち観光客も来てくれるようになっています。
雇用がうまれ経済効果が生まれたと言ってもいいと思いますよ。
宜野湾市も本当だともっともっと発展してもいいと思っていましたが、そこまでで行ってないのは基地が問題ではないのかなとも思っています。きっと無くなれば商業施設がうまれ雇用が生まれるとおもいます。

私の知り合いや身内にも軍雇用員はいますが、民間で働くよりは給与がいいから働いているだけで、やりがいもないよって聞きます。
そういう事を聞くと、なんか違うんじゃないかなって思います。 民間で働くと給与が少ないと思っているからで、自分の欲の為に基地に居てほしいだけなんじゃないかなって思います。
もし日本人が基地の中で働いている人が一人もいなくても 基地はあった方がいいと思いますか?
本当の心の声を聞きたくなります。
 
 声を大にして基地反対だと言いたいけど、働いている方がいるから表だって言えない人がいるという事も忘れないでほしいです。


by NO NAME (2012-05-27 19:21) 

笑うオヒョウ

NO NAME樣 コメントありがとうございます。

以下に私の考えを書きます。ヘリコプター墜落事故1件で、基地が安全であると断言できる訳ではありませんが、他の軍事基地との相対評価に於いて安全である・・と申しているのです。 残念ながらヘリコプターとは不時着したり墜落したりするものです。そのヘリコプターを多数運用する飛行場としては安全である・・ということです。
墜落事故1件だけでも、基地の移設や廃止の理由とするのに十分ではないか・・というお話ですが、その優先順位を付ければ、過去の事故の件数から判断して、嘉手納飛行場の方を早く移転すべきだ・・という事になります。航空機全体を対象にその事故率を考えれば、岩国、厚木の方を早く移設すべきですし、普天間より優先順位が下がる米軍基地は横田と三沢ぐらいです。

ヘリコプターだけでなく全ての機械は危険です。その危険と、運用することで得られるメリットを天秤にかけて、後者が大きければ、人々は利用します。普天間のヘリコプターはその判断を元にして飛ばしているのです。米国では、病院のすぐ近くでドクターヘリが墜落したりしています。例え1機でも墜落するなら危険であり、排除すべきだ・・と言い出せば、ヘリコプターは飛べなくなってしまいます。もしドクターヘリが飛べなくなれば、それで失われる命はもっと多くなります。

更にうがった事を言えば、墜落現場となった沖縄大学のバックボーンには反体制があり、反米思想も基本にあります。敢えて沖縄大学が普天間の基地の近くにキャンパスを建設した背景には、何時かヘリコプター墜落のような事故が起こり、反米世論を盛り上げる材料になれば・・という期待があったのではないかと邪推できます。だって、沖縄大学は他にも土地があるのに、わざわざ普天間飛行場の近くに大学を設置したのですから。

普天間飛行場のすぐ近くにあり、その屋上に鳩山由紀夫も立ったという騒音で有名な小学校は、移転する計画がありながら、敢えて基地被害を象徴的に示すために現地に留めてあるといいます。犠牲になっているのは気の毒な小学生です。

問題の解決のしやすさで言えば、基地を移転するより、周辺の学校や住宅をより遠い場所に移転する方がはるかに簡単です。必要とするまとまった土地の大きさが全く違うのですから。

基地の雇用問題は、今の沖縄経済では矮小な問題とする考えもありますが、それほど単純ではありません。直接雇用されている人は少なくなっても、基地に食料や消費物資を納入する人々、基地に暮らすアメリカ人を客とするサービス業、その他もろもろの経済活動を念頭に置く必要があります。2010年代に入っても、全体として沖縄経済が米軍基地に依存する体質から脱却できているとはとてもいえません。無論、今より貧しい暮らしを甘んじて受け入れる・・というなら話は別ですが、今の沖縄は貧困化を許容できる環境にはありません。

鳩山由紀夫も亡くなった筑紫哲也も、奇妙な事を言っています。
「そもそも、自国の領土の中に外国の軍隊が駐留していることは異常ではないか?」
これは、国民のナショナリズム(国粋主義)に訴えて米軍基地存在の不当性を訴える論法のようですが、彼らの本音は別のところにあります。彼らの説によれば、嘉手納や普天間が自国の軍隊(つまり自衛隊)の基地ならいいのか? ということになりますが、彼らはそれも認めないでしょう。

彼らが許すのは、非武装で軍隊の無い沖縄だけ・・と言いたいところですが、微妙に違うのかも知れません。米軍や自衛隊が存在しなければ、中国が侵攻してくることは火を見るより明らかですから、米軍、自衛隊が撤退した後の沖縄が、中国に占領される事を念頭に於いて、発言しているのでしょう。 彼らは中国に支配された沖縄を是とするのか?
鳩山は、アメリカが懸念する内容の発言を繰り返した後に、大統領から真意を質されて、「トラストミー」と発言したそうです。そして今になって米軍基地存在の異常性や不当性を公言しているのですから、何をか言わんやです。彼が一貫して、沖縄問題について米軍基地排除論を展開しているのなら聞くに値しますが、単に沖縄の人に耳ざわりのいい発言をしているに過ぎません。沖縄もまた、民主党の選挙戦略に利用されたのです。

外国の軍隊が駐留するのが適切かどうかは、別稿に譲りますが、これは20世紀でも21世紀でも特に珍しい事ではなく、当たり前のことです。
ドイツにも英国にもイタリアにも、スペインにもトルコにも韓国にもサウジアラビアにも・・世界中に米軍基地はあります。もっとひどいのは筑紫哲也も愛した旧ワルシャワ条約機構の国々で、東ヨーロッパの国はソ連の戦車が行軍する国でした。いやワルシャワ条約機構だけではありません。私は以前フィンランドのヘルシンキ空港で離発着の訓練をするロシア軍の飛行機を見ましたし、ベトナムのカムラン湾は長い間ソ連海軍基地でした。
ロシア/ソ連はごく当たり前に外国に軍隊を置いています。

軍事活動がグローバル化する中で集団防衛の概念はますます重要になり、国境を超えた軍隊の配置を考えるのは、必ずしも不合理ではありません。

沖縄問題については、今週中に一度書きたいとおもいます。
次のコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2012-05-27 23:17) 

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