SSブログ

【 JALの再建について 】 [政治]

【 JALの再建について 】 

新内閣で前原国交相は一番頑張っている人かも知れません。誰がやっても対応が難しいダム問題も、敢えて火中の栗を拾って奮闘しています。そして、日本航空の再建問題でも、かなり迅速な対応をしています。

・・・・・・・・・

果たして、自民党政権だったらうまく対応できたか・・?これは誰にも分かりません。しかし、バブル崩壊後に破綻した日本長期信用銀行などの政府系銀行の処理をみると、驚くほど安い価格で外資に売却し、彼等を大儲けさせる一方で、債務の尻ぬぐいを国民の税金で行っています。それを考えると、自民党政権下ではJALの再建もうまくいかなかったかも知れません。長期債務だけを国が引き受け、価値のある部分は全てアメリカン航空かデルタ航空に捨て値で売却した可能性があります。

・・・・・・・・・

前原氏の命を受けたタスクフォースは、資産内容の洗い出しと評価を全速力で行っていますが、企業の再建手続きでは、これが一番重要です。何をおいても、今その会社にどれだけの資産があり、どれだけの債務があるのか・・・机上の電卓1個に至るまでの、精確な貸借対照表を作る事が最優先です。破綻した会社というのは、えてして貸借対照表が不正確だったりPLが粉飾されていたりするのだそうです。

・・・・・・・・・

しかし、航空会社の場合、資産価値の評価が非常に難しい様です。例えば飛ばしている飛行機の価値をどうみるか?路線を縮小し、不要になった航空機を中古機として売却する場合、幾らで売れるのか? 航空業界という狭い世界では、買い手もライバルの航空会社かリース会社です。 1機や2機単位の売り買いは、日常的に頻繁に行われますが、日本航空の様な大会社が、一挙に航空機を放出するとなると、中古機市場の価格相場は暴落する可能性があります。それに日本航空が破綻しかけている・・・と思われれば、足下を見られます。 査定価格と実際の売却価格に乖離が生じれば、再建も困難になります。

・・・・・・・・・

特に日本航空は世界最大のジャンボジェット機のユーザーですが、今時、この飛行機をもてあまさずに、使いこなすエアラインは多くありません。 そして飛行機は単体では意味を持たず、それを操縦できるパイロットや整備士、部品などとセットでなければ価値を持ちませんが、まさか、B-747の操縦免許を持ったパイロットごと、売却したりリースするなんて事を考えている訳ではないでしょうね。

・・・・・・・・・

もし、そんなウルトラCができるようなら、再建は容易でしょう。前原氏が送り込んだタスクフォースが、固定資産や有価証券などの資産評価をどんなに厳密に行っても、百億円以上する航空機の扱い一つで、資産価値が何十億円も変化してしまうのでは、無意味です。

・・・・・・・・・

そして、日本航空が持つ無形の資産の価値をどう評価するかは、航空業界の専門家でなければできません。 有力な空港にどれだけの発着枠を持つか、ドル箱となる国際線の便を何本持つか・・・、これらの権利を他の航空会社に譲渡する場合の代価は、業界のプロでなければ決められません。 実は米国では、航空会社の吸収合併は日常茶飯ですし、ビジネススクールでM&Aを専門的に研究したMBAもたくさんいますから、この作業は可能です。しかし日本にはこの分野の専門家はいません。航空業界の専門家を排除したタスクフォースに本当にその作業ができるのか?スーパーマーケットのダイエーの再建とは訳が違うのです。

・・・・・・・・

おそらく、米国企業に日本航空の有形・無形の資産を売却するとなると、とんでもない安値で買い叩かれてしまうでしょう。

・・・・・・・

ではオヒョウの提案は何か・・・。それは、日本政府が受け皿となり、半官半民の航空機のリース会社を設立し、日本航空の飛行機を妥当な価格で買い取り、パイロット付きで、新会社の日本航空に貸し出す方式です。 パイロットもリース会社に籍が移り、準公務員的な性格になります。 新日航が必要としない機材については、エア・ドゥや、スカイマークエアラインに貸し出しても結構です。勿論、大韓航空や、中国東方航空に貸し出してもOKです。そうしてお金を回収するのです。慌てて飛行機を売却するよりは安全です。中古機市場の相場を暴落させる事もありません。

・・・・・・

但し、日本政府にも航空機リースのノウハウなどはありませんから、大手総合商社にも出資を仰ぎ、航空機のリースや販売ノウハウを持った人材を集めて事業を行うのです。

・・・・・・

アジアの航空業界は、これからも成長しますし、航空機の需要はますます増大します。しかし、航空機は急には調達できませんし、パイロットもすぐには養成できません。 資金調達の問題もあります。だからリース市場はこれから成長が見込まれるので、日本政府がバックアップするリース会社が収益を挙げる余地はあります。

・・・・・・・

それにしても、前原大臣は、なぜ再建に取り組むチームにタスクフォースなどという気取った名前を付けたのでしょうか。 日航再建特別チームという名前でも良いではないですか。ビジネス用語では、タスクフォースとは、ある目標の為に適切な人材を集めて編成した目的集団の事です。 だから間違った名称ではありませんし、松下政経塾ではタスクフォースという呼び名を多用するのかも知れませんが、オヒョウの理解は違います。

・・・・・・・・・

アメリカで一般に言われるタスクフォースとは、米海軍の機動部隊の事です。 真珠湾攻撃で空母を中心とした艦隊の威力に驚いた米国は、複数の空母と艦載機、それを護衛する水上艦や潜水艦、補給部隊で構成される、タスクフォースを考案しました。 できて間もないオペレーションズリサーチの手法を用い、科学的に計算して最適化された部隊です。

・・・・・・・・

つまり、最短で日本に到達し、いかに効率的に日本人を殲滅し、いかに早く日本を壊滅させるかを、綿密に研究した結果がタスクフォースです。日本人がありがたがって使う言葉ではありません。

・・・・・・・・

だからね・・・前原さん、変に気取ってつまらんカタカナ英語を使わないでくれ。日本航空をアメリカ資本に売り渡す積もりでないのなら。新内閣が、首相以下、皆さん英語が得意なのは、よく分かったから。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

Dr.Y.

日航問題、さいきん共産党員?のY崎T子の小説映画化も話題になっているように、禄でもない企業だという見方がようやく定着しつつあります。私は海外旅行経験が稀少な人間ですが、ANAや海外での他のエアラインを若干経験して、JALほどサービスが悪く、乗務員が尊大な航空会社はないと思っています。
それでも、潰すべき、という世論が大きくならず、新政権が“タスクフォース”など立ち上げたのは、何なのだろう?、と個人的にはいぶかしんでおります。あまり考えたくない仮定ですが、自民党政権のままだったら、もっと血税をつぎこんだ救済策がされたのだろうか? ちなみに、タスクフォースは原義がORかどうかは別にして、割合一般化している横文字語では?
by Dr.Y. (2009-10-22 12:25) 

笑うオヒョウ

Y博士さん、コメントありがとうございます。最近、どんどん長文になってしまい読みづらかろうと思います。お詫びする次第です。
Y崎T子が共産党とは知りませんでした。・・・私は彼女の「白い巨塔」を面白いと思いましたが、他の作品は、いまひとつ好きになれません。
松田章一先生は、「華麗なる一族」は面白いと語っていましたが、オヒョウは鉄鋼業の現場を少し知っているので、作者の知ったか振りが気になって、面白くありませんでした。 溶接火花の爆発で、建設中の高炉が吹っ飛ぶはず無いじゃないか・・・。 済みません、脱線しました。 今のままのJALならいらない・・という考えは貴兄と同じです。その点はいずれブログに書くかも知れません。 ところでタスクフォース・・という言葉、確かに日本で既になじんでいますね。 機動部隊をイメージする人は少なそうですが。
またコメントをお願いします。
by 笑うオヒョウ (2009-10-22 18:06) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。