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【 ハブ空港異聞 その1 】 [政治]

【 ハブ空港異聞 その1 】 

前原国交相がTVで盛んに「日本にハブ空港が無い。だから羽田をハブにする」と語っています。 

でもちょっと待てよ。 国内線の地図を広げてみます。多くの国内線の航空路は羽田に繋がっていて、まさしく国内線のハブ空港と言える存在です。

 「『全ての道はローマに通ず』と言うが、『全てのローカル空港は羽田空港に通ず』とも言える。既に羽田は立派なハブじゃないか」 

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更に彼は「アジアのハブは韓国の仁川に取られた」と言っています。確かに、日本のローカル空港から仁川に飛ぶ路線は数多くあります。もうじき完成する茨城空港は、ほとんどのエアラインから総スカンを食いましたが、ちゃっかりアシアナ航空を招く事には成功し、茨城から仁川には定期便が飛ぶようです。

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でもだからどうだというのでしょうか?韓国の空港を、日本人を含め、アジアの多くの人が使うからといって、それが日本にとってどうして問題なのか・・・・?

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前原氏が(多分、国交大臣になってから覚えた)ハブ空港という言葉は、多分アジア地域の国際線ハブという意味なのでしょう。 そして国際線と国内線の両方が乗り入れていて、相互に乗り換える空港という意味なのでしょう。 しかしハブ空港という言葉を国際線も含む場合だけに使うなんて聞いた事がありません。 そしてハブ空港が国際線と国内線の乗り換えに使う空港を意味する・・なんてのも初耳です。実は、前原氏の考える定義に最も近いのは、「ハブ空港」ではなく「アジアゲートウェイ構想」でしょう。

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この構想は広く知られていますが、航空行政の専門家轟木一博氏の著書「 飛行機は誰が飛ばしているのか(日経プレミアシリーズ)」にも紹介されています。北米あるいは欧州から来た旅客が、まずアジアゲートウェイの空港に降り立って、しかる後に近距離国際線または国内線で目的地に飛ぶという発想です。その説明の前にゲートウェイ・・について考えます。 

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ご存知の通り、米国の開拓時代、人々は東部から西部へ移動しました。ミシシッピ河を渡り、ここからは先が西部だ・・・という町がゲートウェイシティです。ゲートウェイと呼ばれる町は幾つかありますが、有名なのはセントルイスです。同市には独立200年記念の巨大なアーチもあり、ゲートである事を象徴します。 

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中国でも、東からの旅人が、ここから先は西域とした境界の町が幾つかあります。 西安の北にある渭城、万里の長城の最西端にある嘉関などが該当するかも知れません。

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しかし、欧州には、ゲートウェイはありません。 それは、ある境界を挟んで、片方が文明世界、片方が未開地という関係になかったからです。敢えて言うなら、大昔、ローマ帝国に支配された地域と、それ以外の地域に分けた場合、両者の境界部の関門にゲートウェイは存在したかも知れません。 

そうすると、ゲートウェイとは、文明世界から未開地への入り口の意味なのか・・・。つまり、轟木氏の唱える アジアのゲートウェイ(=前原氏のアジアのハブ)とは、文明世界の欧米から未開のアジアに入る入り口という意味なのか・・・。 ちょっと嫌だな。

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そこでゲートウェイという言葉を使わず、一応、前原氏の用語に従い、アジアのハブ空港という名称を用いて、その具備すべき条件について考えます。 

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前原氏は、24時間空港がどうのとか、4本目の滑走路がどうの・・と言っていますが、それは、必要条件の一部に過ぎません。もっと重要な事情があります。

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前原氏は、韓国の仁川空港の設備が立派だから、ハブ空港になったと言いますが、それは嘘です。 金浦空港の時代からハブ的な使い方をする旅行客はたくさんいました。日本から北米に、或いは欧州に行く際、韓国金浦空港経由の日本人は昔からたくさんいます。 大韓航空機が樺太上空で撃墜された時も、日本人乗客が20人ほどいました。 仁川になったからではないのです。

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韓国だけではありません。日本から欧州へ旅行するのに、上海浦東空港で乗り換えて、中国のエアラインを利用する人もいます。浦東空港は24時間空港ですが、つい最近まで滑走路は1本しかありませんでした。前原さんのいう「ハブ空港の条件」など関係ありません。どうして人々は、成田や関空から直接欧州や北米に飛ばないのか? 

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それは、単に中国や韓国のエアラインが安いからです。空港側から見れば、着陸料が安く、エアラインへの公租公課が少ないからです。滑走路の数は・・・あまり関係ありません。もし、成田や羽田から欧州や北米に飛ぶ、直行便の利用者を増やしたければ、着陸料を下げ、航空運賃を安くする方策を講じるべきです。 

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もし、着陸料や、航空運賃や、滑走路の数、騒音問題を考えなければ、アジアのハブ空港はどこがいいのでしょうか?オヒョウは、札幌(新千歳)か仙台が適当だと思います。それは単に緯度が高いからですが、その理由は、次号で申し上げます。 


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