SSブログ

【 産業を嫌う行政 その3 】 [ビジネス]

【 産業を嫌う行政 その3 】

 民主党の代表、つまり次期首相が理科系の学問を専攻したことから、理科系の宰相として、従来の宰相とは異なる能力を発揮するのではないか?・・という声がありますが、オヒョウは「そりゃ政治手腕・行政手腕とは関係ないでしょ」と思います。

ただ自然科学系のこみ入った問題を部下から説明された時の理解は早いかも知れません。

具体的には科学技術開発問題や環境問題が対象ですが、全てを自分で判断する訳ではなさそうです。今回のCO2削減目標の設定に当たって、鳩山氏が自ら計算・確認して25%という数字を出したものとは思えません。

CO2を削減する具体策を、全て列挙し、その効果を積算して削減可能な値を出す積み上げ方式ではなく、始めに目標値ありき・・だからです。 しかし、根拠無しにデタラメの数字を世界に対して公言していいのか・・という事になります。

おそらく、民主党としては、「そう言うけれど、自民党の頃だってそうじゃないか。科学的に検討して決めた事柄なんて殆ど無いぜ」と論点をずらすかも知れません。 

そして、自民党も民主党も、最後の手段を考えます。

「 ゴタゴタしたら金で解決すればいいだろう 」 そう、CO2削減プロジェクトの、一番胡散臭いところは、最後は排出権取引という形で、お金で解決できる事です。

・・・・・・・・

下品な表現ですが、世の中には、たかる国とたかられる国があります。第二次大戦後、一貫して途上国や低開発国は先進国からお金や物資の援助を受けてきました。

多くの途上国の政治リーダーは、どこかの先進国または大国とコネを持ち、そこからお金を引き出す事で、権威を保ってきました。しかしその事で、援助は貰いっぱなし、借金は返さない・・・それでいていっこうに国は豊かにならない・・というモラルハザードを引き起こしてきたのも事実です。 

それらの集大成というか締めくくりが、CO2排出権取引です。 

以下、言葉は悪いですが・・・、これによって、発展してこなかった国(換言すれば怠けていた国)が、濡れ手で粟の大金をせしめる事ができるのです。しかも、先進国に文句を言い、被害者面で振る舞う事ができるのです。

・・・・・・・

日本の場合、第二次大戦とその前の植民地経営の事情から、一貫してアジア諸国に償いをする立場でした。しかし、戦争後60年以上が経過し、そろそろ、戦前と戦中の行為を理由に日本からお金を引き出すのが難しくなってきました。 

そこで新たにお金を巻き上げる手段として、CO2排出権取引が登場する訳です。 この取引は、アジア諸国にとって、単にお金が貰えるだけでなく、砂漠を緑化してもらったり、再生可能なエネルギーの技術を無償供与してもらったり、いいことずくめです。

・・・・・

そして、友愛を旗印に掲げる、民主党政権は、アジア周辺諸国にひたすら迎合し、事をあらだてない事を旨にします。 

余談ですが・・・・、鳩山の掲げる友愛の意味がよく分かりません。フランス革命で謳われた「自由・平等・博愛」の内、最後の「博愛」は誤訳で実は「友愛」だという人がいます。 全ての人を博く愛するのではなく、友だけを大切にし、敵(反革命勢力)を愛さないのが、友愛だとしたら、鳩山にとって友は誰か、敵は誰か?という事になります。そして、友とはアジア周辺諸国、敵とは米国ではないか?と米国の人々は心配しています。

・・・・

話を元へ戻しますが、CO2排出削減目標で、国家間に極端な差を設け、得する国と損する国を明瞭に分けたのは、京都議定書からです。その際、一番損をする立場に追い込まれたのに、嬉々として署名したのは、ええかっこしいの日本です。 鳩山民主党政権は、外国に嫌われず波風を立てない事を第一に考えますから、今回もマイナス25%という数字を示して、外国から驚嘆されるでしょう。 しかし、諸外国は日本を尊敬するのではなく、実は呆れてバカにするのでしょうが・・・。

そして、日本の産業界と、負担を強いられる国民は、再びええかっこしいの犠牲になります。 どうやら日本の産業界は少なくとも、鳩山の友愛の対象ではないようです。


nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 4

yoshimi

こんにちは。排出権取引の新聞記事とか解説を読んでいた時に、金融・投資関係者がCO2削減目標強化を支持していると書いてあって意外だったのですが、その理由は、削減目標を高くするほど排出権取引がビジネスとして成り立つからだそうです。
日本は排出権を買う側なので、目標にショートしそうだと、足元を見られて高く買わされる羽目になりそうな気もします。
表面上の削減目標数値だけは、”恥ずかしくない”(と誰かが言ってましたが)カッコよい数字でも、結局、カモがネギをしょって....みたいな構図に見えないこともないですね。

by yoshimi (2009-09-15 23:48) 

笑うオヒョウ

yoshimiさん コメントありがとうございます。 返信が遅くなり申し訳ありません。 なるほど、排出権取引をビジネスチャンスと見る人には、高い目標値は歓迎なのですね。 よくわかります。 例えば同じ住友グループでも、
鉄鋼の住友金属は高い目標設定に困りますが、住友商事は排出権取引で儲かりますから、歓迎となるのですね。 でも結局メーカーが衰えたら、日本は困ると思うのですがね・・・。 この件については、また別稿で述べたいと思います。 これからもご愛読をお願いします。
by 笑うオヒョウ (2009-09-18 00:58) 

yoshimi

こんばんは。やっぱり首相は国連の場で25%削減なんて言ってましたね。アクションプランも工程表も作っていなかったようなので、これから具体化策を練るとニュースに書いてました。この度胸の良さとポジティブ思考(というか楽観主義というか)はなかなか類稀なるものがありますが、実行する立場の人たちは大変です。
目標年度は2020年なので、提唱した党がその時に政権を握っているのか怪しいものがありますが(言いっぱなしで終るかも)、削減率の進捗状況を見ていれば、ここ5年くらいで目標達成できるかどうかの目処は立つんじゃないでしょうか。今はどんな具体化策が出てくるか興味津々です。

by yoshimi (2009-09-24 23:55) 

笑うオヒョウ

yoshimiさん、コメントありがとうございます。
以前、エネルギーを大量に使う工場で働いていたオヒョウとしてはCO2削減25%の数字に驚き、為政者は現場を知っているのだろうか・・?といぶかしく思った訳です。でも考えてみれば、これは現場を知っているか知っていないかの問題ではなさそうですね。
CO2を25%減らす場合の国民負担は、一人当たり幾ら幾らと、金額で算出されると、全ての人々に判りやすい切実な問題になります。 つまり鳩山さんは国連の場で、日本人は、これだけの金額負担をしますよ・・・と宣言した様なものですが、経済の疲弊した今の日本に本当にできるのだろうか・・と心配です。yoshimiさんご指摘の通り、ここ5年ほどを見ていれば、実現可能かどうか見えてきそうですね。 その頃鳩山さんは首相ではないでしょうが・・・。
by 笑うオヒョウ (2009-09-25 13:09) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。