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【 最初の東大総長は? 】

【 最初の東大総長は? 】

 どうでもいいことですが、今度の政権交替で、日本の首相は東大卒になるようです。 首相だけでなく、与党の党首は全員東大卒になります。鳩山由紀夫、亀井静香、福島瑞穂、それに是々非々で与党に協力する共産党の志位和夫も東大卒です。 

あまり公言されませんが、これまでプライドの高いエリート官僚達は、私大卒の総理大臣を戴く事にやや抵抗があった様で、細川内閣以降ずっと続いていた私大卒の首相にちょっと不快感を持っていたかも知れません。

だから、鳩山次期首相を歓迎するという報道もあります。もっとも、鳩山氏は官僚依存型政治からの脱却を標榜しており、官僚組織との対決は避けられませんが。

それにしても東大などの旧帝大と私大は、対立・対比して考えるべきものなのか? ・・・・・

そこで、妙な事を思い出しました。川崎のご隠居が昔言っていた事ですが、

「東京帝大の初代総長は慶應義塾の卒業だったらしい・・・・」その話を、東大法学部卒で経済産業省のエリート官僚だったM君(最近、滑り込みで天下りしました)に話すと、

「まさか、東大のトップが私学出身とは考えられない。 初代総長も東大卒に決まっているよ」 と不思議な事を言います。

彼は自分の発言が全く矛盾している事に気付きません。東大では、最初のニワトリも、ニワトリが産んだ卵から生まれたと教えているのでしょうか?

帝大では一番古い東京帝国大学が大学として統一されたのは、明治19年ですからその時の教官が慶応出身でも不思議はありません。 慶應義塾は、実は安政年間からあり、当時は福沢塾という名前でした。 では慶応大学が一番古い大学か?と言えば、違うようです。

おそらくM君より聡明な読者諸兄はお気づきだと思いますが、福沢諭吉は慶應義塾を卒業していません(あまりに当たり前ですが・・・)。

福沢諭吉が学んだのは、緒方洪庵が開いた大阪の適塾です。 適塾の卒業生には医学界で活躍した人が多く、その事から阪大医学部の始まりは適塾まで遡り、阪大は旧帝国大学では一番古い・・・という人がいますが、これも正確ではありません。 

やはり、大阪帝国大学は湯川秀樹らの時代に始まったと考えるべきです。 では緒方洪庵は、どこで学んだか?といえば、長崎で西洋医学を学んだ事は確かですが、どこどこの学校の卒業という訳ではなさそうです。 

有名な鳴滝塾では多くの人材が育っていますが、緒方洪庵が長崎に行く数年前にシーボルトは帰国しており、彼が鳴滝塾で学んだ訳ではありません。

昨年ノーベル賞受賞者の母校となった長崎大学ですが、その始まりを鳴滝塾にする事には無理があり、長崎に日本で一番古い西洋医学校があったとしても、長崎大学が日本で一番古い大学とも言えない様です。 

では、日本で一番古い大学はどこか?・・・と考え、ネットで検索すると、いろいろでてきます。 

足利出身のS部長は「日本で一番古い大学は、足利学校(839年創立)である」と主張します。 

岡山県の人は、庶民も入学できた大学としては閑谷学校(1668年創立)が一番古い・・・と言います。 

更に調べると、空海が創設したとされる芸種智院(828年創立)が、大学として一番古そうです。 この学校は今でも種智院大学として続いています。確か、オヒョウが学校にいた頃は、日本で一番小さな大学として紹介されていました。 

日本で一番古い大学を探していくと、大学とは何か? という問題にぶつかりますが、ここでは政府が認定するかどうかで判断します。

どうやら、文部科学省が大学と認定している大学では、種智院大学が一番古いという結論になりそうです。 

では、外国は?と考えると、こちらも難しそうです。英国人に尋ねると、オックスフォード大学が一番古い・・と答えます。では何年に設立されたのか?と尋ねると明確な回答がありません。古すぎて、学校創立の年が判らない・・・(本当かな?)。

一応、文献に拠ると、欧州で一番古い大学はイタリアのボローニア大学(1088年創立)だそうです。ボローニア大学はダンテなど多くの碩学を輩出した名門ですが、入学試験が難関という訳ではなさそうです。 学生数は10万人を超え、イタリアでも大きな大学の一つです。 日本一古い種智院大学とは正反対です。

・・・・・

確かに、学校の伝統はあった方がいいかも知れません。でも古ければいいというものではありません。旧帝大と私大を比較するのもいいですが、古さを競ってもしかたありません。

歴史のある大学が偉い・・・という事でもないようです。同時に、宰相がどこの大学を出ていようが、国政には関係ありません。

・・・・・・・

日本の政治の改革を叫ぶ人達は、幕末の革命になぞらえて、昭和維新を起こすとか平成維新を行う・・・という表現で語る事があります。確かに、その範となる明治維新は偉大でしたが、全てが改革された訳ではありません。 

幕藩体制の後に来たのは、薩長土肥の出身者だけが幅を利かす藩閥政治でした。政治だけでなく官僚の世界も同じです。派閥解消と公平な人材登用は太政官政府では実現していません。

藩閥政治の後の官僚の世界は、学閥の時代になりました。藩閥政治よりはましですが、これにも弊害があります。

・・・・・

鳩山政権が、本当に官僚機構と対峙し、改革を追求するのなら、因循姑息の象徴である学閥の世界もなくすべきでしょう。

その為には、東大卒が首相になる事を喜ぶような官僚をたしなめる必要があります。しかし、鳩山和夫、一郎、秀雄、威一郎、幸夫、邦夫・・・と並ぶ、「東大卒にあらずんば男子に非ず」という家系の男が、そうするかは判りません。

済みません。 漢字を間違えました。

鳩山幸夫ではなく、鳩山由起夫です。 幸は奥さんの方です。 あと、鳩山秀雄の子息、鳩山道夫も東大卒で半導体では有名な研究者ですね。


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