SSブログ

【 理科系と文科系 】 [鉄鋼]

【 理科系と文科系 】

 日経産業新聞に不思議な記事が出ています。http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec090903.html 

民主党の幹部が理科系の学校を卒業している事に触れ、日本も理科系の人物が指導者になる時代が来た・・・と好意的にとらえた記事です。

しかし、内容をみれば、鳩山由紀夫(東大)、菅直人(東工大)の2人が理科系の学校を出た・・というだけの話です。

鳩山由紀夫は、Stanford大学でPh.Dを取り(これはちょっと羨ましい)、専修大学で教鞭をとっていました。 菅直人は弁理士の資格があります。

いずれも秀才には違いありませんが、それと政治手腕に関係があるのか、オヒョウには判りません。

実は外国には、理科系の秀才が、国家の指導者になった例が多くあります。 フランスのジスカールデスタン、英国のサッチャー、中国の胡錦濤らは、その国を代表する大学の理科系の学部を卒業しています。

でも、彼等が理科系の頭脳を持っていたから指導者になれたのかは、分かりません。 

それに理科系出身の指導者の時代に、はたして国家が栄え、国民が幸せだったのかは不明です。 

そもそも、理科系、文科系とは何か? 

多くの大企業では、学卒社員を採用する際、事務系と技術系に分けて採用します。( 事務系・技術系と文系・理系では、意味が微妙に違いますが、まあ似たようなものです )。 これは、技術系については、どうしても専門知識が必要なので専門教育を受けた人を採用するからです。

人間に本質的な違いがあるとは、オヒョウは思いません。

少なくとも、男女の違いほどの差は無いはずです。

・・・・・

メーカーの場合、それぞれの企業に伝統があり、代々、トップに事務系の人が就任する会社と技術系の人が就く会社があります。

例えば、鉄鋼業界では、旧川鉄のJFEは技術系の人が社長に就きます。新日鐵の場合は事務系の人が社長になります。

しかしJFEの場合も、よく見れば、技術系出身といっても比較的早い時期に、企画管理部門などに移り、純粋な技術系ではなくなっています。

S社の場合は、ときどき技術系出身の社長が登場しますが、これも、企画部門出身だったり、背後に事務系出身の実力会長がいて、その傀儡に過ぎなかったりします。

・・・・・・

製鉄会社のエリートコースの人々が純粋な技術屋でいられるのは、工場長か課長クラスまでです。それ以降は、事務屋か折衷領域の部署を経験する事になります。

逆にそれ以降のキャリアも技術屋でいるという事は、トップに就くコースから逸れるという事を意味します(研究所は別)。

・・・・・・

そのS社で、技術屋のトップである副社長を勤めるTさんは、

「 技術屋と事務屋を分けて考えるのは管理補佐職まで。  

   管理職(課長)以降は、自分を技術屋だ、事務屋だと規定しては

   いけない。どちらの領域にも通用する広い視野を持たなくては

  ならない 」と語ります。

現実には副社長に至るまで事務屋と技術屋の間に垣根があるその会社で、リーダーになるには、意識してその垣根を取り払わなければならないのでしょう。

・・・・・

では話を戻しますが、理科系と文科系または技術系と事務系の差はどれくらいあるのでしょうか?

オヒョウが学校を出て就職した頃、技術系の同僚は、最低限、初歩的な微分方程式ぐらいは理解していました。事務系でも理解している人はいたはずですが、数学はサッパリという人も多くいました。

一方、語学力については、おしなべて事務系の方が上で、英語の試験では事務系の方が高得点でした。 それぞれ得意不得意があり、どちらが上とも言えません。 ただ確かに違いはありました。

 しかし、それでどうなの?と言われると困ります。世の中の人の大半は微分方程式とは関係なく、仕事と暮らしをしています。 数学や物理学など理解しなくても、大抵無問題です。

まだ英語の方が実際の役に立ちますが、これとて新入社員の内から語学力が必要になる訳でもありません。 やがて、いやでも英語が必要になりますが、その時になって勉強しても間に合います。 そして、その時点では技術系と事務系で語学力の差は縮まります。

オヒョウは、企業の中での、技術屋と事務屋の区別に懐疑的ですが、企業人以前に、人格として理科系と文科系に分ける事に不賛成です。

特に50代という年齢になると、理科系だとか文科系だとかいう区別が、無意味である事を感じます。

自分を理科系だとか文科系だと規定する事は、相手の世界を理解しなくても許されるのだ・・というエクスキューズに使われる事が多いからです。 

鳩山由紀夫も菅直人も、オヒョウよりかなり年輩の人達ですが、彼らが理科系出身である事を指摘された時にどう反応するかに興味があります。

「 理科系出身の総理大臣誕生ですね 」と言われて、

「 出身が理科系だの文科系だのって、どうでもいいよ。

  そんな事、総理大臣の資質とは関係ないよ 」と答えるならOKです。

にっこり笑って、「 そうさ、僕は理科系の人間さ 」などと答える様なら、今度の政権にも・・・あまり期待できません。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。