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【 ただいま充電中 】 [ビジネス]

【 ただいま充電中 】 

少し昔ですが、会社勤めを辞めて親の介護と晴耕雨読の日々に入った頃の川崎のご隠居から届いた手紙には

「ただいま充電中・・と言いたいところですが、実は放電しっぱなしです」と

書いてありました。 彼の例はともかく、今、日本はかつてない程、失業率が高くなり「充電中」の人々が増えてきています。 これは重大な社会現象というか問題です。

・・・・・・

そして、それとは別の意味で、これから「充電」が社会のキーワードになるとオヒョウは思います。

それは二次電池(昔は蓄電池と言いました)の充電設備をどうするかがインフラ整備の鍵だからです。

・・・・向こう10年の間に、電気自動車(EV)や、プラグインの充電が可能なハイブリッドカーの比率はかなり高まるでしょう。そして、ガソリンスタンドに代わる、電気スタンド・・・ではなくエネルギースタンドまたは、充電スタンド、電池交換ショップが広く普及するはずです。 

しかし、そうはならない・・という人もいます。電気のコードを繋いで充電するだけなら、ガソリンスタンド型の大規模なインフラはいらないからです。家庭のコンセントでもいいし、駐車場に併設してもいいではないか・・・。

実際、駐車中に充電する場合が一般的でしょうから、これは当然の意見です。

「オヒョウ君、駐車場に電気のコンセントがあるなんてのは当たり前だよ」と語るのはフィンランド駐在をしたこともある、Oさんです。今、中国で工場の総経理をしているOさんは、北欧での駐車場事情を語ります。

「 朝、寒さの為に、屋外駐車の自動車のバッテリーは使えなくなっている。だから、コンセントから電気を取って、セルモーターを回すのさ」

フィンランドやスェーデンにはオヒョウも何度か行った事があります。確かに駐車場には電気のコンセントがあり、不思議に思いました。 だから電圧を何ボルトにするか・・とか急速充電可能にすべきか・・という問題はあるけれど、EVやプラグインハイブリッドの充電設備の問題は大きくないよ・・という意見には説得力があります。

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でも、オヒョウが考えるのは、別の問題です。今、日本では、夜間需要が少ない為、夜間電力を安く設定しています。 もし電力需要の相当分が、リアルタイムで消費しない充電用(つまり、時間的に融通の利く電力)になるとしたら、事情は変わります。 当然、EVの充電は最も電力料金の安い時間帯を狙いますから、電力需要のピークは大きく変化します。最終的には24時間を通じて電力需要は一定になるかも知れません。

そうなると、揚水発電所も不要になります。

膨大な数のEVやハイブリッドカーの電池が、揚水発電所の役割を肩代わりしてくれるからです。そして、ピーク対応を前提に考えた発電設備の能力にも余裕ができます。

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でも話は、単純ではありません。電力料金には、ガソリン価格と同様に地域差があります。 充電は北陸地方でするのが得で、関東地方で充電すると損だ・・・とか、多くの調整すべき事柄がでてきます。 太陽光発電や風力発電の、不安定で密度の低い電力も、EVの充電用に上手に用いれば無駄がなくなりますが、うまく使えるかは不明です。 

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電力売買の問題や混乱も生じます。電力会社は家庭で発電した太陽光発電の電力を市場価格より高く買い上げる予定ですから、二次電池を使えば、その逆ざやを使って、儲ける事もできます。つまり、電力会社から購入した電力を蓄え、時間差を置いて、ソーラーパネルで自家発電した電力として、電力会社に販売する事ができるのです。 おそらく、その行為は違法でしょうが、ソーラーパネルの電気も電力会社の電力も、同じ二次電池に入れてしまえば、区別できません。一物一価でない電力をドンブリ勘定する事になれば、混乱が生じます。二次電池がなければ、そんな芸当はできませんが、購入した電力を蓄える、または時間差を置いて消費する事が可能なら、いろいろな選択肢ができます。(実際には充放電時のロスを考えれば、非現実的ですが)。

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そもそも、需要家側に二次電池があるという事は何を意味するのでしょう?エネルギーに限りませんが、供給側に時間的な融通が利かず、需要側に時間的な融通が利くというのは、流通経済では珍しい事です。その場合、どんな現象が起きるのでしょうか?

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供給側では、再生可能エネルギー(太陽光とか風力)での発電比率が増えれば、電力発生量のコントロールが難しくなります。お日様が顔を出せば、あるいは風が吹けば、たちまち発電量は増えて、供給過剰になります。 一方、需要側には余裕があります。電力価格は時々刻々変化する相場を形成し、買い手は電気が安値になるのを待って、一斉に二次電池に充電する事になります。電力料金の乱高下を利用したデイトレーダーみたいな商売も可能になるかも知れません。

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電池ではない人間の充電はより重要ですが、もっと難しいです。オヒョウの勤務先には、某大企業を早期退職し、母校の大学院に入って修士号を取得してから入社してきた人もいます。

しかし、誰もが適切に充放電できるとは限りませんし、うまくいかない場合もあります。

過充電や過放電でだめになるのは、電池だけではありません。 今、日本中で静かに充電している多くの有為の人々に、活躍の機会があれば・・・、コンデンサーの放電でストロボが光る様に、あるいはレーザー光線が発振する様に、日本経済には強烈な光が当たるのですが、今度の新政権に、そんな芸当ができるか・・・・、オヒョウには判りません。


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