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【 民主党の公約 】 [ビジネス]

【 民主党の公約 】 

選挙期間中のブログに、あまり政治絡み、特に政党の公約の内容について批判的な記事を書くのは不適切かも知れませんが、気付いた事を書きます。 

民主党の公約には、高速道路の無料化やガソリン暫定税率の廃止、子供手当の充実等、大判振る舞いが多いのですが、巷間よく言われる通り、財源の裏付けがはっきりしません。

無駄遣いを無くせば対応出来ると言いますが、本当でしょうか? 国家予算の話は、オヒョウには土地勘が無いので、どちらの言い分が正しいのか、分かりません。

それなら、もう少し土地勘があるところでの、公約内容について、実現可能性を考えてみます。

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民主党は、CO2削減目標に関して、政府が打ち出した 2020年時点で2005年比マイナス15%という目標では手ぬるいとして、1990年比でマイナス25%を達成すると、公約で掲げています。http://www.asahi.com/paper/editorial20090821.htmlこの内容は、諸外国に対してはいい格好ができますが、実行するのは非常に難しいと思われます。

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現実には、マイナス25%を達成するには、下記の3つの分野での取り組みが不可欠です。

1.電力業界

 (1) 現在の原子力発電所の稼働率を10%以上上げる必要があります

  (2) 石炭火力 発電所は全て閉鎖する事になります。 現在、石炭火力は、電源開発   (J-Power)や、製鉄会社のIPP発電所がほとんどですが、それらを廃止する必要があります。

 (3) 重油を燃やす火力発電所についても、原油や、より軽質の油類に   燃料を切り換える必要があります。 (4) 家庭用燃料電池にも期待できますが、2020年時点ではそれほど普及していない可能性があります。 (5) 電力業界でCO2削減が減った後に、家庭や産業では電化を進め化石燃料をなくす取り組みが可能になります。つまり、灯油の暖房を止めて、電気暖房にしたり、ガスで沸かしたお風呂を電気温水器に切り換えたり・・という方法です。 (6) 再生可能エネルギーの比率も高める必要がありますが、   どこまで効果があるかは不明です。

2.鉄鋼業界

 (1) 製鉄所でのCO2発生を、20%以上削減する必要があります。   もし、それができないなら、高炉をその分減らすか、製鉄所の海外移転が必要になります。しかし、製鉄所などのCO2発生源を海外に移転する事で、日本の目標達成・・・という訳にはいかないので、どうするか・・むずかしいところです。仮に、製鉄所や高炉の削減で対応できるとしても、それは成功とは言えません。経済活動を縮小して、CO2削減の目標を達成しても、本来の趣旨に沿った結果ではないからです。

 (2) 2020年を見据えた場合、現実に予想できるのは、高炉のシェアが減少し、電炉のシェアが増大することです。電力業界がCO2発生を減らせれば、間接的に電炉業界が発生するCO2も減らす事になります。   2020年時点で高炉と電炉のシェアがどうなっているか、予測できませんが、CO2削減の観点から行政が介入して指導する事もありえます。

3.自動車業界

 (1) 2020年を目処に考えた場合、一番実現しそうなのは、自動車からのCO2排出削減です。技術的には、ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池車といった燃費のいい車、またはCO2をあまり出さない車が普及すれば、マイナス25%は簡単に実現します。 しかし、重要なのは、技術ではなく、別の部分です。燃費の向上は、消費者(つまりお金を出して車を買い、乗り回す人)にとっても歓迎される話であり、だから自動車の価格があまり高くならない限り、売り出せば自然に普及し、CO2削減目標は達成されます。

 (2) それ以外にも、都会の道路整備が進んで、自動車の渋滞がなくなったり、人口減で走行する自動車の量が減れば、CO2排出削減に寄与します。   首都圏で道路を建設しようとすると、環境保護団体は反対する事が   多いのですが、道路が新しくできると、渋滞が減り、CO2排出量も減って地球温暖化防止になる・・・と主張する人がいないのは不思議です。 全体を通してみれば、3.の自動車業界はかなり見通しが明るいのですが、1.の電力業界や2.の鉄鋼業界には、マイナス25%は、かなり難しいでしょう。 鉄鋼業界が民主党のマニフェストに対して、どういう反応をしたか知りませんが、幹部はかなり否定的であるの違いありません。

でもここで民主党の公約に反対すれば反動勢力と見られてしまうのでコメントしていないのかも知れません。 民主党は、太陽電池や風力発電を進めたい考えの様ですが、太陽電池や風力発電だけでは、マイナス25%が難しい事は明かです。 そもそも、太陽電池のシリコンを精錬する際に必要な電力を考えると、太陽電池は必ずしも合理的ではありません。 

海外で作った太陽電池を輸入する方法もありますが、これは一種のCO2の輸出であり、世界で認められる可能性は低いでしょう。 民主党の公約すべてが杜撰な計算に基づくとは言えませんが、CO2削減目標を見る限りでは、あまり現実的でない話も混じっています。 

おそらく、今度の選挙で民主党がヘゲモニーを握るでしょうが、彼等がどれだけ公約を実現できるか、オヒョウは興味深く思っています。 以前、ブログにも書きましたが、選挙公約は、マニフェスト(宣言)という表現より(有権者との)コミットメント(約束)というカタカナ英語に翻訳するのが適当だとオヒョウは考えます。 民主党が、公約を約束と思っているのか、単なる努力目標だと考えているのかが、それを知りたいのです。


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