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【 これからはアフターマーケット  その1 】 [ビジネス]

【 これからはアフターマーケット  その1 】

オヒョウが「アフターマーケット」という言葉を最初に聞いたのは20年ほど前です。
熱延鋼板の販売先に、自動車のホイールメーカーがあったのですが、そこは自動車メーカーに新車用のホイールを納めると同時にアフターマーケットにも相当量の製品を出荷していました。

「アフターマーケットとは何か?」と尋ねると、自動車の交換部品として、
自動車メーカーを経由せずに直接市販するもので、自動車購入後に、破損した場合の交換用や、ホイールの意匠性や性能にこだわるエンスージェストが、メーカーあつらえのホイールにあきたらなくて交換するための製品だそうです。
( 意匠性にこだわるならアルミホイールにするのではないか ・・?)
実はそれ以外にも需要はあり、北米市場では牽引するトレーラーの
タイヤ用に一定の需要があります。

しかし、このアフターマーケットの面白さ・・というか経済現象に気付いたのは建設機械部品メーカーに移ってからです。

建設機械部品の業界では、アフターマーケットは無視できない存在です。
自動車のホイールなら、事故に遭わないかぎり、廃車になるまで最初の部品が使えますが、建機の場合はそうはいきません。
特定部品は摩耗・損傷し、交換が必要になります。
具体的には、ブルドーザーやショベルのバケットや爪、それと足回りは
使用中に、必ず摩耗し交換する事になります。
キャタピラーのローラーの場合は、使い方にもよりますが、パワーショベルの全寿命の期間中に、2~3回は交換する事になります。
だから単純に考えると、アフターマーケット用は新車需要の2~3倍規模となります。 これは無視できない規模です。

アフターマーケットの、もう一つの大きな特徴は、需要予測がかなり正確にできる事です。
建機のローラーであれば、新車が売れた2、3年後にアフターマーケットの販売数量が延びます。 多くの場合、新車の販売動向に少しタイムラグを置いた形で、同じパターンを取るのです。
昨年、世界恐慌の直前まで、世界市場で建設機械は飛ぶように売れ、市場は過熱気味でした。・・・という事は、来年あたりにアフターマーケットの需要が増えるかも知れませんが、そうならないかも知れません。

世界恐慌で落ち込んだのは建機需要だけでなく、建設需要も減ったので、既存の建機の稼働率が大幅に低下しています。となると消耗部品の摩耗も遅れるからです。 ちょっと興味深いところです。

一方で、アフターマーケットの製品には、多くの問題があります。
メーカーの純正品は高いので、市場にはクローンが出回りますが、
基本的に寸法・取り合いを合わせて、仕様を同じにすれば、純正品との互換性があるのが普通です。だから独自の設計や工夫もできるのですが、安直に純正品の形状をそのまま真似たコピー製品も出回ります。
これには知的財産権侵害の問題がありますし、もし性能や品質が純正品に対して劣れば、消費者をだます事にもなります。
勿論純正品のメーカーの評判を落とす事にもなりますから、アフターマーケットでのコピー製品の流通には何らかの規制が必要です。
しかし、市場がグローバル化する中で、各国共通の規制を設けるのは難しく、特に中国の様に知的財産に対する認識が他国と大きく異なる国が
ある以上、早期に統一したルールを作る事は無理でしょう。

アフターマーケットを考えた場合、一個の製品を、定期交換を前提とする部品(消耗品)と、非交換部品に分けて、交換部品については、新車用と買い換え用の需要を一緒にした製造・供給体制を設けるのが適当です。
具体的には自動車のタイヤの場合が理想です。

もっとも、自動車といえども、マフラーなど、本来非交換である部品についてもアフターマーケットと需要が存在し、明確に分類できる訳ではありません。

しかし、ここにきて、流れが変わりました。
ハイブリッドカーや、電気自動車の登場と同時に、自動車のモジュール化が進むと思われるからです。 つまり、交換部品と非交換部品を、異なるモジュールに分ける事で、サポート体制がより合理的になります。

例えば、ハイブリッドカーの場合、2,3年毎に電池交換が必要となり、
そのコストが数十万円するという話があります。
勿論、これは二次電池の話ですが、使っている内にメモリー効果などで
性能が劣化し、交換が必要となるのは、Ni-H電池の場合も、おそらくLi-イオン電池の場合も同様です。

消耗品とは言えない部品であっても、その寿命が他の部品に比べて、
明かに短い場合は、短寿命の部品だけを集めてモジュール化するのが
適当です。
優秀な設計者であれば、部品寿命を何段階かに分けて、長寿命部品は
短寿命部品の整数倍の寿命にする事を考えます。
つまり、ハイブリッドカーの電池寿命を3年とし、ガソリンエンジンの寿命を12年とするなら、電池交換4回に対して、ガソリンエンジン交換1回となります。

電池交換のコストを50万円と仮定するなら、ハイブリッドカーや電気自動車用電池のアフターマーケットは巨大な市場になります。
現在の自動車タイヤ業界を遙かに凌ぐ規模になります。

今、新型電池の開発者は、揃って電池の長寿命化に取り組んでいますが、市場規模の拡大の為には、短寿命のままの方がいいかも知れません(冗談ですが)。 アフターマーケットが存在感を示すのは、建設機械部品や自動車産業だけではありません。 全ての工業製品が対象となるはずで、これからどんどん増えてくるはずです。その辺りの話は次報で申し上げます。
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