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【 首長は、国政に転じるべきか? 】 [政治]

【 首長は、国政に転じるべきか? 】

最近、自治体の首長が、マスコミに多く登場します。
以前から、東京都知事だけは国務大臣級の扱いでマスコミが注目しましたが、最近は地方の県知事や市長も注目されています。

マスコミに多く登場する自治体の首長を列挙しますと、石原東京都知事、橋下大阪府知事、東国原宮崎県知事、森田千葉県知事、泉田新潟県知事、中田横浜市長、河村名古屋市長・・・になります。

この中には既に政策や予算編成で独自色を打ち出し、政治家として実績のある人もいますが、ただのタレントで、以前からTV画面に登場していただけ・・・の人もいます。
あるいは地元の農産物のPRに余念がなく、肝心の県政の方はさっぱりという人もいます。

それはともかく、知名度と能力があるなら、地方自治体に留めておくのは勿体ない・・とばかりに、彼等を国政に担ぎ出そうとして、ゴタゴタ揉めたりしています。 みっともない話です。

では知名度のある自治体の首長が、国政に舞台を移して活躍するか?といえば、これは難しい問題です。 
多くの場合うまくいかないと思います。
過去に失敗した例が数多くあるからです。

実は昔も、国政に人材がおらず、政党が地方の賢者を求めた事があります。 自民党政権が長期化し閉塞感が漂う中、しかし既存の野党勢力にもめぼしい人がおらず、行き詰まっていた、昭和の終わりの頃です。 当時、作家の阿川弘之は「国会に人材がいなくても、地方には素晴らしい人がたくさんいますから、彼等を呼んだらいいではないですか」と変な事を言っています。

当時、マスコミが注目した地方の政治家とは、岩國哲人出雲市長、平松守彦大分県知事、細川護煕熊本県知事らです。

まもなく自民党は15代総裁宮沢喜一の後、政権を譲り、野に下りました。
そして阿川の予想通り、細川護煕が首相に就きましたが、彼の在任中、日本はさっぱりでした。
ちょうど私はその頃、米国にいましたが、日本の政治の停滞ぶりは外から見ていて、はっきり分かりました。国全体がモラトリアムでした。

結局、自治体の首長を辞め、国政に転じた細川と岩国は大した業績を上げていません。細川ははやばやと政界を離れ、岩国は今度の選挙で引退します。

では、彼等の国政転身はどうして失敗したのでしょうか?

私は、失敗のケーススタディとして、かつて横浜市の市長として絶大な人気を誇った飛鳥田一雄の例を挙げたいと思います。
昭和30年代~40年代、硬骨漢で弁護士でもあった飛鳥田一雄は、社会党の代議士から転じた横浜市の市長として、市民から高い評価を得ていました。市議会軽視といった問題はありますが、「みなとみらい21」の青写真を書き、横浜を近代都市に脱皮させる事に成功しています。
しかし、1977年、人材不足が著しい社会党(当時)から請われて、彼は委員長になり、国政に転じました。
市民の反発は強く「市長である飛鳥田を応援したのだ。社会党委員長になどなって欲しくない」という声が、市役所にも多く寄せられたそうです。
飛鳥田は、社会党委員長にはなりましたが、低落傾向の続く左翼陣営の建て直しにはできませんでした。 

社会党委員長時代の飛鳥田には、めぼしい業績はなく、彼にとっては不本意な時代だったにちがいありません。
それはなぜか? オヒョウが考えるポイントは3点あります。

1.自治体の首長と国会議員の違い
  権力が個人に集中する首長と違い、国会議員は投票の形でしか、
  力を行使できません。
  まして野党ともなれば、自分の考えで国政を動かす事は困難です。
  与党であっても、あるいは閣僚であっても、実は官僚機構の上で
  役人に操られていて、自分の裁量で判断実行できる事は少ないかも
  知れません。
  つまり、案外窮屈なのが国政であり、自治体の首長として自由に
  動けた人が不自由な思いをするのが、国会議員であったり
  閣僚なのかも知れません。

2.器の問題
  上に立つ人には適した器があり、組織の大きさによって向き不向きが
  あります。オヒョウの知る民間企業では、課長としては
  優秀だったけれど部長としては無能だった人とか、製鉄所長に
  なっても総作業長のレベルで仕事をしていた人など、ポストと
  マッチしない管理職がたくさんいました。さらに言えば、経理の
  事務員としては優秀だったけれど、社長としては無能だった人も
  いました。 それらのミスマッチが会社経営を危機に陥れる事も
  あります。 ちなみにその逆はありません。
  課長としては無能だけど、部長では才覚を現すなどという例は
  ありません。なぜなら、無能な課長は部長にはならないからです。
  政治家にもこれは成り立ちます。地域社会の行政では有能な人も
  天下国家を論じる仕事になると、うまくいかない可能性があります。

3.誰と戦うか
  今、元気のある首長は、国の官僚機構と対立する構図を作って
  います。意図的かどうかは分かりませんが、大阪の橋下府知事は
  「悪い奴らは霞ヶ関」と言わんばかりですし、新潟の泉田知事も
  国土交通省との対立を演出しました。
   (すぐに腰砕けになりましたが)。

  強大な国と戦うけなげな自治体の長というスタイルを取れれば、
  知事も市長も市民の指示も得られます。
  でも国政となると、そうはいきません。

大阪府知事として大車輪で活躍する橋下も、国会議員になったら、おそらくすぐには機能しないでしょう。 彼等がかつて、名市長と言われながら、国会ではボロボロになっていった飛鳥田の轍を踏まない事をオヒョウは願います。

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aosima0714

初めまして!
遊びに来ました!
良かったら私のブログに来てくださいね!
これから、ちょこちょこ遊びにきます!よろしくです<m(__)m>
by aosima0714 (2009-08-04 12:35) 

笑うオヒョウ

aosimaさん コメントありがとうございます。早速ブログを拝見しました。
役に立つ情報が満載のブログで感心しました。私が目指すブログも皆様の役に立つ情報を・・・と思っているのですが、なかなか難しいです。
またちょくちょく、拝見しますので、aosimaさんも、時々見に来てくださいね。
by 笑うオヒョウ (2009-08-06 01:31) 

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