【 ワッハ上方とアニメの殿堂 】 [アニメ]
【 ワッハ上方とアニメの殿堂 】
橋下大阪府知事と吉本興業が揉めているそうです。大阪府が管理する「ワッハ上方」なる施設が吉本興業のビルを借りていて、その家賃が年間2億8千万円と高い事から、通天閣の下の建物に移転させようとしたところ、吉本興業側がそれに腹を立て、損害賠償を請求すると言いだし、法廷での争いになりかねない様子です。
普通、賃貸契約を結んだ店子が出ていく時に原状復帰を求められる時もありますが、特別の契約(Transfer Close条項等)が無い限り、大家が損害賠償を求める・・というのはあまり聞きません。弁護士でもある府知事が「聞いた事がない」と言うのは、多分その通りでしょう。
逆に橋下知事は「横山ノックと吉本興業が、最初に契約した時の経緯を
調べてみる」と言いだし、これは吉本興業にとっては全くの藪蛇です。
横山ノックと吉本興業には癒着があり、大阪府から吉本にお金を流す為のパイプとして「ワッハ上方」が使われた・・・という説が、正しいかはともかく、契約内容が吉本側に有利になるように配慮された可能性はあり、そしてそれは専門家が検証すれば、一目瞭然でしょう。
・・・・
そもそも「ワッハ上方」とは何か?
なんと、漫才師砂川捨丸の鼓を保存する事がきっかけになってつくられた施設との事です。関西の方で50代以上の方なら捨丸をご記憶かも知れません。 オヒョウにとって、この人の漫才ほどつまらないけれど面白い漫才はなく、そしてこの人ほど好きな漫才師もいませんでした。
実に不思議な漫才でした。
特に、旅人が路傍の蛙と話すダジャレの漫才は不思議に記憶に残ります。 蛙が自分の出身地を美濃だと言ったり、備中だと言ったり・・・、とにかく登場する名前が古いのです。 鼓を打ちながら漫才をするという、三河万歳の流れをくむ、古典的漫才の最後の芸人かも知れません。
ちなみに彼の笑えない漫才で、母は時々笑っていました。
捨丸が他界した後、私が彼の名前を見たのは漫画「じゃりン子チエ」です。登場人物のテツが収容されていた少年院だったか鑑別所だったかの所長のあだ名が”捨丸”で、これがまたその老漫才師にそっくりだったのです。それで理解したのです。関西人にとっては、捨丸翁はかなり有名人だったのかも知れない・・・と。
・・・・・
しかし、それと笑いの博物館を設ける事とは、別の問題です。
「ワッハ上方」は無用の施設であり、税金の無駄遣いです。
話芸や演芸は、本来、陳列棚に資料を並べて、記録を保存するべきものではありません。つまり”無形”文化財なのです。
エンタツアチャコのステージ衣装を陳列しても、初代春団次の扇子や手拭いを陳列しても無意味です。それらを眺めても、彼らの芸を理解した事にはならないからです。どうしても残したければ、テープやレコード、CD或いはビデオテープやDVDの映像の資料で残すべきです。
そして、それなら専用の博物館ではなく、既存の図書館でいいのです。
・・・・・
もうひとつ、税金の無駄遣いとして指摘されているのは、麻生首相が提案したと言われる(本当かどうか知りませんが)「アニメの殿堂」です。
民主党の鳩山党首は、無駄遣いの典型的な例として挙げていますが、
不思議な事に、誰からも、なぜ「アニメの殿堂」が必要なのか、或いは建設の主旨は何かについての説明がありません。
反論しないという事はお役所側も無駄遣いと認めているのでしょうか?
実は韓国や中国には、名前は違いますが「アニメの殿堂」に類する施設があり、自国で生産されるアニメの保管・管理にあたっているそうです。
そして(未確認ですが)日本のアニメも国産という扱いで陳列しているとの事です。
どんなに吹き替えをしようが、登場人物の名前を変えようが、アニメの舞台や背景をみれば、それらが日本の物語である事は自明です。
でも”キャプテン翼”のアニメーターが韓国人であれば、そのアニメは韓国製だと言い張る人がいます。
例え“クレヨンしんちゃん”の舞台が埼玉県春日部市であっても、中国で”蝋筆小新”が先に商標登録されてしまえば、これは中国のアニメだと主張する人がいます。
ばかばかしい話ですが、日本のアニメの著作権や商標権は、アジア諸国で甚だしく蹂躙されています。 そして各国の国立「アニメの殿堂」がそれらの片棒を担いでいるのです。
日本の「アニメの殿堂」がそれらに対抗し、日本の作品の著作権やアイデンティティを守るものであるなら、それなりに存在価値があります。
でも、それについて(アニメに詳しい)麻生首相は何も語りません。恐らく彼は問題の本質を理解していないのでしょう・・。
・・・・・
オヒョウは、「ワッハ上方」も「アニメの殿堂」も無用だと思います。
しかし、映像や音声の記録(最近はデジタルコンテンツと言いますが)を残すための手段と施設は早急に考えるべきだと思います。
それらは本来なら図書館が保管するべき資料ですが、印刷物を主な収蔵物とする現在の図書館では、十分に対応できません。
新しい設備を供えた図書館に、デジタル化した捨丸の漫才も藤山寛美の芝居も、クレヨンしんちゃんのアニメも収蔵し、国際的に著作権が侵害されないように目を光らせる必要があります。
しかし、その重要性を、麻生も鳩山も、橋下も理解していない様です。
ましてや、横山ノックには理解できなかったに違いありません。
橋下大阪府知事と吉本興業が揉めているそうです。大阪府が管理する「ワッハ上方」なる施設が吉本興業のビルを借りていて、その家賃が年間2億8千万円と高い事から、通天閣の下の建物に移転させようとしたところ、吉本興業側がそれに腹を立て、損害賠償を請求すると言いだし、法廷での争いになりかねない様子です。
普通、賃貸契約を結んだ店子が出ていく時に原状復帰を求められる時もありますが、特別の契約(Transfer Close条項等)が無い限り、大家が損害賠償を求める・・というのはあまり聞きません。弁護士でもある府知事が「聞いた事がない」と言うのは、多分その通りでしょう。
逆に橋下知事は「横山ノックと吉本興業が、最初に契約した時の経緯を
調べてみる」と言いだし、これは吉本興業にとっては全くの藪蛇です。
横山ノックと吉本興業には癒着があり、大阪府から吉本にお金を流す為のパイプとして「ワッハ上方」が使われた・・・という説が、正しいかはともかく、契約内容が吉本側に有利になるように配慮された可能性はあり、そしてそれは専門家が検証すれば、一目瞭然でしょう。
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そもそも「ワッハ上方」とは何か?
なんと、漫才師砂川捨丸の鼓を保存する事がきっかけになってつくられた施設との事です。関西の方で50代以上の方なら捨丸をご記憶かも知れません。 オヒョウにとって、この人の漫才ほどつまらないけれど面白い漫才はなく、そしてこの人ほど好きな漫才師もいませんでした。
実に不思議な漫才でした。
特に、旅人が路傍の蛙と話すダジャレの漫才は不思議に記憶に残ります。 蛙が自分の出身地を美濃だと言ったり、備中だと言ったり・・・、とにかく登場する名前が古いのです。 鼓を打ちながら漫才をするという、三河万歳の流れをくむ、古典的漫才の最後の芸人かも知れません。
ちなみに彼の笑えない漫才で、母は時々笑っていました。
捨丸が他界した後、私が彼の名前を見たのは漫画「じゃりン子チエ」です。登場人物のテツが収容されていた少年院だったか鑑別所だったかの所長のあだ名が”捨丸”で、これがまたその老漫才師にそっくりだったのです。それで理解したのです。関西人にとっては、捨丸翁はかなり有名人だったのかも知れない・・・と。
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しかし、それと笑いの博物館を設ける事とは、別の問題です。
「ワッハ上方」は無用の施設であり、税金の無駄遣いです。
話芸や演芸は、本来、陳列棚に資料を並べて、記録を保存するべきものではありません。つまり”無形”文化財なのです。
エンタツアチャコのステージ衣装を陳列しても、初代春団次の扇子や手拭いを陳列しても無意味です。それらを眺めても、彼らの芸を理解した事にはならないからです。どうしても残したければ、テープやレコード、CD或いはビデオテープやDVDの映像の資料で残すべきです。
そして、それなら専用の博物館ではなく、既存の図書館でいいのです。
・・・・・
もうひとつ、税金の無駄遣いとして指摘されているのは、麻生首相が提案したと言われる(本当かどうか知りませんが)「アニメの殿堂」です。
民主党の鳩山党首は、無駄遣いの典型的な例として挙げていますが、
不思議な事に、誰からも、なぜ「アニメの殿堂」が必要なのか、或いは建設の主旨は何かについての説明がありません。
反論しないという事はお役所側も無駄遣いと認めているのでしょうか?
実は韓国や中国には、名前は違いますが「アニメの殿堂」に類する施設があり、自国で生産されるアニメの保管・管理にあたっているそうです。
そして(未確認ですが)日本のアニメも国産という扱いで陳列しているとの事です。
どんなに吹き替えをしようが、登場人物の名前を変えようが、アニメの舞台や背景をみれば、それらが日本の物語である事は自明です。
でも”キャプテン翼”のアニメーターが韓国人であれば、そのアニメは韓国製だと言い張る人がいます。
例え“クレヨンしんちゃん”の舞台が埼玉県春日部市であっても、中国で”蝋筆小新”が先に商標登録されてしまえば、これは中国のアニメだと主張する人がいます。
ばかばかしい話ですが、日本のアニメの著作権や商標権は、アジア諸国で甚だしく蹂躙されています。 そして各国の国立「アニメの殿堂」がそれらの片棒を担いでいるのです。
日本の「アニメの殿堂」がそれらに対抗し、日本の作品の著作権やアイデンティティを守るものであるなら、それなりに存在価値があります。
でも、それについて(アニメに詳しい)麻生首相は何も語りません。恐らく彼は問題の本質を理解していないのでしょう・・。
・・・・・
オヒョウは、「ワッハ上方」も「アニメの殿堂」も無用だと思います。
しかし、映像や音声の記録(最近はデジタルコンテンツと言いますが)を残すための手段と施設は早急に考えるべきだと思います。
それらは本来なら図書館が保管するべき資料ですが、印刷物を主な収蔵物とする現在の図書館では、十分に対応できません。
新しい設備を供えた図書館に、デジタル化した捨丸の漫才も藤山寛美の芝居も、クレヨンしんちゃんのアニメも収蔵し、国際的に著作権が侵害されないように目を光らせる必要があります。
しかし、その重要性を、麻生も鳩山も、橋下も理解していない様です。
ましてや、横山ノックには理解できなかったに違いありません。
2009-08-03 00:03
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