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【 お前の家は俺の城 その1 】 [政治]

【 お前の家は俺の城 その1 】

 

読者諸兄は、岩国錦帯橋空港を利用されたことはあるでしょうか? 私は一度だけあります。海沿いの滑走路に降りると、駐機場のど真ん中の広い面積を、アメリカの海兵隊が使っていることに気付きます。話題のV-22オスプレイも停まっています。

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そこを少し進むとかなり狭くなりますが、今度は海上自衛隊の領域です。こちらには最近有名になったUS-2大型飛行艇やP-3Cが停まっています。そして飛行場の隅っこまで行くと、そこに2階建ての小さなビルがあり、それが民間航空機用のターミナルビルだと分かります。普通、飛行場のターミナルビルというのは、広い幅があり、多くの旅客機が並んで停まり、ボーディングブリッジが架けられるようになっています。しかし、岩国の場合は実にこじんまりとしていて、町の郵便局かと思います(ちょっとオーバーかな?)。

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言うまでもなく、この空港の主役は米軍であり、民間航空は隅っこに間借りしている状態です。私は行った事が無いので分かりませんが、察するに三沢も似たような状況でしょう。

同じ軍民共用でも、自衛隊と民間航空の場合は、滑走路を挟んで両側に自衛隊と民間航空が対峙する形で、双方互角、民間航空も広い面積が使えます。小松空港や茨城空港(百里基地)がその例です。もっと言えば、民間航空が母屋を占領し、自衛隊が隅っこにある場合もあります。例えば福岡空港(板付)や、那覇空港がそれに該当します。しかし米軍がいる場合は、米軍が母屋を占領して、自衛隊も民間航空も、隅に追いやれています。 

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民間航空がいない神奈川県厚木基地の場合も、多くの面積を占領しているのは米軍で、海上自衛隊はごく狭い場所に押し込められています。 航空基地だけでなく、軍港も同じです。横須賀基地はアジア最大級の海軍基地ですが、その中心にデンと居座るのは米軍です。海上自衛隊は隅っこの狭い空間を与えられているのです。

佐世保基地も同様です。

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まるで、米軍が主人で、日本の自衛隊が居候か下僕か露払いの関係に見えてきます。

「こりゃ全くひどいではないか」 そこで思い出した漫画が一つあります。

ソ連の風刺漫画家アブラモフが60年ほど前に描いたカリカチュアで、題名は「お前の家は私の城」。当時のソ連では、政治体制を批判したり揶揄するカリカチュアは許されなかったのですが、西側世界を批判することは許されたのです。

 お前の家は私の城.png

 

描かれてから50年以上経つので、著作権は消滅しているので、その絵を載せます。

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ご承知かも知れませんが、英国には、「私の家は私の城」という諺があります。これは封建制度や身分社会であっても、各個人は侵すべからざる空間として自分の家と家族を持ち、それを守る権利を尊重しなければいけないという思想を表したものです。

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しかし、第二次大戦中から、英国は軍事基地を米国に貸し出し、守るべき母屋を取られているではないか?という皮肉をこの漫画家は言ったのです。実は英国内には今も米軍基地が存在しますが、あまり話題にはされません。 英国民にとって、これは必ずしも愉快な事ではないからでしょう。 TVドラマ「刑事フォイル」では、第二次大戦中に、英国に駐留する米軍基地を不愉快な存在として描いています。

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海外でも英領であるインド洋のディエゴガルシア島は、全面的に米軍が租借しており、B-52戦略爆撃機などが配置され、中東に睨みをきかせる形になっています。太平洋で言えば、ちょうどグアム島のような存在ですが、でも本来、ディエゴガルシアは英国領土なのです。

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アブラモフの風刺漫画は英国民にとっては痛いところを衝かれた内容なのですが、ロシア語で書かれて、ソ連のメディアに掲載されたので、英国では知らない人が多いようです。

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話が脱線しましたが、今アブラモフが、日本の岩国飛行場や横須賀海軍基地を見たら、どういうでしょう?

カリアチュアの題名を「お前の飛行場は、私の基地」とするか、「お前の港は俺の基地」とするか・・いずれにしても、愉快な表現にはなりません。

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現在の状況が、本当にあるべき状態か?と問われれば否と答えるしかありません。

でも、それでは、どうするべきか?と問われても妙案がありません。

外国の軍隊に我が物顔で居座られるのが愉快なはずはありませんが、でも米軍が撤退したら、いったい誰が喜ぶのか?と考えると、日本人以上に喜ぶ人達が隣の大陸にいます。

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米軍の撤退を日本人以上に期待する人々は、段階的に米軍の存在の希薄化を狙います。 まずは沖縄・南西諸島から米軍の撤退、そして最終的には日本本土からの米軍の撤退、日米安保条約の破棄・・という順番です。

 

その辺りについては、次号で管見を申し上げます。


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