SSブログ

【 刀狩り 】 [政治]

【 刀狩り 】

 

シリアの内戦の報道をみていて理解できないことが幾つかあります。その一つは、誰が武器弾薬を提供しているのか?ということです。TV報道を見ると、人口よりも市中に出回っている銃の数の方が多いようにさえ見えます。

・・・・・・

ロシアなどが支援するアサド政権の政府軍、米国などが背後にある反政府軍の他に、ISなどのゲリラ勢力が加わり、三巴の状態にある中で、前の2者については、背後の国家が武器弾薬を提供しているものと考えますが、最後のゲリラ勢力に誰が武器弾薬を提供しているのでしょうか?

・・・・・・

ISは一時期、油田を抑え原油を販売していましたから、資金は潤沢なのかも知れません。 お金があるなら、そこに武器を売却する「死の商人」が存在する訳ですが、そこを把握して押さえなければ、泥沼の内戦は終わらないでしょう。

・・・・・・

シリアだけでなく、アフガニスタンやイラク北部といった混沌が支配する世界で、究極的な和平が簡単に成立するとは・・・思えません。正統なイスラム教徒(宗派は幾つかに分かれますが)、ひたすら凶暴なイスラム過激派、キリスト教徒勢力の各勢力が、根本から理解しあえる可能性は低いからです。

・・・・・・

20世紀の後半、インドシナ半島で続いていた戦争も、永久に続くかと思われましたが、

東西の冷戦が終了しイデオロギー対立が解消したとたん、すぐに終わりました。

複雑に思われたインドシナ半島の戦争は一皮剥けば、東西勢力の代理戦争に過ぎなかったのです。

・・・・・・

しかし中東は違います。米国とロシアの代理戦争の面もありますが・・・、それだけではありません。対立を完全に解消することはできません。それなら、平和な世界を確立する為に、好戦的な人々に武器弾薬がわたることを防ぐしかありません。

つまり現代の「刀狩り」です。軍事大国が背後にある、シリア政府軍と反政府軍で刀狩り(つまり武装解除)をすることは非現実的ですが、ISなどの過激派ゲリラに対しては有効です。

・・・・・・

もし三巴が解消して、2勢力だけの争いになれば、話は単純化し、和平の可能性も見えてきます。 もっともウクライナ/ロシアのクリミヤ半島のように、それでも解決できない場合もありますが・・。

・・・・・・

あまり語られないことですが、世界のどこかに巨大な武器弾薬のマーケットがあり、売り買いをしている人々がいるのでしょう。それをすべて把握することは難しいですが、砂漠に近い場所でそれらの輸送・運搬をしている現場を押さえることは可能です。既に米国の無人攻撃機は砂漠を進むコンボイと呼ばれる車列を攻撃していますが、あまり効果的ではないようです。しばしば誤爆があり、無辜の人々が犠牲になっています。

・・・・・・

それならば・・・、他にも方法があります。例えば、制圧した地域でゲリラから取り上げた武器の生産国を突き止め、上流から武器供給源を絶つという方法です。

一般論として、ゲリラが所有する武器・兵器は、旧東側のものが多いとされます。小銃ならカラシニコフ、ポータブルのミサイルとしてはRPG7などが該当します。

それらは旧ソ連で作られますし、そのコピーは中国でも製造されます。今なら、それ以外の国でも製造されているかも知れません。

・・・・・・

とにかく、世界中でテロリストや反社会的な集団が用いる武器の生産国を明らかにして、国連の安保理で、その生産国に圧力をかけるべきです。これには世界の紛争をかなり沈静化する効果があると思います。

・・・・・・

現実にそれができない理由も幾つかあります。

武器の製造や輸出で現実に儲けている国は、その対応を好ましく思わないでしょう。

「刀狩り」の決議案に対して反対する可能性があります。

また自分自身はテロ支援国家と認定されていなくても、テロ支援国家を支援している国はあります。それらの国は、表向きは反対しなくても、「刀狩り」をサボタージュするでしょう。

・・・・・・

そして最大の問題は、憲法(正確にはその修正条項)によって、銃を所持して自分を守る権利を保証している国です。米国が自国民には武器の所持・携帯を認め、外国の人の武器所有を認めない・・という訳にはいきません。

・・・・・・

そうなると、米ロ中の三カ国が、「刀狩り」に反対もしくは消極的になる可能性がでてきます。国連で何らかの決議や行動を期待するのは難しいかも知れません。

・・・・・・

そしてもっと難しいのは、管理されるべきは、小銃やミサイル、バズーカ砲ばかりではない・・ということです。 道路脇の地雷、および自爆テロの犯人(犠牲者とも言える)人が身体に装着する爆弾の管理はさらに難しいと言えます。

・・・・・・

日本でも一時期テロリストが、爆弾テロをした時期がありましたが、一般の人々が手製爆弾を作るのを防止することは、ほとんど不可能です。 それは、その原料が農業肥料や農薬等ありふれたもので、かつ人々の生活に必要なものなので、それらを禁止することは、現実的にできないからです。

・・・・・・

火薬として最も一般的なTNTやコンポジットC4を普通の市民が作ることは無理かも知れません。

でも取り扱いが容易で爆発力が大きいANFO爆薬は簡単です。硝酸アンモニウムに数%の有機物を混合するだけです。ただなかなか爆発しないので、起爆方法が難しいだけです。そして爆発力は弱いのですが、綿花薬または硝化綿と呼ばれる爆薬は、硝酸に漬けた綿を、水洗いして乾燥させただけです。

硝酸アンモニウムは、重要な窒素肥料であり、痩せたステップ気候の土地で農業生産を上げるために必要な存在です。つまりそれを禁止することはできません。

そして原始的で素朴な爆弾は農家の庭先でできるのです。

・・・・・・

実際に自爆テロに使われた爆弾が何なのか、或は道端で爆発して装甲車両を破壊した対戦車地雷みたいな爆弾が何なのかを私は把握していません。 自爆テロをする人は、胴体にダイナマイトを巻いているという説もありますが、詳しくは知りません。

・・・・・・

ではどうするか?

治安当局は、それらの爆発物の種類を特定し、中東地域で安易にそれを作らせないように、そして持ち込ませないようにするしかありません。 アメリカ軍などは、テロリストが使用する爆弾の種類を特定しているはずですが、その取締りを強化しているという報道を一向に聞きません。これは一体どういうことか? アメリカはどうあっても「刀狩」に反対なのか?ダイナマイトやTNT火薬だけでなく、ANFO爆薬や、黒色火薬、窒素肥料も含めて管理することが重要ですが、それがなされていません。

・・・・・・

そして更に難しいのは、「刀狩」の永続性です。

仮に、一旦和平が訪れ、中東地域が平穏になっても、米ロの大国や国連軍が撤退したら、再びテロリストや過激派は跳梁跋扈するでしょう。 その際、誰が硝酸アンモニウムや、ダイナマイトを管理するのか?

・・・・・・

多分、そこで登場するのは日本のPKFかも知れません。紛争地域以外で、紛争を防止・抑止する機能がPKFには求められます。現代の「刀狩」は、銃火器を市民が持たない日本の仕事になる可能性があります。 

・・・・・・

一方で日本のNGOによる農業協力は続く可能性があり、農薬や肥料の管理は、そちらで行うことが可能です。 すなわち、シリアやイラク、アフガニスタンに農協を設立し、農薬と肥料の管理を一元的に行えばいいのです。その管理で農薬がテロリストに流れて爆弾になることを防止できます。日本ではその役割を終えつつある農協が、中東地域で新たな役割を担う可能性があります。

・・・・・・

物騒な社会を平和で安全にするには、日本型システムが有効です。「刀狩」によって中東が平和になれば、欧州へなだれ込んでいる難民も抑制され、世界経済にもいい影響があります。

・・・・・・

400年以上前に「刀狩」を実行した、太閤秀吉の面目躍如です。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。