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【 トンチン公債・トンチン保険 その2 】 [政治]

【 トンチン公債・トンチン保険 その2 】

 

トンチン保険とは一言で言えば、長生きした者が得をする保険です。しかし、その富は世襲されません。この2点が多くの問題を解決します。

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社会全体にとっては、長生きすること、高齢者がいることはコストでしかありません。つまり社会にとっては負担です。しかし人々は長寿を喜び、寿ぎたいと思います。それが自分の身内であればなおさらです。この矛盾をどうするか?長幼の序を重んじ、高齢者を尊敬すべきと考えた儒学の祖である孔子もこの点で悩んだようです。

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長生きすればするほどより豊かになり、幸せになり、それでいて若い人々の負担にならないためには、以下の点が重要です。

1.     予め、原資は、自分達が自分達の将来のために積み立て、拠出すること。

そしてそこからの配当を貰うシステムとすること。

2.     早く死んだ者の取り分を生き残った者が貰い受け、その分、分け前が増えて得をするようにすること。

3.     最後に生き残った人は、配当を独り占めし、大変儲かりますが、その原資は相続されず、国庫に没収されます。遺産相続による、富と貧困の世襲とは無縁です。

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これらの条件を満たす制度を、行政が行えば、トンチン公債、民間が保険の形で行えば、トンチン保険となります。実際には幾つもの派生型があり、3.の原資の国庫への召し上げは、無いものとあるものがあるようです。

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普通の保険は、早く死んだ人の遺族が経済的に困るのを防ぐために、損失を補填する性格を持ちますが、トンチン保険はその逆で早く死んだ方が損をし、長生きした方が得になります。長生きすれば、それだけリッチになる訳で、自分も家族も長寿を喜べます。

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そして自分が将来受け取る分は、予め自分が拠出する方式ですから世代間の不公平感もありません。いいことばかりみたいです。

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問題は、友達の死を喜ぶことになることです。この保険は、サバイバルゲーム、もっと言えば、バトル・ロワイアルであり、周囲の同世代はすべて敵で、全員を倒した人が勝者になるというとんでもない世界・・なのです。 もっとも、普通の保険でも保険金殺人なんてのがありますから、トンチン保険に限ったことではありませんが・・。

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その精神的負担に堪えられれば、トンチン保険は最も優れた方法です。

今、各国の財政はどこもピンチで、福祉行政で思い切った政策を実施したくてもお金がありません。 しかし、トンチン公債なら、それを買う人がお金を出します。配当を払う必要はありますが、財政当局にとっては、一時的にキャッシュフローを改善する形になります。それに加入者が全員他界すれば原資は国庫の歳入になるのですから、下手に相続税の税率をいじるより簡単に富の再配分ができます。

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ドイツにやってくる難民や移民は、若い頃に税金を払っていないのに、ちゃっかり年金や福祉の恩恵を受けるとは怪しからん・・・と白い眼で見られがちですが、トンチン公債/トンチン保険は、あらかじめ払った人だけが対象になるので、その種の問題がなくなります。

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日本でもトンチン保険の導入を考えるべきです。民間の保険会社が扱わないなら、国家がトンチン公債を発行すべきです。

しかし、そう言っても、所詮これは保険の一種です。これ自体が富を生み出す訳ではなく、貧困の根本的対策にはならないのです。

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やがて、トンチン保険を買った人は60歳で引退し、保険の配当と年金で暮らせるようになります。一方、トンチン保険を贖う余裕のない人は、60歳を超えても、働き続けなければならないことになります。 年金額が少なく、かつ受給開始年齢が遅くなるからです。

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そうなると、貧乏人は高齢になっても、あるいは死ぬまで働き続けなければならず、お金持ちは早くリタイアして老後を楽しめる・・ということになります。 世代間の不公平感は解消するかも知れませんが、同世代内の格差は、特に高齢になってから顕著になります。

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韓国では、老人の貧困が大きな社会問題になっていますが、トンチン保険の導入はそれを加速する可能性があります。

http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12145568609.html

日本のように、一生元気で仕事を続けたいとか、定年が無い方がいいと考える人々はそれでもいいかも知れませんが、ヨーロッパではおさまらないでしょうね。

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考えてみれば、日本人ほど仕事好きで一生働き続けたいと考える民族はないかも知れません。 一体政府は、どう考えているのか? と思ったら、なんと自民党は、さらに定年を延長したいようですね。 実に73歳の定年を無くそうという考えです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160826-00000019-jij-pol

一生現役で仕事をしたいのなら、トンチン保険もトンチン公債にも興味が無いかも知れません。 でもね、仲間内で争い、生き残った者がいい思いをするという点では、トンチン保険も、永田町の政治家の暮らしも、似ているではないか・・と私は思います。


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