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【平成の終わり? その2】 [政治]

【平成の終わり? その2

かつて昭和が終わった日、ある評論家が語りました。

「後世語られる、昭和という時代は、大変でひどい時代だったということになるだろうね。 日本の歴史上初めて、大戦争に敗れ、多くの国民が命を失い塗炭の苦しみを味わい、国家の存続すら危ぶまれるという未曾有の事態に直面したのだからね。 歴代の天皇の中でも大行天皇(昭和天皇)ほど、大変な思いをしてお苦しみになった天皇はいないのではないか?」

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そして、2001年、21世紀が始まると、評論家徳岡孝夫氏は語りました。

「後世の歴史家は、20世紀をひどい時代だったと語るだろう。 科学文明は進歩し、社会は便利になり、人々は豊かになったけれど、一方で2つの世界大戦を経験し、かつてないほど多くの人々が殺された。 人々は、いかに効率的に人を殺せるかを研究し、幾つもの悪魔の発明を行い、そして実際に多くの人を殺した。こんな凶なる世紀は20世紀だけだ」

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そこで私は気づいたのです。過ぎ去った昭和や過ぎ去った20世紀を悪し様に語る時、「もうこんな悪い時代は来るまい、あるいは同じ轍を踏むまい。人々は文明の悲惨を経験したのだから、少しは利口になり、未来はもっとよいものになるはずだ」という希望と期待が、その裏にあるのだと。

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広島の原爆資料館には過去の悲惨を示す資料がたくさんあります。忘れてはならないことばかりです。 しかし、未来をどうするか?どうすれば愚かで悲惨な出来事を無くせるかについては、提言がありません。 かろうじて、死者に対する弔いの言葉として「あやまちは繰り返しません」と石に刻んであるだけです。 もっとも、今年世界で最も多くの核兵器を所有する米国の大統領が広島を訪れたことで、事態は少し変わるかも知れません。 何とか未来への希望と決意を示す展示内容を増やすべきだと、私は思います。

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話を元へ戻します。 翻って、平成が終わる日が来た時、評論家達は平成の時代についてどう語るでしょうか?

「いや、平成という時代はひどい時代だった。 バブルの後に景気は後退・低迷し、失われた20年の間に、経済力では他の国に追い越されて自信を失い、就職難の中若い世代は希望を失い、人生設計に迷うようになった。 少子高齢化が加速し、人口が減る一方で街の活気は失われた。あまつさえ、阪神淡路の大震災、東日本大震災という自然災害にも苦しめられ、全くろくなことが無かった・・」と言われるかも知れません。 実際には、平成の時代には戦争が無く、戦死者や戦禍で被害を受けた人がいない時代だったことを祝福すべきですが、平和が空気と同じように当たり前に感じられる現代、それをありがたいと思う人は少ないのかも知れません。

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明治と昭和という長い時代に挟まれた大正という時代があまりパッとせず、大正生まれは、肩身が狭かった・・という話も聞きましたが、やがて平成生まれも肩身の狭い思いをするのでしょうか? もし平成が30年程度で終わってしまうなら、同じような事態も予想されます。

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でもそれでいいのかも知れません。 過ぎ去った時代を悪く思うのは、新しい時代に期待するからです。チャップリンが、自身の一番の名作は?と訊かれた時、必ず「それは次回作」と答えたように、未来は常に明るく、今よりも幸せな時代になると考えるべきでしょう。日本全体がかつてはそうでした。昭和の頃は確かにそのような上昇史観というか楽観論があったのです。 それが平成の時代になってから失われたように思われます。悲観論者ばかりです。次の時代が到来するとして、人々のその意識こそが改革されるべきかも知れません。

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「やれやれ、平成とはひどい時代だった。だって、皆が、未来は良い時代になると期待しない、悲観論の時代だったのだから。 現代は少なくともそれよりはましだ。 夢を持つ楽観論者が多く、活気に溢れた時代なのだから」

後世の歴史家が、そんなコメントを出す時代にしたいものだと思います。


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