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【平成の終わり? その1】 [イギリス]

【平成の終わり? その1】

天皇陛下が生前退位を検討されているというニュースがマスコミを駆け巡りました。しかし、政府(官房長官)も宮内庁長官も否定している以上、真偽を確認する方法はありません。天皇陛下に直接質問する訳にはいかないからです。

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かつて天皇誕生日は天長節と呼ばれました。また国家「君が代」は大君の御代が長く続くことを願った歌詞です。誰もが国家元首の長命と安泰を願う訳ですが、「そうでもないぞ。いいことばかりではないからな」と、かつて語ったのは明治時代を生きたオヒョウの祖父です。

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「かつて英国では国王(女王)が長く在位しすぎたために、皇太子がいつまでも即位できず困った事態になったことがある」というのです。皇太子といえば、さっそうした青年や少年を思い浮かべますが、英国では老境に達した皇太子が存在したというのです。

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これは、ご存じの方も多いでしょうが、英国が最も栄えた時代の元首であったヴィクトリア女王の息子エドワード7世のことです。史上最も長くPrince of Walesであった人とされていますが・・・、もうじきチャールズ皇太子にそのタイトルを取られそうです。

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エドワード7世は、英国ではあまり評判がよくありません。一部の英国人の間では「暗愚の帝王」と言われていました。 もっとも、英国人の考え方についての私の情報というのは、ロンドン事務所の秘書だった英国王室ファンの女性・・その他、2,3人から聞いただけで、全英国民の意見を代表しているとは言えないのですが・・・。彼女の説明では、エドワード7世は若い頃、学校の成績がよくなかったとか、素行が悪かったということらしいですが、何より、英国が一番栄えた時代を長く統治した母親のヴィクトリア女王と比較されるからです。 皇太子時代が長かった彼は、当然ながら国王だった時代は短く、特筆される業績は残していない・・とのことです。

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しかし、それは英国人の見方で、日本から見れば違います。彼は日英同盟を実現し、日本との関係を強化しました。先帝のヴィクトリア女王が帝国主義に基づいた拡張主義(もっと言えば戦争で植民地を奪い取る作戦)で成功したのに対して、彼は平和の王であり、平和主義で成功した王です。

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ヴィクトリア女王がもっと早く退位してエドワード7世に地位を譲っていれば、世界史は変わったかも知れません。

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私の祖父は、英国で19世紀に存在した「年老いた皇太子」のことを考え、国家元首が長く在位するのはいいことばかりとは言えない・・と言いたかったようです。

これは外国のことだと片付ける訳にはいきません。日本の東宮だって、もう50代です。

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今上天皇は、自らの高齢と長期に亘る在位期間の是非を考える際、大正時代の終わりに皇太子(昭和天皇)が「摂政」に就かれたことを詳しく研究されたとのことです。

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高齢故に天皇の国事行為を全うできず、その内の一定量、或いは多くを摂政(具体的には皇太子)に委ねる検討ですが、この検討が可能なのは天皇陛下ただ一人です。

なぜなら、摂政を置くという事は、天皇陛下にはもはや国事行為は無理です・・と言うに等しいことですから、そんな無礼なことは、下々から申し上げる訳にはいきません。

大正天皇の場合は、御不例が深刻で、誰もが皇太子殿下(昭和天皇)の摂政就任を求めた訳ですが、少なくとも精神面はまだまだご健康な今上天皇が、摂政を置くのは、恣意的でわがままととられるかも知れません。生前退位となるとなおさらです。

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最大の問題は、摂政を置くにせよ、生前退位にせよ、皇室典範の変更または何らかの立法装置が必要となります。 そうなると政治に介入できない天皇陛下には発議できません。憲法違反になるからです。

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天皇陛下以外は提案できず、しかし天皇陛下は自ら進退について語れない・・という矛盾のために、戦後の天皇制は終身制となる訳です。なんだかおかしな話です。やはり現行憲法は少し杜撰なのではないか?

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皇室の話とのアナロジーで語るのも、畏れ多いのですが、民間企業の経営者の世代交代もなかなかうまく行きません。 こちらはどちらかというと、功なり名を遂げた経営者が後進に道を譲ろうとして、誰に譲るか、或いは何時譲るかで、コタゴタが発生する訳ですが、本音を言えば引退したくない経営者が、欲を出して後進に席を譲ることを拒否する例が多いようです。親子の間でも骨肉の争いが起こるというか、むしろ血がつながっている方が憎みあうみたいで、一流企業でこんなスキャンダルが出るのは見苦しい限りです。 それに比べれば、皇室は、辞めたくても辞められないトップがそのことに悩む訳で、問題の質としては、はるかに上品です。

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そしてもう一つ、宸襟を悩ませるのは、現在の皇太子妃雅子妃殿下のことです。彼女は、ご病気のこともありますが、いまだ皇室になじまず、溶け込めていないのではないか? ロイヤルファミリーになじめないのは仕方ないとして、皇室の重要な役割である、社稷を守ることと並ぶ、国民と共に歩む・・ということが、これでは無理なのではないか?と思われることです。果たして国民は彼女を皇后陛下すなわち、国母として仰ぎ見るでしょうか?

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現在の皇后陛下である美智子妃殿下も、大変なご苦労の上に、国民からの信頼と敬慕の思いを受けられるようになったのですが、雅子妃殿下にはまだその覚悟が足りないのではないか?

マスコミは、生前退位によって皇太子が空席になる・・という問題を取り上げていますが、最大の問題は、国民に愛され尊敬される皇后陛下となるか・・・です。

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でもまあ、雲の上のやんごとなき方々の世界は、私には関係ありません。むしろ私にとって非常に重要なのは、平成という元号が終わるかも知れない・・ということです、

なぜなら、元号は一世一元と決められているからです。

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これは重要な問題ですが、次号で、考えたいと思います。


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