【 ううっ 電波が私を攻撃する その1 】
【 ううっ 電波が私を攻撃する その1 】
地下鉄で通勤する生活が始まってから奇妙なことが気になります。
例えば、車内での車掌のアナウンスです。
数駅毎に下記の放送がされるのです。
「 携帯電話はマナーモードに設定して音声通話はお控えください。また優先席の付近では電源をお切りください。」
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この意味というか、理由がよく分かりません。
音声通話を不可というのは分かるけど、それなら音声以外の通話はあるのか?
もちろん、これはメールのやりとりを意味するのでしょうが、それを非音声通話または文字通話とでも言うのか? インターネットではリアルタイムでの双方向の文章書き込みをチャットと言いますが、普通に携帯電話のメールを送信したり受信するやりとりも通話と言うのかな?
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つまらね言葉の定義の話は置くとして、確かに公共の場所、特に人が密集した場所での電話ははた迷惑です。 面と向かった人との対話に比べてどうしても声量が大きくなりがちですし、話す相手が目の前にいないのに声を出すこと自体が異様です。
呼び出し音も、無関係な人にとっては迷惑きわまりないものです。
だから「マナーモードにして・・」という車掌のアナウンスはよく理解できます。
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しかし、この事情は国や環境で変化します。
日本では、静寂を求めるのは、人々の権利であり、公共の場所で大きな音や声を出すのは、他人の迷惑となりマナー違反なのですが、中国ではそうではありません。
中国では大声を出すことが一つの権利なので、静寂を求める方がむしろ理不尽な要求となります。 この日本と中国の差がなにゆえかは分かりませんが、一つの事情として、20世紀の歴史的背景があります。
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中国は40年前まで普通に餓死者がでた国です。 大声で自分を主張し、争いに勝たなければ、食糧にありつけず、淘汰されたかも知れません。 今、公共の場で喧嘩でもないのに大声で語り合う中国人は、その頃の生き残りとその子孫なのです。
文化大革命の影響もあるでしょう。 紅衛兵達は大声で既成権力や資本家達を批判し罵り、自己批判を迫りました。 論争の多くは極端に無内容で、幼稚な議論であり、結局声の大きい方が勝つという愚かなものでした。 その末裔たちが現代中国の住人なのだと考えると、中国人が大声で話すのも理解できます。
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文化大革命当時の中国をお前は知っているのか?と問われると、それは知らないのですが、同じころ、中国の文化大革命にかぶれた日本の大学生を、よく見かけました。キャンパスで拡声器に向かって、独特の抑揚の大声をあげ、中身の無い発言を繰り返す学生が当時たくさんいました。
しかし、日本の場合、学生運動の嵐が過ぎた後、人々は静かに話す日々に戻りました。
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欧州や米国の場合はどうか? 公共の場所での携帯電話の通話は、禁止はされませんが、おのずと小声で話すマナーがあります。
ある時期、空港のラウンジに入ると、多くのビジネスマンがイヤホンを携帯電話につなぎ、小声でボソボソと話しながら、部屋の中をうろうろしている風景に出くわし、ギョッとしたことがあります。 その頃、ボイスメモが流行し、コンピューターを秘書代わりにして連絡する人が急増していたのです。
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そして私は、欧州の列車の中で、携帯電話を使用して叱られたことがあります。
10年以上前ですが、英国出張中の取締役に同行して、列車で移動していた時です。
急きょ明日の予定を変更してロンドン郊外の観光をしたいと、その取締役が言ったのです。そこで私は携帯電話を取り出して、ロンドン事務所の女性秘書に自動車の手配と観光施設のチケットの手配を頼みました。
しかし、その電話を切った時、その取締役は、不愉快そうに
「おい、オヒョウよ。日本では列車の中での携帯電話使用はマナー違反なんだぞ。お前はそれを知らないのか?」
「えっ?」 確かに私が日本の事情、特に新しく登場した携帯電話のマナーについて疎かったのは事実ですが・・、その列車はコンパートメントになっていて、その部屋にはその取締役とオヒョウの2人しか乗っていません。他に乗客はいないのです。
別に他人に迷惑を掛ける訳でもないのに・・。
今思えば、その方の前でこれみよがしに、得意になって英語で電話したのが不快感をもたらしたのかも知れません。それに私は地声が大きいうえ、列車の騒音の中だったので、どうしても大声になります。 向かいに座った取締役を不愉快にさせたことは事実でしょう。
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今の時代なら、音声通話ではなくメールで秘書に連絡したはずですが・・・でも私は携帯電話のメールが苦手です。あの小さなボタンを押して文字を1文字ずつ選んで文章を作る非効率さに耐えられません。だから今だったとしても、やっぱり電話を選んだはずです。
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ところで、私が音声通話よりもっと大きな問題と考えるのは、「優先席付近では携帯電話の電源をお切りください」という点です。 これはなぜか?
以下次号
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