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【 田淵寿郎を探せ その2 】

【 田淵寿郎を探せ その2 】

震災後の東日本の国土建設では行うべき事がたくさんあります。

大別すれば、下記の通りでしょうか?

1.二度と同じ災害に見舞われない国土の建設

2.暮らす人にとって快適で豊かな環境の保証

3.経済発展の拠点として魅力的な地域の確保

まず1.が大きな問題です。

1,については、将来、今回と同じ規模の津波が来ても耐えられる堤防を建設せよ・・という意見がありますが、難しい問題です。今回の津波は1000年に1回の規模でしたが、来年、それを超える津波が来ないという保証はありません。

これまでの耐震設計や、津波対策の標準は、常に過去に経験した最大級のそれを参考にしています。例えば、従来なら関東大震災級の揺れに対して、耐えられる建築を標準にします。しかし、阪神淡路の直下型大地震でそれを凌ぐ加速度が観測されたら、あっさり、旧基準は無意味になります。実際、関東大震災級の揺れに堪えられたはずの高速道路は倒壊しました。

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津波だって、明治時代の三陸沖大津波に耐えられる堤防が用意されていたのですが、あっさりと、それを上回る波が襲来し、人の命をさらって行きました。

すると、学者達は「いや千年以上前の貞観大津波(869年)は、今回の3.11大津波と同じ規模だったから、その規模の津波はいつ来てもおかしくなかった」と、今になってから、語ります。 それは事実でしょうが、今の時点でその事を語る神経は、私には理解できません。

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地震後の津波は、ある程度正確に予測できますが、地震そのものは全く予測できません。

今の地震学は、過去の経験から、どの程度の地震なら起こりうるかを推理しますが、これはペテンです。地震のような自然現象は、経験則だけで議論できません。

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難しく言うと、過去の現象から未来が予測できる非マルコフ過程ではなく、過去の現象から未来が予測できないマルコフ過程なので、演繹的な推論が必要なのですが、それができていません。それだけ、遅れている学問と言えます。

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ちなみに余談ですが、鳩山前首相が提出した博士論文は、たしか「マルコフ過程でのシステムの故障について」の研究だったと思います。

でも、マルコフ過程の偶発的事象の発生確率がポアソン分布に則っている事は、理科系の学部の初年級で習います。彼の博士論文と似た論文は某私立大学の卒論で見かけます。鳩山氏はよくそれで学位が授与されたものだ・・。ちなみにオヒョウは、安全工学をちょっとだけ勉強したので、システムの故障率や事故の発生確率の考え方などは、学部の3年~4年の頃に学びました。

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話が脱線しましたが、どんなに高い頑丈な堤防をつくっても、それを超える波が襲来する可能性を否定する事はできません。人々は決して安心する事はできず、そして巨大な堤防を作ることは非現実的です。 それならどうするか?

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朝日新聞の社説には、コンクリート製の堤防で津波に対抗するのではなく、人々の家を高台に移すべきだ・と書いてあります。今回に限っては、この社説の通りだと思います。

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今回、冠水し、なかなか水が引かなかった土地は、今後も人々が生活空間とするのは不適当として、国が強制的に買い上げ、居住禁止区域にすべきでしょう。

今回の地震では、大規模および広範囲な地盤沈下が発生し、沿岸部ではゼロメートル地帯になった地域があります。津波の海水がいつまでも引かず、田畑が水没したままなのを見て不思議に思いましたが、弥富と同じゼロメートル地帯になった為でした。 その地域を埋立て、再び農地や住宅地にするのではなく、干潟のある公園にすべきでしょう。

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日本の幾つかの都市には“悲しみの公園があります。

恋人たちが憩い、修学旅行生が集まる横浜の山下公園は、関東大震災の瓦礫を廃棄して埋め立てた場所を公園にしたものです。本当は、あの公園では大震災に思いをいたすべきなのかも知れません。

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性格は異なりますが、広島や長崎にも、多くの犠牲者をだした悲劇の跡の公園がある事は言うまでもありません。木曽川下流にも伊勢湾台風の犠牲者を偲ぶ公園があります。

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今回の震災の犠牲者の冥福を祈り、再び災害を起こさないための戒めとなる巨大な公園が、三陸海岸の各入江にあってしかるべきでしょう。干潟には、石垣島あたりだったら、マングローブを植えるのですが、三陸海岸であれば、アマモかホンダワラあたりになるのでしょうね。

漂流物で埋まり破壊された海岸の自然が復活すれば、人々の心も多少和むかも知れません。

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しかし、人の住む家を置かないといっても、公園ならば人が入ります。

港もありますから、働く人もおり、人がいる時に地震と津波が襲う可能性があります。

その為には、頑丈な高層建築の避難所を設ける必要があります。高さは30m以上の鉄骨構造または鉄筋コンクリート(RC)構造で、普段は灯台に使います。それを入江毎に建設するのですが、その方が堤防の強化より現実的です。

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普段は施錠し、地震が発生したら、解錠するという方法もありますが、地震でシステムが壊れる可能性もあります。だから普段から誰でも入って上の階に行けるようにする必要があります。でも日本のエリートの人達の中には、誰でも入れるトウダイというのには、抵抗があるかも知れません。やはり難しい試験を突破した人だけをトウダイに入れるべきだと・・。

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しかし、今回の地震と津波の後の対応の悪さ、及び原発のトラブルに対して有効な対策を打ち出せない無能さを見ると、偏差値秀才の限界が分かります。

日本では、何か問題がある度にリーダーの危機管理能力の無さが露呈しますが、リーダーの選び方、育て方に問題があるのかも知れません。

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私は東大卒の人達が優秀である事を否定はしませんが、彼等の能力が人々を幸福にすることに十分役立っているとは思いません。願わくは、マルコフ過程のシステムの故障などという暇な研究ではなく、原発の安全な停止技術や地震と津波の確実な予測を可能にする研究をして欲しい。

まあ、無理でしょうけど。

東北地方のインフラをどうするか・・については、稿を改めて管見を述べようと思います。(多分水曜日以降になりますが)。






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コメント 5

ガンガンガン速

お邪魔いたします。
>リーダーの選び方、育て方に問題があるのかも知れません。
日本人の不得意分野なのかもしれません。先日NHK特集で、なぜ日本が日米開戦へ突入したのか、という主旨の番組をやっていました。その原因の一つに、強いリーダーシップを持ったトップの不在が挙げられていて、なんとなく今と重なるな、と思いました。
by ガンガンガン速 (2011-04-18 15:36) 

笑うオヒョウ

読者の皆様申し訳ありません。 書き間違いがありました。
ポアソン分布に従うのは、偶発的に発生する事故の発生であり、マルコフ過程と対応します。 非マルコフ過程と書いたのは間違いでした。
本文を訂正いたします。
by 笑うオヒョウ (2011-04-18 18:26) 

笑うオヒョウ

ガンガンガン速様 コメントありがとうございます。

日本に強いリーダーシップを持った人物が登場しない理由は、幾つかあるとされています。 もともと農村型ムラ社会では、天候と灌漑について知識のある人が、リーダーになっていましたが、本質的にリーダ不要の世界だったのかも知れません。

以前、TVでみた南極の風景で、ペンギンの営巣地を紹介していました。
大集団でしたが、解説では(彼らには、リーダーもいばる鳥もいない)と伝えていました。それで構わないとの事です。 日本はペンギン型の社会だったのかも知れません。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2011-04-18 18:33) 

けい

はじめまして。
田淵さんの名前で検索してこちらのエントリを
拝読させていただきました。

私事で恐縮ですが田淵氏は私の大叔母のご主人にあたる方です。
(田淵氏の義弟が私の祖父になります)
こうやって彼の偉業を取り上げていただき心より
嬉しく御礼申し上げます。

by けい (2012-02-24 20:50) 

笑うオヒョウ

けい様 コメントありがとうございます。

田淵寿郎氏の名前でレスポンスがあるとは、ちょっと予想していませんでした。 未曾有の国難に遭遇した時、人々は強烈なリーダーシップと先見性を持った人を求めるそうです。今現在、そういう人が見当たらない場合、過去はどうだったのか?と考えます。 司馬遼太郎の小説が流行るのもその辺りに理由があるのかも?と考えます。

大震災や大災害からの復興を考えた時、まず人々が考えるのは
後藤新平ですが、私は田淵氏を考えました。 名古屋の郊外、木曽三川の下流に暮らし始めて、彼の業績を改めて理解しました。でも、マスコミには全く登場しませんね。私は、マスコミが取り上げない人を取り上げます。 拙いブログですが、暇な時にご一読いただければ幸いです。
またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2012-02-27 21:26) 

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