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【 パリ・テキサス、バグダッド・カフェ 】 [映画]

【 パリ・テキサス、バグダッド・カフェ 】

大昔に気づいてよさそうなものなのに、ずっと知らないでいて、ある日突然気づくという事があります。 オヒョウは映画「パリ・テキサス」と「バグダッド・カフェ」をずっとアメリカ映画だと思っていたのです。 「パリ・テキサス」はフランスと西ドイツの映画で、「バグダッド・カフェ」はドイツとアメリカの合作映画でした。 ここでは映画のストーリーに触れませんが、舞台はどちらもアメリカです。

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アメリカ映画というと、どうしてもハリウッドの派手なアクション映画を考えてしまいますが、落ち着いたしみじみとした映画もあることはあります。 白黒映画にこだわる、ピーターボグダノビッチ監督の作品などはその代表だとオヒョウは考えます。 表題に取り上げた2つの映画は、乾いたアメリカの田舎を取り上げていて、登場する人物も、多くはアメリカ人ですから、当然アメリカ映画だと思ったのです。 しかし違いました。

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ある映画をどの国の映画とするか、映画の国籍はどこか・・・は、ちょっと面白い問題です。 スポンサーや映画会社の国籍はどこか? 監督の国籍はどこか? 脚本はどこで書かれたか? あるいは主演俳優が何人か? 主なセリフは何語で語られているか?・・・。

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いろいろな観点から映画の国籍は語られるべきですが、一応、正式には映画を制作した会社の国籍が採用され、複数の国の会社が合同で作る場合は、合作とか合同と言われるようです。 しかし、はっきりした決まりはないようです。 オヒョウは、観客がその映画の国籍を決めるべきだと思います。

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例えば、高倉健とチャン・イーモウが関わっている映画「単騎 千里を走る」では、日中合作となっており、舞台の大半は中国です。しかし、日本人が一人称でナレーションをする話のストーリーは、どうみても日本人向けにできており、もちろん主人公は日本人です。 つまり、これは日本映画なのです。

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見る人がその映画の国籍を決めるというのなら、「バグダッド・カフェ」も「パリ・テキサス」もアメリカ映画だ・・とオヒョウは言いたいのですが、あまり自信がありません。 

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この2つの映画は監督がドイツ人で、アメリカ人ではありませんし、娯楽大作でもありません。アメリカ映画とはもっと娯楽性を追求したものだ・・と考える人にとっては、この2つの映画はまさしくヨーロッパの映画(とりわけドイツの映画)という事になります。 オヒョウは「言われてみれば、そうかなあ」としか言えません。

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オヒョウはもうひとつ間違いをしていました。 「バグダッド・カフェ」の挿入歌「Calling You」を歌っているのはHolly Cole だと思っていたのです。

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映画そのものより、主題歌や挿入歌の方がヒットし有名になるという事がしばしばあります。この「バグダッド・カフェ」もそのひとつでしょう。 音楽評論家ピーター・バラカンは、この映画を見たとき、Calling Youを聞いて大変なショックを受け、映画館を出るとその足でレコード店に行ってこの曲を収録したアルバムを注文したそうです。

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彼でなくても、この曲を初めて聞いた時にはショックを受けます。 オヒョウはCallingとは何だろうか?としばし考えました。 単に誰かが呼んでいるという事ではなさそうです。 ”約束の地”が、あるいはその人が本当に幸せになれる空間が、人々を招いている言わば神の声がCallingではないか?とオヒョウは考えました。 そう言えば、中学の時、天職を英語では”calling”と呼ぶと教わりましたが、なぜですか?という質問に、先生からの明白な解答はありませんでした。 おそらくは、神が人を呼んでその職に就かしめるから”calling”なのかな?と勝手に解釈しました。

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そして、オヒョウはこの曲を歌ったのが、Holly Coleだとばかり思っていたのです。 そして先日、この曲を収録した彼女のCD ” Blame It on My Youth “がインターネットで売られているのを発見し、すぐに注文しました。しかし映画の中でこの曲を歌っていたのはHolly ColeではなくJevetta Steeleだったのです。 確かに声を聞けば微妙に違います。映画の中で聞こえる、透き通るようなハイトーンは、明らかにHolly Coleの声とは違います。

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ああ、ここでも勘違いか・・という訳ですが、まあそれでもいいか・・とも思います。 Holly Coleの歌も聴きごたえがあります。 少なくとも 「Sound of Music」のドレミの歌に感動して、ジュリー・アンドリュースのレコードを買ったつもりが、ペギー葉山だったなんて失敗とは訳が違います。

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ドイツの監督がアメリカで映画を撮影するというのは、それほど珍しくはないでしょう。 そして日本の映画会社が、外国を舞台にした作品を制作する事もますます増えるでしょう。役者の方もグローバル化して、”多国籍軍”のキャストで撮影する事になります。セリフの音声も音声多重化で、いろいろな国の言葉で吹き替えがなされます。 そうなるとますます映画は国籍不明です。 昔のように、これはスペイン映画、これはイタリア映画、という分類で考えていたオヒョウには、分かりにくい時代です。

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しかし、国別に映画の特徴を考えて分類する手法が 既に20世紀的で古臭いのかも知れません。


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