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【 トラとネコ 】

【 トラとネコ 】 

プロの将棋棋士の世界というのは、孤独な天才集団と形容すべきなのかも知れません。 全員がすばらしい知性の持ち主で、風貌は一流企業のエリートサラリーマンか、大学の先生といった感じですが、かなり風変わりな性格の人もいるようです。

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中位・下位の棋士が個性的でも特に目立たないのですが、トップ棋士の性格が個性的であれば、非常に目立ちます。エピソードに事欠かないトップ棋士といえば、過去には坂田三吉や升田幸三が有名ですが、現代にも多くいるようです。 女性関係のスキャンダルで世間を騒がせた人もいますし、酔っ払って空港で職員に暴行した棋士もいます。気の毒な事ですが殺人事件の被害者になった棋士もいます。

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殺人事件や暴力事件は論外ですが、将棋ファンは、棋士のいろいろなエピソードを歓迎します。 なぜならファンは、プロ棋士に憧れても、将棋の内容には取っ付きにくいからです。 難解なタイトル戦の棋譜だけを見ても、アマチュアの将棋ファンは付いていけません。だからファンはプロ棋士の人間臭いエピソードを喜ぶのです。

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新聞に掲載される各棋戦の棋譜を読んでも、オヒョウなどは、難しい将棋の変化を追いかけるよりは、試合中に交わされる棋士同士の軽妙な会話や人間臭い仕草に興味を持ちます。

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加藤一二三元名人は、その種のエピソードに事欠かない棋士の代表格です。 彼の逸話はあまりに多く、ネット上でも紹介されていますから、ここでは述べませんが、型破りの棋士である事は事実です。

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彼は若くして天才棋士の誉をほしいままにし、神武以来の天才と呼ばれましたが、大山康晴という壁に阻まれ、名人位を獲得したのは40代になってからです。

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名人就位の祝賀会のスピーチで、「神武以来の早熟の天才が、同時に大器晩成の人物であった事は、驚きであると同時に、壮年世代を勇気づけるものであります」と紹介されたのは、まさに彼ならではです。

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その加藤一二三九段が、近所の野良猫に餌をやって、近隣の住民の迷惑になり、裁判に訴えられて負けるという事態になりました。野良猫に餌を与えて近所で問題になる・・というのはしばしば聞く話ですが、裁判になったという事、それに当事者が将棋の元名人だった事でニュースになったのですが、ちょっと首を傾げる事があります。

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1.「僕はクリスチャンだから、子猫が飢え死にするのを見過ごせないから、餌を与えた。それは咎められる行動ではないはず」という彼の発言は不思議です。クリスチャンと動物愛護の精神は、必ずしも直結しないのでは?仏教徒にも動物愛護の精神はありますし、キリスト教徒でも野良猫駆除を主張する人はいるかもしれません。

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2.問題が起こったのは集合住宅の敷地内です。裁判に負けた加藤九段は「それなら敷地の外で餌をやる。それは裁判所も認めてくれた」と語っていますが、それも不思議な事です。余計なお世話ですが、既に現役を退いた元名人であれば、郊外に住んでも問題はありません。 騒動になったタウンハウスを離れ、郊外に一軒家を建てて暮らし、その自宅の庭で猫に餌をやればいいのです。敢えてそうしないのは、加藤九段の意地なのか、今の土地の野良猫に特別愛着があるのか、そこは分かりませんが、ちょっと不可解です。

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3.裁判になるまで地域住民と対立する理由が分かりません。

プロの将棋指しというのは、ある意味、自分を主張し、他人との意地の張合いを商売とする人達です。 他人の意見に妥協せず、敵対する事を避けない人達です。 でもそれは将棋盤に向かった時の話ですし、意地を張る相手は同業のプロ棋士に限られます。 世間とのお付き合いでは、仲良くするのも処世術・・という点では普通のサラリーマンと同じです。どうも、加藤九段は勝負師としての性格が強すぎて、他人との対立を厭わない・・・または対立を好む生き方になってしまったのかなぁ。

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かつて、名人戦の主催者の権利を巡って、毎日新聞社と朝日新聞社が争い、日本将棋連盟と朝日新聞社が対立した時、加藤九段は升田幸三九段と並んで、少数派の朝日新聞派の棋士になりました。加藤九段は、紳士的で上品な人物ですが、その時に将棋界にも敵を多く作ったのかも知れません。 オヒョウは他人と対立する事を厭わない孤高の生き方を尊敬するのですが、不器用だな・・とも思うのです。

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後に米長九段(当時)と対局した時、立会人から「お二人はよく対局で会いますね」と声をかけられた米長九段が「対局は合いますが、気は合いません」と冗談で答え、加藤九段が「そんな事はありませんよ」とくってかかり、はからずも気があわない事を露呈しました。彼らしいのです。

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オヒョウは加藤九段には、もっともっと周囲と摩擦をおこし、物議をかもして欲しいと思います。 なぜなら羽生善治ほか今のトップ棋士達はあまりにも優等生過ぎてつまらないからです。昔のトップ棋士はこれほどまでに個性的だったのだと・・示して欲しいのです。

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そのためには、野良猫の餌やりなんてケチな話ではなく、郊外に土地を求め、そこでトラを飼うぐらいの行動をして欲しいものです。トラの咆える声が恐ろしいと、近所から苦情が来るぐらいが将棋名人らしくていいのです。 やがて財産が尽きて、トラに餌をやれなくなれば、自ら身を投じて餌にしてやれば、本当の動物愛護です。さすが加藤名人と人々は言うかも知れません。

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でも、それはどうみても、クリスチャンの行動ではなく、お釈迦様の行動ですが・・・。


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夏炉冬扇

こんばんは。
皮肉が効いていますね。ナイス。
by 夏炉冬扇 (2010-05-27 19:27) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様 コメントありがとうございます。

最近、ドタバタして、頂いたコメントへのお礼と返事も滞っておりますが、
お許し下さい。
将棋界とトラの話は、ほかにもありますが、その内紹介したいと思います。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-05-28 11:19) 

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