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【 なぜ部下を信用しないか? 】 [政治]

【 なぜ部下を信用しないか? 】

 サラリーマンを経験した方なら、思い当たると思いますが、組織の中で仕事をしていて、自分に部下ができたら、仕事の仕方が少し変わります。一般に管理職者は、部下の能力を最大限引き出し、チームとしての成果が極大化するように考えるのが普通です。

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しかし、部下の有効活用を考えない場合もあります。具体的には今の内閣がそうです。本来、政府高官は、配下の官僚を部下・・・もっと言えば手足として使いこなすべきなのですが、そうはなっていません。

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民間組織であれば、トップは部下の人事権を握っていますが、官僚の場合、組織のトップである大臣は次官や局長を解雇する権限を持っていません。大臣はコロコロ替るからという事情からか、官僚組織の人事権は、実質的に官僚自身(とそのOB)が持っているそうです。そうでなくても、法律で身分が保証された公務員をみだりに解雇する事はできません。 つまり、官僚は閣僚の部下であって部下ではないのです。

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鳩山内閣・・・というか民主党政権は、反官僚を旗印に掲げて政権交代に成功しました。官僚を悪とし、官僚主導型の政治から、政治家主導型の政治への切り替えを標榜し、国会での官僚答弁を廃止する一方、人件費の大幅カット、人員削減、天下りの禁止、特殊法人の廃止を打ち出しています。

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根底には、官僚組織がいつの間にか、独立した自己完結の権威になり、自己の保全を最大の目的にして、国益に背く行為をしている・・という不信感があります。

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民間企業は不景気になると、待遇は悪くなる一方、労働は強化され、雇用は不安定になります。勢い、安定した職業である公務員に対する怨嗟の思いが現れ、エリートへの反発もあって官僚憎しの声があがります。 民主党の方針は、民間のそういった思いを巧みに取り込んでスローガンにしたのです。

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実際には、民主党政権を支える組織の中には官公労や自治労があり、人員削減や給与カットは簡単にはできません。マニフェストにはありますが実行できません。 建前としては、民主党は下級公務員の味方で高級公務員を敵視する・・という事なのでしょうが、官僚組織はある意味で結束しており、彼らを分断する試みが成功するかは疑問です。

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それはともかく、脱官僚を掲げたのはいいですが、官僚の代わりに執務にあたる政治家は、いい意味でも悪い意味でも素人です。能力に限界があります。普天間問題では過去何十回もアメリカ側と交渉し、合意案を練りあげてきた、外務省や防衛省の官僚を外し、海兵隊の意味も分からない素人政治家が交渉にあたった訳で、アメリカ側は、相当当惑したはずです。

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発言内容がブレまくり、過去の発言に対する釈明とお詫びを繰り返す鳩山首相を見ていると痛々しいかぎりですが、彼はなぜ部下である官僚を有効に使いこなさないのか? 理解できません。

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洋の東西を問わず、過去に成功した政治家は、官僚を上手に使っています。官僚を使おうとしない指導者は、裸の王様になるか・・・退陣に追い込まれるかです。 今鳩山政権はその危機にあります。

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では本当に官僚は悪者であり排除すべき存在か?オヒョウはそうは思いません。多くの公務員、特にエリートとされるキャリアの公務員は、自分の出世や生活の安定、自尊心を満足させるためだけに官僚となってのではありません。オヒョウの知る範囲で言えば、全体の奉仕者となる事の誇り、営利を追究しない仕事のやりがい、あるいは憂国の思いなどから公務員の道を選んでいます。 

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彼らが、マスコミや民主党政権が唱える様な堕落した存在であるとは考えにくいのですが、長年役人生活を続ける内に変節する事も当然あるかも知れません。

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民間企業にいても同様ですが、理想と現実のギャップ、自分の思いを実現できないもどかしさ、無力感を味わう事も多い訳です。 その過程で、事なかれ主義、安定志向、保身主義といった面が現れる可能性はあります。

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ばれた政治家は、役所の環境を改善し、官僚をして倦まざらせしめず、定年を迎えるまで、その能力を発揮せしめるべきです。しかし実態は逆です。 民主党政権も、一部の自治体も「役人は悪で懲らしめるべき存在だ」と主張します。

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これは「自分の部下の課員は、無能で月給泥棒だ」と外でふれまくる課長の様なもので、組織として自殺行為に等しいものです。

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官僚を排除するなら、政治家がそれに代わる能力を示さねばなりませんが、民主党政権の幹部の能力には疑問符が付きます。高速道路の無料化で、CO2が増えるのか減るのか、人によって言う事がバラバラですが、国交大臣も環境大臣もコメントできません。官僚のブレーンを上手に活用すれば、高速道路料金のゴタゴタなどすぐに解決したはずなのですが・・・。

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口蹄疫が流行しても、赤松農水大臣は何をしていいか分かりません。厚生大臣の長妻氏は、野党時代、消えた年金問題で厚生省を舌鋒鋭く追及し、自分は年金に詳しいのだ・・・と自他共に認めていました。しかし、自分が厚生大臣になった途端、消えた年金の問題の解決期限に全く触れなくなりました。何時問題が決着するのか分からないのでしょうか? 一方、政治家主導で提案した子ども手当法案は杜撰の極みで、専門家が練った法案とは言えません。 最近、彼は、自分をミスター年金と呼ばせなくなりましたが、これは厚生行政に通暁しているという、自負を否定するもので、民主党政権全体が巨大なアマチュア集団であると認める事にもつながります。

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どうして彼らは専門家集団である官僚を使いこなそうとしないのか?オヒョウには、以前から分かっていました。日本で本当のネンキンの専門家と言えるのは長妻某ではなく南方熊楠であると・・・。 

我ながら今回のオチはくだらないと思いますが。


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白熊パパ

年金と粘菌・・・素晴らしいオチです!
by 白熊パパ (2010-05-13 11:08) 

笑うオヒョウ

白熊パパ様 コメントありがとうございます。
お褒めの言葉に深謝します。

最近、精神的に滅入る事が多く、ダジャレの質が劣化しただけでなく、
本文の更新も滞っております。

今後、質と量の改善に努めますので、これからもお読み頂ければ幸いです。

by 笑うオヒョウ (2010-05-13 12:54) 

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