【 ジャンケンより先に殴り合え その4 】 [航空]
【 ジャンケンより先に殴り合え その4 】
24時間空港のポスターを見ていると、別の人の話が聞こえてきました。関西新空港に出向する人材を社内公募しているとの話です。・・・製鉄会社から空港を運営する特殊会社に行って、すぐに通用するものだろうか?・・・
「 ああ、オヒョウ君は関係ないよ。 実は関西新空港へ出向するのは誰でもいいけれど、東大法学部の出身者でなければいけないのだよ。だって運輸省(当時)の人と渡り合うには、こちらもそうでないといけない」
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オヒョウは第三セクターにも、いろいろな種類があり、必ずしも半官半民の企業がうまくいかない・・とは思いません。でも大半は失敗します。特に、最悪の場合なのは下記の3つの条件が揃った場合です。
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1.官の方は、天下り先と考えている。実際、天下った人は仕事はしないけれど、国の金は持ってくる。
2.民の方も、余った中高年社員の押し込み先として、考えている。
3.プライドの高い官と、実務に長けた民が反目しあう。
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関空の場合、2.は該当しませんが、1.と3.は該当します。こんな第三セクターが黒字になるはずがありません。最新鋭の設備を持つ空港ですが、運営する組織はお粗末だな・・とその時、オヒョウは思いました。
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かつて官僚による支配を極端に嫌った日向氏ですが、半官半民の第三セクターが官僚支配よりもっとひどい状態を生み出し、自分が旗振りをした関西新空港がその象徴的存在になるとは思わなかったでしょう。
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関西新空港の建設に心血を注いだ、日向方斉氏の愛弟子である、新宮康男氏が、空港会社の初代会長になりました。 初代社長は御巫氏です。 そして関経連の会長で「ジャンケンしたら」と言った下妻博氏は、その新宮さんの愛弟子ですから、関空の事を悪く言えるはずがありません。
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懇談会の3人では、どれか一つの空港を廃港にする決断などできません。おそらく、”三すくみ”のような状態で、赤字を垂れ流しながら、伊丹、関空、神戸の3つの空港は運営が続けられるでしょう。その状態はリニアモーターカーが、東京=大阪間を結ぶまで続く可能性があります。
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3つの空港が無駄だから、1つ減らそう・・という議論は簡単にはまとまりません。それなら外国の例は参考にならないでしょうか?
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世界の大都市をみると、3つ以上の空港を運営しているのは、ニューヨークとロンドン、ベルリン、モスクワの4つです。
ニューヨークは、JFK空港(旧アイドルワイルド空港)、ラガーディア空港、ニューアーク空港の3つの空港の役割分担が明確になって、それなりにうまくいっています。
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ロンドンは、ヒースロー、ガトウィック、スタンステッド、ルートン、シティの5空港に加え、バーミンガム国際空港もロンドンの空港に加えますから、合計6つの空港を持つことになります。
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ベルリンは、東西分断の時代の名残として、テーゲル、テンペルホーフ、シェーネフェルトの3空港がありますが、都市の規模に比べて3空港はいかにも多く、2空港に整理統合される予定です。
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モスクワの場合、計画経済の時代にできた3空港で、チェレメチェボ、ブヌコボ、ドモシェノボ空港ですが、ソ連崩壊後、3空港間の競争が激しく、老朽化の進んだブヌコボ空港は取り残されています。
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関西圏の人口規模、経済規模を考えると、ニューヨークやロンドン(グレーターロンドン)にはかないませんが、ベルリン(人口350万人)より大きくなります。 3つの空港が多すぎるか、それとも適当か・・・微妙なところです。
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つまり、3空港の効率的運用が可能なら、3空港とも存続できるが、それができないなら、ベルリンをお手本にして1つを廃港にするというのが現実的です。
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では、ニューヨークとロンドンはどうやって、3空港をうまく運用しているのか? ポイントは3点です。
1.1つの空港運営会社が、その地域の全ての空港を管理・運営しています。ロンドンでもニューヨークでも別々の企業が経営していたら、利害が対立して、絶対にうまくいきません。経営母体を単一にする事で効率的な運営が可能になります。
2.エアライン、あるいは利用者から見て分かりやすい棲み分けができています。 大手のエアラインの長距離国際便用、短距離国内専用、格安エアライン用、チャーター便用、或いは貨物機主体・・・という区分けが明確にあれば、それぞれの空港の存在意義がはっきりすると同時に、利害の対立も防げます。
3.運営母体は、自治体が出資した官営の会社ですが、独立採算を厳しく求められ、かつ天下り役人の幹部は、無給または薄給です。
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こうしてみると、関西の3空港の存続の議論では、上記の考察が全く欠落しています。 空港の赤字額だけに目が行き、どうやって黒字化させるかとか、どうしたら各空港の役割を明確にできるか・・の議論がなく、どの空港を潰すか・・というリストラ談義に、いきなりジャンプしています。
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オヒョウなら、ロンドン型(空港経営母体を統一して効率化し、各空港の役割分担を明確にする)の可能性を十分に検討し、それでだめなら初めてベルリン型(空港をリストラして2空港にする)の採用を決めます。
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実のところ、空港を2つにしても、効率的な経営を目指さず、無能な天下り役人がたむろする組織を温存するなら、問題は解決しないのです。
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本当に時間をかけて追究すべきは、ロンドン型の可能性です。それがだめで、ベルリン型と決まった場合に、どの空港をリストラ対象にするかは、実はそれほど本質的な問題ではありません。それこそジャンケンで決めてもいいのではないか?とオヒョウは思います。
ロンドンにそんなにたくさん空港があったとは知りませんでした。
確かに、ひとつひとつの空港存続の是非を別々に議論するよりも、
ずっと効率的ですね。
by おじゃまま (2010-04-19 17:12)
おじゃまま様 コメントありがとうございます。
実は、自慢にもなりませんが、私はロンドンの全ての空港を利用した経験があります。ご指摘の通り、空港の運営は、個々の空港単位で行うのでなく、
地域全体で考えるべきだと、私も考えます。日本の場合、空港毎に経営方式が違ったり、格付けの違いがあったり、なかなか一筋縄ではいかないみたいです。 前原国交相も、そのあたりにメスを入れるべきだと・・私は考えます。
またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-04-20 12:27)