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【 成田か羽田か 】 [航空]

【 羽田か成田か 】

 

こんな議論は大昔に語り尽くされた話なので、いまさら取り上げるのもどうかと思いますが、最近、羽田が本格的な国際空港になる過程で、再び議論されだしました。

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個人的にどちらの空港が好きか、あるいはどちらの空港を利用したいか?という質問であれは、大抵の人の答えは決まっています。

「羽田の方がいいですよ」「羽田の方が便利ですよ」。オヒョウの周囲でもほとんどの人がそう言います。

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出張の予定がはいった際、利用する便が成田発着だと分かって、「ありゃー」とがっかりする人も、オヒョウの周りにはいます。その理由は幾つもありますが、おおまかにくくると3つです。

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第一には都心からの距離、アクセスの問題です。羽田空港の場合、品川からの私鉄、あるいは浜松町からのモノレールで行っても近いですし、横浜からのバスも便利です。無論、自家用車やタクシーで行っても、東京や横浜からそんなに時間はかかりません。だから国内線の話なら、文句なしに羽田に軍配が上がります。

(もともと、成田の国内線は全く充実していませんが)。

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海外出張の場合だって、自分の家や会社から近い空港の方が便利に決まっています。だから、首都圏に住む多くの人にとって、羽田の方が便利となります。では千葉県に暮らす人の場合はどうか? 総武本線や成田線、京成電鉄の沿線あるいは東関東自動車道の近くに住む人には、本当は成田空港の方が近くて便利なはずなのですが、そう単純ではありません。千葉県でも木更津以東に住む人にとっては、羽田の方が便利です。それは東京湾アクアラインができて、羽田空港直結の高速バスが充実したからです。 一方、千葉市より東の人々にとって、成田に行くことは、鉄道でも高速道路でもかなり面倒なのです。

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もう一つの理由は、利用できる設備の違いです。羽田の国内線ターミナルにあるビッグバードは立派なショッピングセンターです。売られているのは食べ物とお土産が主ですが服などもお店にあります。こんな立派なショッピングセンターは成田にはありません。 だから、羽田の方が成田よりいい・・という人もいます。

でもこれは国内線だけの話です。羽田も国際線ターミナルのショッピングセンターは

大したことはありません。 現在、国際線ターミナルビルを拡充中で、お店も充実する予定だそうですが・・・・。

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成田でなく羽田を支持する人の最後の理由は、成田空港建設の時の経緯に関わるものです。その昔、昭和の時代、佐藤内閣が東京の第二空港の必要性を考え、成田の御料牧場を中心にした新空港の建設を閣議決定しましたが、世の中の革新派と呼ばれる人々は猛反対しました。 共産党、社会党、に加え、新左翼と呼ばれる人々は皆、反対派として結集しました。彼らは69年安保闘争の後、統一して行動できるテーマに飢えていたのです。 反対の理由はめちゃくちゃでした。 地元の農家の意見を聞かずに決定したとか、米軍に軍事利用されるに決まっているという・・根拠の乏しい理屈でした。 大事なのは反体制運動をするための口実が欲しかっただけです。

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成田開港後30年以上が経過し、今、成田闘争が正しかったなどと言う輩はほとんどいません。 まさにミネルバのフクロウは夕暮れに飛び立ったのですが、それでも若い頃に反成田を叫んだ人々の心の底には、成田空港に対する抵抗感があります。

だから、今でも成田空港という名前を聞くと反射的に否定したりけなしたくなるのです。 成田空港を褒めたりしようものなら、友達から軽蔑されたり、仲間はずれにされるのでは?という恐怖感を潜在意識の中に持つ昭和人は多くいます。

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現実はどうか? 成田空港は確かに不便ですが、安全な空港です。これまで成田で発生した死亡事故といえば、貨物機が着陸失敗してパイロットが2名死亡した事故のみです。成田がらみの乗客の死亡事故(事件)と言えば、その昔、成田発ハワイ行きの旅客機の荷物が爆発し、日本人少年が死亡した事故だけです。世界の大空港ではありえないほどの安全性とも言えます。 それに比べて羽田空港の場合、羽田を離陸して事故に遭った人、羽田の着陸を目指して事故の遭った人の数は、数多く、滑走路に3m間隔で墓標を並べれば、3000m滑走路がうまるくらいです。血塗られた空港です。

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成田は、不便だけれど安全な空港です。 そして不便さは努力で改善できます。

例えば・・・つくば学園都市と成田空港の間の交通機関は非常に不便でしたが、近いうちに改善されます。 かつては、世界的な大学者、研究者をつくばの学会に迎えるのに、田んぼの畦道のような道路を延々と走らなければならなかったのですが、圏央道が完成すれば、あっという間になります。

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長距離・長時間で評判が悪かった鉄道も、京成電鉄のスカイアクセス線の開通で随分快適になりました。 かつて美濃部東京都知事は、成田のような近い場所に新幹線を走らせる必要はないと主張し、成田新幹線計画を潰しました。彼の本音は成田新幹線ではなく、成田空港に反対だったのですが・・・。

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しかし、新幹線ではないけれど、標準軌の高速鉄道が、都内に短時間で入るようになり、成田へのアクセスの問題は相当程度改善されました。 後は東京オリンピックの前に、成田=東京=羽田を高速で結ぶ、新線を作るだけです。

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成田空港反対派が意気盛んだったころ、東京に空港は2つも要らない、ひとつあれば十分で、羽田を拡張すればいいだけだ・・と乱暴な事を言う人が多くいました。

しかし、今、そんな事を言う人はいないでしょう。 今、主要国の首都で国際空港を1つしか持たないのは、中国の北京ぐらいです。

首都級の都市の場合、最低でも空港は2つ必要です。ロンドンのように6つある場合すらあるのです。今、羽田は沖合拡張が一段落したあと、さらに新しい滑走路を計画して能力拡充を進めていますが、そうだとしても、成田が不要になる訳ではありません。 成田なしでは、日本の航空輸送は、破綻します。

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中国は、日本のODAで、世界最大級の北京首都空港を建設しましたが、たちまち手狭になりました。そこで現在、外国の首都を参考に、第二空港の建設を計画中です。

しかし、第二空港建設だけでは、夕方の慢性的で絶望的なダイヤの遅れを改善することはできません。軍国主義の中国では、北京付近の空域の大半を中国空軍が占めており、民間機は僅かに残された狭隘な空域を飛ぶしかなく、慢性的な運行遅れに

悩まされるのです。空港建設だけではダメです。

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どんなに拡張しても、日本の首都圏の空港は羽田だけでは足りません。成田を有効活用していくことが重要です。成田は成田で、よりよい空港を目指すべきです。そして私が考える良い空港とは、安全性や都心への交通機関の充実は当然のこと、どれだけ旅客をなごませる空間を用意できるか・・・です。

観光旅行、仕事の出張、やむをえない事情での移動、空港を利用する人々の事情はさまざまですが、皆、疲れて安らぎを求めています。癒しの空間が必要です。

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先日、成田の第二ターミナルを利用した時です。以前はサテライトと呼ばれる離れ小島のゲートに行くには黄色のシャトルと呼ばれる車両を利用したのですが、それが無くなり、長距離の動く歩道が設置されていました。新聞で読んで知っていたのですが、これがその動く歩道か・・と乗ってみたところ、左側に広いガラス窓が用意され、空港の景色がパノラマになって広がります。 大型の色とりどりの旅客機が目の前に並び、思わず目を見張ります。 私だけでなく、子供達はガラス窓に顔を寄せて、歓声をあげ、大人たちもカメラを向けます。

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「ああ、これまでこんなに見晴らしのいい場所は第二ターミナルには無かったかも知れない。成田も進化しているな」 と私は思いました。

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そして、私が好きなのは、成田と都心を結ぶ京成スカイライナーです。あの新しい電車は、高速でかつ快適です。 私にはちょっと贅沢ですが、あの静かな電車の窓から

外を眺めるのが好きです。

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どんなに疲れ、嫌なことがあった出張でも、あの電車に乗って、スカイツリーが夕日にシルエットになって近づいてくるのを車窓に眺めていれば、癒され、元気になります。

成田空港から会社に戻るまでに、いくばくかの時間があり、そこで気分転換できることがありがたいのです。 こんな時間の余裕は羽田空港にはありません。

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「成田までの新幹線なんていらない」と語ったのは美濃部都知事ですが、案外、彼が言ったことは正しかったのかも・・と、私は電車の日暮里駅到着を惜しみながら思いました。 

 

私は成田空港のファンです。


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