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【 貪吏を疾む(にくむ)也 その3 AIの時代 】 [中国]

【 貪吏を疾む(にくむ)也 その3 AIの時代 】

 

清廉潔白な官吏が公平・公正に業務を遂行しようとすれば、一切の感情抜きで、機械的に作業を進めるしかありません。機械的に・・といっても、お役人の作業はそんなに単純ではない訳ですが、許認可業務、あるいは何らかの判断を伴う業務については、極力機械的な(つまり感情の入らない)作業を目指すべきです。

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なぜなら、お役所の仕事では、許認可業務や判断業務こそが、汚職・賄賂の温床になる訳で、一切の私情を捨て、誰かに便宜を図るという発想を捨てる必要があるからです。

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いろいろな要素を数値化して、合計し、その大小で優劣を決めたり、合否を判定するという業務を人々は普通にこなしています。特に公平さと厳密さが求められる作業が対象で、具体的には入学試験の答案の採点と合否判定などの作業が対象になります。 それらは既にコンピューターの領域ですが、これからは、さらに複雑で数値化が困難な領域で、コンピューターの判断を求めることになりそうです。

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その道具としては、古典的なものではファジイ推論などがありますが、より複雑な事象に対応するには、最新のAIが必要になります。

現代のAIは、人間の思考過程を相当程度なぞってシミュレーションすることが可能だそうです。それどころか、人間より深く考察できることは将棋の対局を見ても明らかです。それなら、人間の判断業務をAIに委ねてもいいのではないか?と思います。

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賄賂を貰わず、身内をえこひいきせず、訴える者の肌の色や美醜によって評価を変えず、公平に判断する者が公務員の職にあれば、中国の社会はずっとましになります。いや、中国だけでなく日本でもそうかも知れません。AIこそ公務員、特に高級官僚に向いています。

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学校の入学試験にコネは通じなくなり、裁判も公明正大になります。

実際、三権分立が確立していない中国や韓国では、裁判官は法律よりも為政者の顔色を見て判決を下します。法治国家ではなく人治国家ですが、AIを裁判官にすれば、信頼できる判決が下されます。

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いや、三権分立が確立した国でも、メリットがあります。法律の素人の素朴な思いを尊重するために、日本や米国では、裁判員や陪審員を大勢並べていますが、素人であるがゆえの問題もあります。ここでもAIを判事にすることで、専門的な判断が可能になり、ずっとましになります。

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カレル・チャペックがSFを書いた頃は、ロボットが請け負うのは、過酷な肉体労働でした。しかし現代、本当にロボットまたはAIが真価を発揮するのは、知的労働です。その目的は、人間をその労働から解放することではなく、サービスを受ける人間が、よりよいサービスを受けることです。

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まずは、汚職追放をスローガンとする習近平皇帝陛下が率いる、中国の官僚と言うか(昔風に言えば)ノーメンクラツーラ達を全てAIにすべきでしょう。習近平以外は全てAI・・になれば、政敵によって、その座を追われることもありません。

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聞くならく、中国のAI研究は素晴らしいスピードで進んでいるそうです。本当ですかね?

http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151016-OYT8T50057.html

AIが官僚になれば、ますます中国共産党の無謬性は確実なものになるでしょう。

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でもあまりに優秀過ぎて、習近平より賢い事もばれてしまうでしょうね。

http://www.asahi.com/articles/ASK8344W5K83UHBI00H.html

http://blog.livedoor.jp/zzcj/archives/51944833.html

 

21世紀のAIが「王様の耳はロバの耳」とプリントアウトするのが目に浮かびます。

いや、中国の場合は、「国家主席の頭は、くまのプーさんの頭」かな?


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【 フリーゲージトレインの挫折 その3 】 [鉄道]

【 フリーゲージトレインの挫折 その3 】

 

遠隔地を結びつける事が鉄道の使命なのに、あえてゲージを変えて不便にするなんて愚かさの極みだと思うのですが、世の中にはさまざまなゲージの鉄道があります。

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有名なシベリア鉄道やスペインの鉄道の話は既にしましたが、それらは国防上の理由で敢えてゲージを変えたとされています。しかし、島国日本の中で、何種類ものゲージがあるのは愚かさ以外の何物でもありません。

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その問題を解決する手段の一つがフリーゲージトレイン(FGT)でした。 JR西日本は九州新幹線長崎ルートのFGTについては冷淡でしたが、じきに自分の問題として向き合うことになります。 北陸新幹線の敦賀以西の区間については、ルートは決まりましたが、運行方式には未確定の部分が残ります。暫定的あるいは恒久的にFGTを活用するという選択肢もあったのですが、今のままでは難しいところです。

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佐賀県や新潟県で見られた地域エゴというか、分担金不払いの問題は、今後も起きるでしょうし、北陸新幹線の残りの区間(敦賀=大阪)を、全線フル規格で同時に完成させるのも難しいでしょう。 そしてリレー方式もなるべく避けたいのです。FGTという選択肢をつぶしたことをJR西日本が後悔する日が来そうです。

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様々なゲージが混じっているという点では日本の首都圏の鉄道が最悪です。(関西も似たようなものですが)。その首都圏でも、もっともひどいのが、都営地下鉄です。標準軌の浅草線や、狭軌の三田線などに加え、京王電鉄と相互乗り入れするために、中間軌(鉄道馬車や都電の線路)の新宿線や、リニア駆動式の大江戸線まで持っています(大江戸線は線路幅としては標準軌を採用)。

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その首都圏で、FGT採用の可能性がうわさされています。それは狭軌である東急と標準軌である京浜急行の相互乗り入れで、京急蒲田駅とJR(東急)蒲田駅をつなぐという計画です。

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京浜急行の羽田空港線は同社のドル箱路線です。かつて京成電鉄が成田空港に路線を延ばした時に、長く赤字で苦しんだのとは大違いです。その京浜急行の一人勝ちを眺める東急は、悔しいに違いありません。東急グループは航空事業に早くから取り組んだ会社です。日本航空に吸収される前の日本エアシステム(東亜国内航空)は東急グループに属していました。

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狭軌の鉄道を持つ東急グループもぜひ羽田空港のターミナル駅に乗り入れたい訳ですが、それには東急/JRの蒲田駅と京浜急行の蒲田駅を結ぶ線路(つまり蒲蒲線)と、京急の標準軌の線路を使ってターミナルに乗り入れる工夫が必要なのです。

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そこで蒲蒲線にゲージ切り替え区間を設け、FGTを走らせようというアイデアが登場し、一部の鉄道ファンの間で盛り上がっています。しかし、これがうまくいくかは不明です。

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現在、利益を独占している京浜急行が簡単に応じるかは分かりません。そもそも、京浜急行とJRや東急は、鉄道車両設計の思想が全く異なります。両社が協力して技術開発するかは不明です。

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FGT以外にも方法はいくつかあります。

・成田空港方式:もともと複線用の空間に、京成電鉄(標準軌)とJR(狭軌)が1本ずつ乗り入れ、それぞれ単線で運用する方式。

・青函トンネル方式:3本レールを並べ、標準軌も狭軌も走行できる方式。

・近鉄方式:どさくさに紛れて、既存の狭軌の区間を標準軌に改軌する方式。東急多摩川線を標準軌にします。

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羽田空港は、今後さらに利用者が増えますが、連絡する鉄道が京浜急行とモノレールしかありません。近い将来、輸送力不足が顕在化します。ここは頑張って何とかJRか東急に乗り入れて欲しいものです。

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鉄道ファンの間では蒲蒲線への期待が大きく、開業に向けてのイメージソングを考えている人もいるそうです。なんでもカルチャークラブのボウイジョージが歌うカメレオンの歌だそうですが・・・・。

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日本以外でもFGTの需要は、いろいろあります。既に実用化しているスペイン以外では、旧東欧諸国や中国などです。中国は一帯一路プロジェクトで欧州との交通のパイプを太くしたいと考えていますが、その場合、標準軌の鉄道とロシアの鉄道(広軌)をスムーズにつなぐ必要があります。

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そして意外な国は北朝鮮です。かつて金正日がロシアをたびたび訪問した時は、国境で特別列車の台車を交換しロシアの鉄道に入っていましたが、ある情報では、最近、北朝鮮国内に、ロシアの鉄道(広軌)の線路が伸びているそうです。これは金正恩が、中国離れし、ロシアに接近している証拠だと思いますが、北朝鮮国内でのゲージ変換の必要が発生します。

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たかが、線路の幅の違いという小さな技術的問題ですが、それを通じて世界情勢が読み取れます。旧ソ連崩壊後、オーストリアや東欧諸国では標準軌への改軌が進み、ロシアの広軌が走る世界は急速に狭くなりました。一方で北朝鮮では広がっています。

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ゲージはバラバラのままですが、政治体制の違いを超えて、物流はますます盛んになります。古くて新しい技術FGTは、ますます重要になります。佐賀の新幹線での失敗を乗り越えて、FGT開発を日本は続けるべきだと思います。


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【 貪吏を疾む(にくむ)也 その2 百年河清を待つ 】 [中国]

【 貪吏を疾む(にくむ)也 その2 百年河清を待つ 】

 

日本の場合、公務員に求められるのは公僕の精神つまり全体への奉仕者という姿勢です。そして民間企業のサラリーマンが利潤の追求を命題とするのに対して、公務員は全体の公平の実現を目指します。その理想のためなら、民間より少ない俸給でも頑張る・・・かどうかは分かりませんが、その志はOKです。

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一方、中国の公務員は全く違います。民主主義国家ではないこの国では、表向きはともかく、公務員は人民・庶民への奉仕者ではないのです。では何に忠誠を尽くすのか?それは共産党に対してです。4000年の昔、皇帝に対して忠誠を尽くした役人と何ら違いはありません。常に上の存在に気を遣い、礼を尽くして、敬えというのは儒教の思想です。儒教は、民主主義や法の下の平等や公平さとは無縁の思想です。階級と序列を明確にし、上に対してはへりくだり、下に対しては尊大にふるまってよいのです。

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そして中国の公務員は、自分と身内のために仕事をします。それが当然であり、何が悪いのか?となります。その昔、難しい科挙の試験に合格し、晴れて進士になった官僚は、立身出世、つまり今風に言えば自己実現を目指しました。その自己実現とは、より大きな権力を持ち、私腹を肥やし、自分の家族・親戚にも富と権力を与え、さらには自分を育ててくれた故郷の一族郎党にも物理的に恩返しすることです。

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日本では、身内の公務員試験に便宜を図った市長が逮捕されましたが、中国の人が聞いても理解できないでしょう。なぜなら中国ではそれが当たり前だからです。

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司馬遷の史記に項羽の言葉として「富貴にして故郷に帰らざるは、繍を衣て(着て)夜行くがごとし」が登場します。

有名な言葉でご存知の方も多いでしょうが、おおまかな意味を申せば、「せっかく出世したのなら、里帰りして故郷の皆に自慢しなければつまらない。せっかく(自慢できる)きれいな絹の服を着たのに、夜に出歩いたのでは誰も見てくれないのと同じでもったいない」

ということで「自慢できることがあるなら見せびらかして自慢しなきゃ」という発想です。

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中国の古典に登場する言葉の中で、最も下品で私の嫌いな言葉ですが、敢えて項羽にそう言わせたということは、司馬遷は項羽を相当軽蔑していたのだな・・と思わせます。

見せびらかして何が悪いとか、自慢しなきゃ詰まらないというのは、司馬遷の時代でも、尊敬される考え方ではなかったはずです。

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しかし、中国で出世した役人が故郷に帰るのには、自慢以外にも理由があります。地元への利益誘導は当然であると同時にエリート官僚の義務でもあったからです。

以前のブログでもご紹介しましたが、破天荒という言葉は、地元出身のエリートが故郷に恩恵をもたらすという意味です。

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昔の中国では郷党の期待を担った秀才が見事科挙に合格してエリート官僚になれば、地元に莫大な恩恵がもたらされます。逆に秀才が長く輩出しなければ、その地方はひどくさびれます。中国ではその状態を「天荒」と呼びました。だから久々に秀才が現れ、科挙に合格して進士になれば、地元は大喜びしたのです。そして莫大な恩恵がもたらされました。その有様を「破天荒」と呼んだのです。

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だから、単純に型破りなとか常識を超えた・・という意味で「破天荒」というのは違います。

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話は脱線しましたが、今の中国の政治家にも地方による閥があるようです。有名なところでは江沢民一派が率いる上海閥で国政にも大きな影響を及ぼしています。あれだけ大きな国だから地方閥があっても仕方ない・・とも思いますが、実際には中国よりはるかに小さな現代の韓国でも、地方による派閥があります。大統領を輩出した地方は恵まれ、大統領を出さない地方は冷遇されます。民主化以前は、地方間の争いで虐殺事件があったりしました。

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地方による派閥、地元への利益誘導、我田引水あるいは我田引鉄(鉄道誘致)も一種の腐敗であり、習近平としては排除したいに違いありません。しかし、彼がそれを言うと、「単に目の上のタンコブである上海閥と重慶閥を排除したいだけさ」と勘繰られるのがつらいところです。

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それにしても、中国4000年の歴史において、権力者の横暴と官吏の不正・腐敗は宿阿のごとき存在で、一度も正されたことがありません。まさに「百年河清を待つ」です。

そして、貪官汚吏を憎む漢詩は大昔からあります。有名なところでは白居易が書いた白氏文集にある詩です。「黒潭の龍」には、無責任な役人が龍を神様としてあがめることを庶民に強要する話が登場します。その結果、庶民は苦しめられ、お供え物になる豚はとんだ災難であり、お供え物をちょろまかすことができるキツネは、いい思いをする・・というもので、役人の勝手で無責任な命令が、多くの人を理不尽な目に合わせるという政治風刺です。無論、お供え物をちょろまかすキツネと役人はグルです。

http://home.att.ne.jp/wave/ayumi/etcetc/Et_hak02.htm

白氏文集には、政治批判や社会風刺の詩がこれ以外にもありますが、唐の時代でよかった。 今の中国は、子供が「くまのプーさん」の絵本を持っていただけで、牢屋に入れられる言論弾圧国家ですから、白居易などたちまち逮捕されたに違いありません。

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習近平が本当に腐敗を撲滅したいと考えているかどうかは不明ですが、今の中国で公務員の腐敗をなくすことは重要です。今後も経済発展を続け、信用される国家にするためには不可欠です。

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これも、昔のブログに書いたことですが、メキシコの例が参考になります。

かつてメキシコはその経済規模(当時は国民総生産つまりGNPと言いました)が日本に近い存在でした。1964年の東京オリンピックの後は、1968年のメキシコオリンピックでしたが、その頃は肩を並べていました。しかし、日本はその後も高度成長がしばらく続き、経済大国に発展しましたがメキシコはそうではありませんでした。産油国として地下資源に恵まれたにも関わらず・・です。どうしてそうなったか?その違いの理由は何か?

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M井物産のSさんは、少し考えて、「それは汚職の少ない国と汚職の多い国の違いでしょう。諸悪の根源はあれですよ」と遠くに見えるPEMEX本社の巨大なビルを指差しました。 当時(たぶん今も)メキシコは腐敗の国であり、それが経済成長にもブレーキをかけているのです。腐敗した国は中進国(または先進国の手前)までは行けても、先進国にはなれません。

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もし、習近平が、経済成長が鈍化しつつある中国で、さらに成長を続けて先進国になるためには、腐敗の撲滅が必要と考えているなら、それは慧眼と言うべきでしょう。

しかし、現実にはそれは難しい。

 

ではどうすべきか? それについては次号で私の提案を申し上げます。


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【 貪吏を疾む(にくむ)也 その1 】 [中国]

【 貪吏を疾む(にくむ)也 その1 】

 

「中国共産党の核心」いう名前の皇帝に就いた習近平国家主席をTVで見ていて思います。彼は自分を毛沢東と同格のカリスマにしたいようですが、これまでの彼の実績とは何か?あるいは、彼は何をしたがっているのか? 今回はそこを考えてみます。

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マスコミ報道によれば、彼が特に拘っているのは、人民解放軍の近代化と強化、そして官僚の腐敗の撲滅つまり綱紀粛正です。今回はその内の後者について考えます。

彼の「官僚の腐敗を撲滅する」というキャンペーンに反対する人はいません。反対の余地が無い正論です。しかし、その実現を危ぶむ人と、習近平のキャンペーンは単に政敵を潰すための口実に過ぎない・・と考える人は沢山います。

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なぜなら、中国の高級官僚で腐敗していない人はいないと思われるからです。前の首相だった温家宝は一家で8,000億円もの蓄財をして、それを海外に置いています。それは米国のマスコミによって暴露されましたが、もちろん中国では報道されません。あのパナマ文書で明らかになったタックスヘイブンに財産を置いている資産家の中には習近平その人もいます。

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どうでもいいけれど、このスキャンダルが中国で報道されないのは仕方ないとして、日本でもほとんど報道されませんね。

重慶市のトップだった薄熙来も、腐敗が理由で失脚しましたが、重慶市の共産党の書記だった頃は、黒社会のヤクザと戦い彼らを懲らしめた英雄だったそうです。ちょうど遠山の金さんか、鬼平犯科帳の長谷川平蔵のような正義の味方だったのに、叩けば埃がでました。彼を失脚させた方も腐敗しているのは同じですが、権力闘争となれば、相手の腐敗だけをヤリ玉に上げます。それはともかく彼の逮捕でがっかりした重慶市民がたくさんいることを私は知っています。

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そして高級官僚だけではありません。下位の公務員も立派に腐敗しています。

私が昆山で暮らしていた頃、外国人が住めるマンションは、1,2軒しかありませんでした。市の公安当局によって、日本人が居住していいマンションが指定されていたのです。それほど高級という訳ではありませんが、洋式のトイレ、エレベーター、インターネット、完全冷暖房で、衛星放送で海外のTVが見られる高層マンションは限られていたのも事実です。そのマンションで暮らしたのですが、私の部屋の家主は、一介の巡査でした。彼は私の部屋以外にも複数の部屋を持っていて外国人に貸していました。その家賃収入は警察官の俸給をはるかに上回っていたはずです。

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どうして彼がそんな不動産を所有できたか? それは警察官の役得があったからです。

露天商などの営業許可の発行、交通違反のもみ消し、黒社会への情報提供等、賄賂の材料はどこにでもあります。ひどい話ですが飲酒運転で死亡事故を起こしても、賄賂を警察に納めれば、翌日からまた車を運転できる社会です。

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話は脱線しますが、警官が腐敗しているのは中国だけではありません。米国ではパトロール中の警官がレストランで飲食してもお金を払わないことも多いのです。メキシコでは警官だけには道を訊いてはいけない・・と言われました。ベトナムの警官も賄賂を貰います。

英国の警官は潔癖で有名なので、ロンドンにいた頃、秘書嬢にそれを言うと、顔をしかめて、「ロンドンの警察が潔癖ですって? とんでもない!」と否定されました。

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警察が本当に信用できるのは、日本とシンガポールぐらいかな? いや日本も微妙だ。

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警察官だけではありません。電力会社の人も同じでした。今はかなり改善されましたが、華中地域で電力不足が深刻だったころ、供電局の配電係の人は接待漬けになっていました。電力不足のために突然停電になったりすると工場が止まってしまいます。なんとか我が社の工場だけは、停電対象から外してください・・・と接待と賄賂攻勢です。ロレックスを腕にはめた供電局の担当者は昆山の高級レストラン全てで接待を受け、ある高級店に案内すると、「ああ、またここですか」と言い、高級ワインを飲んでは、「やはり国産よりもフランス製ですね」とつぶやきました。

電力不足の夏が終わり、少し涼しくなると、今度は月餅を配ります。もちろん、月餅の菓子折りの下には別のものが入っていて、「来年の夏もよろしく」となります。

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一つ間違うと、贈賄で捕まるかも知れない、この仕事は中国人幹部に任されていました。もし問題が露見しても日本人に罪が及ばないようにということと、機微にふれるデリケートなやり取りは日本人には無理だったからです。

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これらが悪いことであるのは論を待ちません。しかし、ある種の汚職や賄賂で社会が円滑に回っていたのも事実です。今、綱紀粛正を求める中国社会では贈答用の高級品が全く売れなくなり、景気は悪化し、官僚は李下に冠を正すまいと何も決定しなくなったために、公共事業の停滞が問題化しているそうです。

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話をもとに戻します。中国では、腐敗した役人を貪吏と言いますが、詳しく言えば「貪官汚吏」です。貪官は、強欲でさもしい高級官僚、汚吏は腐敗し賄賂を受け取る小役人です。マンション経営に余念のない巡査などは後者かも知れません。

この上から下までの腐敗の原因は何なのか?

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直接の理由は官僚の志の低さですが、その根底には儒教文化があるのではないか?と私は考えます。 それについては次号で申し上げます。


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【 ああ前方後円墳 その2 】 [雑学]

【 ああ前方後円墳 その2 】

 

日本が巨大な前方後円墳群を世界遺産に登録しようとすれば、韓国は前方後円墳韓国起源説を唱えて、反対・妨害を始めるでしょう。現時点で彼らの唯一の論拠は、朝鮮半島にも前方後円墳に類似した墳墓があるという事実です。

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韓国でもまだ文字が登場する前の古墳時代の遺跡ですから、現時点で情報は少ないのですが、前方後円墳の韓国起源説を裏付ける資料が、今後たくさん発見されるでしょう。その中には、古墳時代の資料として、西洋紙にボールペンでハングル文字を書いたものもあるかも知れません。

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韓国の人達は全ての文化、全ての文明が朝鮮半島発祥だと主張します。私は、それはパロディだと思っていました。なにせ孔子やキリストが韓国出身で、日本の剣道、日本刀、お寿司の海苔巻き、桜のソメイヨシノ、果てはスタジオジブリの「となりのトトロ」まで韓国起源だと主張するのですから。しかしそれらは冗談やパロディではなく、その荒唐無稽な主張は大学教授レベルの真面目な人が唱えているのです。そしてこじつけとしか思えない無茶苦茶な証拠を根拠にしています。

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韓国の捏造の典型が今韓国で上映されている「軍艦島」という映画です。日本の軍艦島が世界遺産に指定されたことに刺激されて製作されたものですが、その中身は荒唐無稽です。朝鮮半島からの徴用工が奴隷のように働かされていた端島の海底炭鉱で、敗戦濃厚な日本が非人道的な扱いが米国にばれるのを恐れて、徴用工を爆殺しようと計画します。それをいち早く察知して、徴用工たちが爆破を逃れて辛くも脱出するというバカげた話です。

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少しでも炭鉱の事を知っている人なら、例え内部の人を抹殺しようと考えても、爆破することはありえません。恐ろしいことですが、水封つまり坑道を水没させるのが一般的です。炭鉱そのものを破壊する愚挙は考えられませんし、爆破すれば地上にも被害が及びます。そして勿論、端島(軍艦島)の炭鉱で爆発は起きていません。

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この映画を観た人の中にはそれがフィクションだと認識する人もいるでしょうが、歴史的事実だと錯覚する人もいるでしょう。そして後世、この映画の内容が真実になって独り歩きするのです。映画の制作者は明らかにそれを期待し狙っています。

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さらにひどいのは、韓国の歴史教科書です。それには太平洋戦争中、朝鮮半島や済州島で奴隷狩りのようにして集めた従軍慰安婦数十万人(20万人)を南方の前線に送って性奴隷としたあと、戦況が不利になるとアメリカに慰安婦の事実が露見しないように彼女たちを殺害したと書かれています。(だから生き残っている証人が少ないというのですが)。

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20万人といえば、20個師団に相当します(例えが古いですね)。戦争中、兵站が絶たれ、食糧も弾薬も医薬品も兵隊も絶対的に不足し、ついには戦病死や餓死者が続出した日本の南方戦線に物資や兵員ではなく、慰安婦を送ったというのですか? 20個師団分も? 輸送手段は輸送船だったのか潜水艦だったのか?でたらめにも程があります。

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被害者は最終的に殺されてしまったため、今は証人が少なく証拠も無いというのは韓国のトンデモ学説の常とう手段のようです。問題はこんなデタラメを教科書に載せて教育している韓国政府にどうして日本政府は抗議しないのか?ということです。日本の教科書には最大限干渉して、難癖をつけるくせに、韓国政府の悪意を持った捏造教科書に抗議することは許されないのか?

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トンデモ学説を放置し甘やかしていると捏造はどんどん進みます。将来、前方後円墳の起源が議論される事態になったら、正々堂々と相手の仮説を否定・論破する必要があります。 だからそのために、前方後円墳については研究を深め、理論武装する必要があるのです。

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でも、前方後円墳韓国起源説が否定されたら韓国の人達はどうするでしょうかね?多分、仁徳天皇陵は朝鮮半島からの徴用工を酷使して作ったものだと主張するでしょう。そしてソウルの日本大使館の前に、もっこを担いだ古墳時代の労働者のブロンズ像を立てるでしょう。こちらは放置するしかないでしょうね。例えウィーン条約違反だとしても。その像によって、名誉が傷つくのは実は日本ではなく韓国であることに彼の地の人々は気づきません。

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ベトナムの人が主張するように、被害者であることを声高に叫ぶことは決して名誉なことではないのですが、それに韓国の人は気付きません。

でも、悪い事ばかりではありません。南北朝鮮の両方とも、銅像造りが得意であることは、世界中が認めることでしょう。


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【 ああ前方後円墳 その1 】 [雑学]

【 ああ前方後円墳 その1 】

 

堺市の百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録される可能性がでてきました。

http://www.city.sakai.lg.jp/kanko/rekishi/sei/index.html

個人的には大賛成ですが、少しひっかかることと、不安なことがあります。

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最近、私が子供の頃に教わった日本史の常識が次々と覆されています。

例えば有名な源頼朝公の肖像画が別人のそれであったり、鎌倉幕府開闢の年が違ったり、

仁徳天皇陵とされた古墳が実は仁徳天皇の墓ではなかったり・と言う具合です。

果ては歴代の天皇の中でかなり有名な存在である仁徳天皇が実在しなかったという説まであります。古事記と日本書紀の記述に矛盾があることから、一人の天皇を二人に分けたのではないか?という説です。

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歴史は後世の権力者が自分に都合よく書き換えることがあります。だから真実を追究した結果、それまでの常識がひっくり返ることは、しばしばあって当然です。

でも、なんだかしたり顔で、皆が信じていた常識を否定して得意になっている人をみると、それもなんだかなぁ・・という気持ちになります。

世界最大の墳墓とされる古墳が仁徳天皇陵ではなかったとして、では誰のものなのか?

文字の記録が無いために知られていない無名の豪族のものだったのか?その辺りを早く研究して結論をだすべきではないか?と思います。

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なぜなら、百舌鳥の仁徳天皇陵と比較される巨大墳墓であるエジプトのクフ王ピラミッドや、中国の始皇帝の陵は、ちゃんと被葬者が確定しています。エジプトの場合、世界中の考古学者が研究して多くの事実を解明しています。それに対して、日本の古墳は被葬者も判らない・・では世界遺産として、ちと情けない話です。

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墳墓ができた時点で、その地に文字があり、正確な記録が残せたエジプトや中国と比較して、日本の古墳時代には文字が無くハンディキャップとなるのは仕方ないことですが、ただ「大きいから」とか、ただ「古いから」というだけでは世界資産として不適切です。

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もう一つの懸念は朝鮮半島の存在です。

以前、川崎のご隠居と山口県柳井市の茶臼山古墳を訪れた時に議論したのです。

茶臼山古墳1.png    茶臼山古墳2.png

私が学校で教えてもらったところでは、前方後円墳は日本独自の様式で我が国固有の文化を示すものだという解釈でした。しかし、その後朝鮮半島にも類似した墳墓が確認され、我が国固有・・ではなくなったのですが、一般的には前方後円墳は日本で確立した古墳の様式とされています。朝鮮半島に存在するのは、日本の影響を強く受けていた地域で日本の様式を取り入れたものだ・・という説が主流のようです。

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しかし、朝鮮半島で前方後円墳に類似した土塁が見つかるのは、全羅南道と全羅北道、つまり朝鮮半島の南西端です。必ずしも日本の勢力が及んだり日本人が居留したりした場所ではないようです。日本で確立した様式が韓国に及んだという説の根拠がどの程度あるのか微妙です。韓国側にはそれらの墳墓に関する記録や資料がほとんど無いようで、どの仮説についても根拠が薄弱にならざるをえないようです。

川崎のご隠居との話でも結論はでませんでした。

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しかし、日本が前方後円墳の典型である百舌鳥・古市古墳群を世界遺産に申請すれば、朝鮮半島の人達が黙っているはずはありません。誇り高い彼の地の人々には、日本の文化を受け入れた遺跡が朝鮮半島にあることには堪えられないはずです。必ず、前方後円墳は韓国発祥であり、日本のそれは、韓国の文化を模倣しただけで、世界遺産の価値は無いと主張するでしょう。

 

それについては次号で考えたいと思います。


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