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【 台車亀裂事故 その4 】 [鉄道]

【 台車亀裂事故 その4 】

 

マスコミでも報道されていますが、今回事故を起こした新幹線の台車は川崎重工製だそうです。ちなみに毎日新聞が取り上げて比較している、昨年の東武鉄道の台車亀裂・脱線事故の台車は旧住友金属製でした。・・ということは10年以上前の製品です。

https://mainichi.jp/articles/20171213/k00/00e/040/261000c

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川崎重工製と旧住友金属製ということでメーカーが違いますが、それ以上に大きな違いがあります。今回の新幹線の台車は非溶接部の亀裂、東武鉄道の台車は溶接部の亀裂でした。

現象とし全く異なる案件であり、それを同一に扱うあたり、やはり毎日新聞らしい・・と思います。

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かなり昔になりますが、中目黒で地下鉄日比谷線の脱線事故があった際、旧住友金属製の台車にひび割れがあったと大騒ぎした新聞がありましたが、これも全くピントがずれていました。脱線事故の原因は、線路の曲率が急激に変化する箇所で速度を出したことです。台車のひび割れは、それはそれで問題ですが、事故の原因とは無関係です。

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マスコミ批判ばかりしても無駄です。ここは真面目に原因追及のアプローチを考えてみます。コメントをいただいた霍去病様も指摘されていますが、工業製品で何等かの問題が生じた場合、メーカー、素材メーカー、設計者の3段階でそれぞれ問題がないかを確認する必要があります。これは原因がどこにあるかで対処方法が全く異なるからです。

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もしメーカーに原因があるのなら、そのメーカーの製品だけを使用中止にして対処します。タカタのエアバッグに欠陥があれば、他の会社のエアバッグに切り替えて対応します。

実は鉄道車両も同様で、複数購買で安全を確保するのです。もし川崎重工の電車で問題がおこれば、日立や日本車両の車両に切り替えます。川崎重工の台車に問題があれば、住友金属(今は新日鉄住金)製に切り替えます。実際にはそう簡単ではありませんが。

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しかし、もし欠陥が車輪だったら・・・・日本では鉄道車輪を作るメーカーは少なく、旧住友金属の独占です。その場合は大問題となります。実は20年以上前になりますが、新幹線用車輪で品質問題が出かかったことがあります。幸いにして大きな問題にはなりませんでしたが、大阪製鋼所の幹部がその問題で自殺しています。本ブログでは詳細を言えませんが、和歌山製鉄所から供給する素材に問題があったのです。

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霍去病様がご指摘されたように、問題の部品の素材はどこのメーカーが製造したのか?というのは重要なポイントです。以前のブログで触れましたが、ISO9000の考え方のポイントはまさにそこにあります。

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しかし、素材やメーカーに原因があったとして問題を限定できればいいのですが、そうでないのが一般的です。設計自体に問題がある場合が多いのです。

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設計にゆとりがあれば、素材や加工・組立方法に何等かの瑕疵があっても、カバーできます。昔の機械は安全係数(安全率)を大きく取り、信頼性の乏しい材料や加工方法をカバーしてきました。重厚長大を可とする、名前を付ければ蒸気機関車(SL)型の設計です。 戦前に設計されたSL100年経っても問題なく走ります。 

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しかし、最近の設計はそうではありません。一種の限界設計で、安全係数を下げてでも、軽薄短小を狙い、乗り物であれはそれで高速化や省エネ化を狙うのです。名前を付ければ飛行機型の設計です。

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高速鉄道の歴史とは、SL型の設計と飛行機型の設計の葛藤の歴史でもあります。日本の鉄道では、何時頃から、SL型と飛行機型がぶつかったのか? 住友金属の顧問として来られた旧国鉄の島技師長の話では、リニアモーターカーの研究が影響したようです。

 

それについては次号で申し上げます。


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