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【 シトラス・アイランド その2 】 [広島]

【 シトラス・アイランド その2 】

 

前述の通り、近年の果物の品種改良は、めざましい早さですが、柑橘類の場合、基本的に、より甘く、より大粒にすることを競っているようです。その方が客に好まれ、より多く売れるからです。

夏ミカンなどは、少しでも甘い品種が登場すると、以前のすっぱい果実は見向きもされなくなります。ミカン山では商品価値の無くなった、夏ミカンが、フットボールとして遊ばれ、野生のイノシシの餌になっているそうです。

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一部はブリなどの養殖魚の餌になります。夏ミカンを食べたブリは商品価値が高まるのだとか!果物を食べて育つ魚がいるのか・・・。その内、マスクメロンを食べて育ったハマチなんてものが、登場するかも知れません。

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果物が甘いのは悪いことではありませんが、ひたすら甘さを競うのが、本当にいいことなのでしょうか? 昔のリンゴにはさわやかな酸味があって、リンゴならではの風合いがありましたが、最近のリンゴは酸味よりも甘味です。ひたすら甘いばかりでちょっと詰まりません。

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ただ甘いと言っても、証拠が無いじゃないか・・ということで最近は糖度計なるものを用いて、甘さを定量化して表示しています。私が行くスーパーでは、多くの果物で糖度が数値で表示されています。学力テストじゃあるまいし、なんでもかんでも数字で示すというのは、ちょっと抵抗があります。

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世の中はビッグデータ解析の時代だそうで、全ての現象、特質を数値化して解析し、マクロ的な現象を解明しようという試みが流行っています。しかし、全てを数値化できるのか、そして数値化することの是非はどうなのか? と考えてしまいます。 糖度を競い合い、その内に××農園のミカンは偏差値70、東大でも合格OKの甘さ!なんて宣伝文句が登場するかも知れません。 そんなのは、私は嫌です。

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柑橘類の特徴は甘さだけではありません。品種によって違いますが、さわやかな香り、思わず唾が出そうな酸味も特徴です。

 

街をゆき 子供の傍を通る時、蜜柑の香せり 冬がまた来る

 

というのは木下利玄の歌ですが、これはリンゴなどの他の果物では成立しない歌です。

おそらく、今よりもずっと酸っぱく、小粒で薫り高いミカンを食べていた頃の歌です。

「柑橘類はやはり香りが大事だ」と思った私は、「はるみ」と「ポンカン」を買い求めました。

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あいにく朝市の時間ではなく、名物の「みかん大福」も売っていません。

IMG_0955-s.jpg 

通りすがりの人に訊くと、大芝島以外では、西條の町か因島に行かないとないだろう・・とのことで諦めました。 もともとハッサクなどを大福餅に入れて、売り出したのは因島らしく、大芝島はそのパクリだそうです。 しかし、もとをただせば因島の大福餅もイチゴ大福にヒントを得たものです。 だから、みかん大福をオリジナルと言い張るのも難しいところです。

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それはともかく、みかん大福を食べられないのも少し残念です。そして、前述の晩柑祭りにどんな柑橘類が登場するかも、興味がありますが、残念ながら見ることはできません。 34日は、既に広島にはおりません。 晩柑祭りの1週間前に、広島県呉市を去ります。

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ぼんやりとみかんのことを考えながら、改めて当地でやり残したことの多さに気づきます。前にも同じ感覚になったことがあるけれど、広島での時間はあまりに短かったな・・と 思います。

 

そこで、ちょっと駄句で恥ずかしいのですが・・・

 

行く人の 晩柑の香を 語らざる


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