【 お客様の中にどなたか・・ その2 】 [航空]
【 お客様の中にどなたか・・ その2 】
飛行機の中で具合が悪くなるのは、人間だけではありません。むしろペットの動物の方が強いストレスを受けます。 昔、学校にいた頃、生体の振動について学んだのですが、胃袋の固有振動数と乗り物酔いに関係がある・・という論文を読みました。
・・・・・・
食道などにぶら下がる形の胃袋は固有振動数を持ちますが、外部から加わる振動の振動数と合致すれば、一種の共振(自励振動)が発生し、乗り物酔いが起こります。
一般に乗り物の振動は大人の胃袋の固有振動数より高周波なので、大人はそれほど酔いませんが、それでも、低周波の波に揺れる船では酔います。胃袋が小さく固有振動数が高い子供はバスでも乗用車でも酔います。私の次男などは、幼児の頃、飛行機に乗るたびに嘔吐していました。
・・・・・・
人間の子供ですらそうなのですから、もっと胃袋の小さいペット(小型犬)にとって、乗り物の乗ることは、さらに強いストレスです。そしてペットの多くは飛行機では与圧された貨物室に入れられます。
・・・・・・
しかも人間の場合は、飛行機に乗る目的、予想される環境や搭乗時間が明らかになった上での経験ですが、ペットの場合、訳も分からず、飼い主から離され、暗く狭い空間に閉じ込められ、運ばれるのです。 騒音・振動はありますし、与圧するといっても、地上より減圧してしかも乾燥した大気の中に置かれるのです。
・・・・・・
貨物室のドアが閉まるまでずっと鳴き続けていた犬もいましたし、ストレスのために機内で死んでしまう犬もいるそうです。
http://matome.naver.jp/odai/2137665792959431201
これではいけない・・とばかり、最近は各エアラインが競争で、ペットを客室に持ち込めるようにするサービスを開始しました。 私自身が試した訳ではないので、確たる証拠はありませんが、この種のサービスが最も進んでいるペットに優しいエアラインはエアカナダだそうです。
http://www.aircanada.com/jp/travelinfo/airport/baggage/pets-in-cabin.html
エアラインがペットの機内持ち込みに寛容になり始めたのは、下記の2つの理由からです。
(1) リゾート地などに出かけるお客に、(家族の一員である)ペットの同伴・同席を求める声が高くなったこと。
(2) 国際線の場合、ペットにとって、さらに苦痛でストレスだった動物検疫所での長期間の検疫保管がマイクロチップの埋め込みなどで、簡略化されてストレスがなくなり、ペットの飛行機での移送が増えると同時に、相対的に機内のストレスの方がクローズアップされたこと。
http://world.relocation.jp/navi/guide/post-28.html
ペットを粗略に扱って、お客の印象を悪くすると、エアラインにとっては大変です。お犬様には客室で座席に座っていただくのが適切です・・・・そうかな?
・・・・・・
しかし、これはこれで問題があります。 盲導犬や介助犬のように適切な訓練を受けた犬ならともかく、普通の犬なら慣れない環境に不安を覚えてパニックになる可能性もあります。飛行機酔いでそそうをする可能性もあります。ケージに入れたとして、荷物棚には入れたくありませんし、足元にも置けません。 人間と同じように、座席を占領することになるでしょうが、混雑する便では、「お犬様に、一席分確保するのか?」ということになります。
・・・・・・
それにいくら客室に入れたとしても、振動・揺れは貨物室と同じです。気分が悪くなるペットがでてきます。気圧も低いし乾燥しますから、犬の鼻も乾燥します。 具合が悪くなる犬は、貨物室にいても客室にいても、悪くなるのです。
・・・・・・
そのうち、スチュワーデスが通路を小走りに走り、「お客様の中に誰か、獣医さんはいらっしゃいませんか?」と呼びかける日がきっと来ます。
コメント 0