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【 手塚治虫論 その3 】 [アニメ]

Yusai-Zenji様 コメントありがとうございます。

 

今、私は日本におりますが、来週は月曜日からまた外国です。

12月も、ほとんど日本におりません。

 

さて、ご指摘の通り、なにゆえ今手塚治虫か?と訊かれると回答に窮します。

ジブリの時代に昭和の漫画家を論評するのは、新幹線の時代にSLの話をするようなもので、中年男の懐古趣味・・というだけでは説明になりません。しかし、下記の事は言えると思います。

1.手塚は顔の見える漫画家時代の代表選手だった。

  かつて、貸本屋の漫画の時代が終わり、少年漫画誌が登場した頃、人気作家は読者の少年達に身近な存在でした。赤塚不二夫の「おそ松君」、横山光輝の「伊賀の影丸」、石森章太郎の「サイボーグ009」藤子不二雄の「おばけのQ太郎」、おざわさとるの「サブマリン707」等、内容は子供向けで、今思えば論評に値しないものでも、作者の顔とイメージが、作品と一体になって連想されるものが多かったのです。

  その代表格が手塚治虫でした。

  一方、現代は、漫画はベストセラーになっても、作者の顔は見えてきません。

  (まあ、私が知らないだけかも知れませんが・・)

  「名探偵コナン」の作者が青山某だということは聞いていても、どんな人物かは分かりません。中里介山の「大菩薩峠」、栗本薫の「グイン・サーガ」もかなわない、超長編の連載漫画「ワンピース」の作者についてもイメージが湧きません。

ベストセラー漫画家で、顔が一応イメージできるのは、鳥山明かやなせたかしぐらいですが、それもなんとなくです。

  つまり、現代は漫画家の顔が表に出ない時代なのです。だから、いつまでも代表的な少年(少女)漫画作家というと手塚治虫が思い出されるのです。

 

2.アニメと漫画は違う。

  日本は、ストーリー漫画に於いても、アニメーションに於いても、世界最高の水準であると私は信じます。しかし両者は違います。

  宮崎駿は、一つのプロダクションのリーダーとして、多くのスタッフを動かして作品を仕上げる存在です。確かにプロダクションを代表する人物ですが、彼一人でアニメーションができる訳ではありません。 多くのアニメーターがいて、作曲家がいて、声優がいて、アニメはできあがり、その総合評価が決まります。もし、ジブリに久石譲が曲を提供しなければ、宮崎アニメの価値は半減し、宮崎は文化功労者にならなかったかも・・なんて考えます。

  また、アニメ制作は多国籍化が進み、現代の精密な画像を駆使したアニメは韓国などアジア諸国の下請けなしでは製作できません。一個人のものでも一国のものでもありません。

  手塚は、ウォルト・ディズニーのようなアニメを作りたかったに違いありませんが、彼はそれに挑戦して失敗し、虫プロを倒産させています。高品質なアニメーション映画の大作を低コストで早く制作するという夢は、ジブリによって実現したとも言えます(まだ完全ではありませんが)。

  手塚の傑作である「ジャングル大帝」が、後年ディズニーによって模倣され、「ライオン・キング」になったことは皮肉とも言えますが・・・。

  つまり、漫画家かアニメ作家かと問われれば、手塚は漫画家であり、アニメ作家ではありません。一方、宮崎駿と比較すべきは、ウォルト・ディズニーであり、新海誠です。ですから、宮崎駿の時代になぜ手塚治虫の話をするのか?と訊かれれば、それは分野が違う・・と私は考えます。

 

では、今、日本人が真っ先に名前を思い浮かべる漫画家は誰か? 

世代によって違うのでこれも難しいのですが、私は手塚治虫ではないか?と思います。 

案外「ゲゲゲの女房」で有名になった水木しげるだったりして。


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yusai-zenji

ご旅行、お気をつけて。前の書き込みにJR高田馬場駅の発着音のことを書きましたが、私にとっての手塚イメージは、日本におけるTVアニメの元祖、といったものです。一部に高く評価する声もある彼の晩年に至る漫画は、私はあまり知りません。なので、オヒョウさんとはすれ違いみたいですね。

手塚によるTVアニメ(アトムなど)は、オープニングとエンディングがあってどちらかに主題歌が付き、30分で1話完結というスタイルの始まりとなりました。前に私が書いた書き込みとは違ってきますが、そうした意味なら手塚は、今のTVアニメ作品のスタイルを決定づけたことにはなります。

それから、金沢に住んでいると、個人的に知り合いという訳ではないのですが、当地に在住している少女漫画家さんたち(森川久美さんとか波津彬子さんとか)は、非常に身近に感じますね。森川さんは、我々の学校の一年先輩ですし。ですので私にとっては、自分と同世代くらいまでの漫画家さんは、“顔が見えない”という認識ないですね。
by yusai-zenji (2012-11-01 10:41) 

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