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【 遥かな尾瀬 その5 】 [新潟県]

【 遥かな尾瀬 その5 】 

ようやく尾瀬の入り口 御池にたどり着いた時、時刻は午後3時を過ぎていました。そして、そこにあったのは、鉄筋コンクリート製の大きくて豪華なホテルです。そしてアスファルトで舗装された広い駐車場。

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御池から尾瀬沼の方へ続く道には、遮断機があり、一般車の進入を止めています。 その遮断機の向こうから大型バスが現れ、レストハウスの前に停まりました。つまり、尾瀬に行きたい人はそこで有料駐車場に車を停め、とにかくバスに乗りなさい・・・。ということです。

駐車場料金は1回1000円、御池から沼山峠までのバスは片道一人530円です。 沼山峠から尾瀬沼まではさらに徒歩のコースが続くのです。バスに乗りたくない人はどうすればいいのですか?と尋ねれば、「タクシーでも中に入れますよ。でもマイカーはダメです」との事です。

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なんだ、尾瀬というのは随分商業主義ではないか・・。 美しい自然は人間が作ったものではないのに、それをダシにしてチャッカリ儲けてやがる・・とちょっと不愉快になりました。 歩かなければ尾瀬に行けないという事で、足の不自由な人は尾瀬を見る資格がないのかと思いましたが、実はお金のない人も尾瀬には来るな・・という事のようです。

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そして、気になるのは、豪華なホテルです。尾瀬御池ロッジと・・名前はロッジですが、ホテルです。 こんな山の中に随分立派なホテルがあるではないか? ひょっとしたらフロントには蝶ネクタイのコンシェルジェがいて、フランス語で話しかけてくるのではないか?などと思うくらいです。 どうも福島県のど田舎には不釣合いです。

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山や高原の観光地に高級ホテルがあるのは、今に始まった事ではありません。 しかし、昔からのホテルは、それなりに環境に調和しています。例えば、上高地の帝国ホテルは日比谷の帝国ホテルと同じサービスが受けられる訳ではありませんが、上品で高級感があり、それでいて周囲に調和しています。 しかし、バブル期以降、その調和が怪しくなりました。 本来、登山客やハイカーが訪れる場所にシティホテルは不要です。まったくそぐわないのです。

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しかし、贅沢ならば、高級ならば、お客は喜ぶ・・という錯覚がどこかにあるようです。最初はスキー場に豪華なホテルができ、そして高山にもホテルが建ち始めました。 立山の室堂は標高2500mですが、そこにも立派なホテルがあります。 私が立山に登った頃は本当に山小屋しか無かったのですが・・。

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観光立国スイスの場合も、自然の中の観光地に高級ホテルがあります。しかし、鉄筋コンクリートの高層建築ではなく、木造のこじんまりとした建物が多く、景観を壊さないようになっています。日本の山岳ホテルもそれにならえばいいのに・・・。ホテルの場合、豪華にしても上品にはならず、高級感が出せない場合があります。 まあ、それは人間の場合も同じですが。

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そして、もうひとつ、山岳地帯にシティホテル(まがい)があることは、観光客や登山者に誤解を与え、遭難を招く可能性もあるのでは?と余計な事を考えます。

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よく、呆れた登山者の例として、ハイヒールやサンダル履きで、富士山に登ろうとしたとか、街中と同じ軽装で3000m峰に登ろうとした人がいる・・と聞きますが、もし山岳地帯を都市空間の延長と間違える人がいるとしたら、山の観光地にあるホテルにも、責任の一端はあるのではないか?と思ったりします。

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ちょうど、その時、ポツリポツリと雨が降り出しました。もう時間的に尾瀬を目指しても、今日中に帰ってこれません。私達は、再び銀山平を目指して、山道を戻りました。

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宿はホテルではありません。普通の山荘です。それでも露天風呂に浸かり、地元で取れた食材を使った晩ご飯を食べて、ビールを飲めば極楽です。しかし、その夜、大変な雷雨となったのです。稲光は絶え間なく、雷鳴もひっきりなしに聞こえます。

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さて、涼しいのは結構だけれど、こんな天気で明日の予定はどうしたらいいだろうか?と布団の中で考えます。 これでは到底尾瀬には行けないな・・しかし、もともと明日の予定など決めていなかったではないか?と思いながら、オヒョウは眠りにつきました。 

次号に続く

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