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【 宇宙空間のタッキング その2 】 [航空]

【 宇宙空間のタッキング その2 】 

ヨットにお乗りになる方はご存知ですが、向かい風でも、ヨットは前に進む事が可能です。間切るという走法で、向かい風に対して、斜めにジグザグに船を進めれば、追い風に比べると非効率ですが、少しずつ前に進みます。

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オヒョウが子供の頃読んだ、アーサーランサムの「ツバメ号とアマゾン号」の出だしは、主人公の少年が、坂道をジグザグに走りながら下りてくる場面から始まります。これは間切りのイメージトレーニングだったのです。間切りは英語で言えばタッキングです。

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では、太陽光の光圧で飛ぶ「イカロス」も間切りを行えば、金星や太陽に近づけるではないか?と思いますが、そうは行きません。ヨットで間切りが可能なのは、センターボードまたはキールで水の抵抗を受けるから可能なのです。宇宙空間では、水の抵抗がありません。

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ではどうするのか? 回答は毎日新聞に出ていました。http://mainichi.jp/select/wadai/graph/2010akatsuki/26.html

これによると、太陽光の圧力を受けてブレーキをかけるようです。地球と金星間を飛ぶ宇宙船も、惑星軌道上を飛びます。つまり太陽の周囲を公転しています。 だからブレーキをかければ、遠心力が弱まり、太陽からの引力で、落下(つまり太陽に近づく)します。それを微妙に制御して金星に接近するというアイデアです。なるほど、それなら帆に受ける、僅かな推進力が役に立ちます。

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原始的ですが、素晴らしいアイデアです。同じ光圧を利用するロケットでも、光速付近で飛行するゼンガー博士の光子ロケットとは、全く違う世界です。

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しかし、いかにブレーキ力として活用したり、間切rを利用するにしても、向かい風の中の推進は非効率です。本来、太陽光を受ける帆船は、追い風で飛べる方角・・つまり外惑星(地球の外側の惑星)に向かうべきです。 その場合、太陽からの距離が遠ざかるにつれて、その2乗分の1で推進力が衰えます。これは「ハヤブサ」のような太陽電池方式でも同じですが、原子力電池を使わない、日本の宇宙船の難しいところです。

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追い風の中を走る場合でも、帆の向きを転換する事があります。ジャイビングまたはジャイブという動作です。

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メキシコで大変お世話になった、M物産のSさんはヨットマンでもあります。彼の話では、ヨットを操船していて一番面白いのは、ジャイブをする時だそうで、細心の注意が必要だけれど、順風の中を帆走中に、追い風をはらんだセールが高速で旋回する豪快さは、まさに醍醐味だとの事です。

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逆風の中で方向転換するタッキング、順風満帆の中でセールを反転させるジャイビング、中年になってからの転職にも2種類あります。オヒョウの場合、今回の自分の転職がタッキングなのかジャイビングなのかよくわかりませんが、自分の生き方を考えて、いつもアゲンストの風の中を歩いている人生もまた可なのではないか・・と自分で納得します。 

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何億キロの彼方を、逆風の中で航海する「イカロス」をちょっと応援したくなります


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