【 宇宙空間のタッキング その1 】 [航空]
【 宇宙空間のタッキング その1 】
太陽光を受けて宇宙空間を飛ぶ凧・・というより、宇宙ヨットというべき人工天体「イカロス」が金星に向かって飛行しています。
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感動的な「ハヤブサ」の帰還を受けて、この「イカロス」も注目されています。毎日新聞によれば「イカロス」には日本独自の技術が多数盛り込まれており、アメリカが過去に3回失敗した実験に成功していたとの事です。http://mainichi.jp/select/science/news/20100708k0000e040029000c.html
具体的には、巨大な帆を広げて大面積で太陽光を受ける実験ですが、帆を広げる手法として日本の折り紙の技術が応用されているとの事です。 しかし、これは今に始まった事ではありません。 昔から人工衛星の太陽電池パネルの折り畳みと展開技術に関しては、日本が一番です。人工衛星に応用された畳み方ミウラ折りは特に有名ですが、今回は使用されていません。
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一方、米国などは下手くそで、その昔、スカイラブという宇宙研究室を作った時も、太陽電池パネルの伸張に失敗して、電力不足とキャビン温度の上昇に悩まされたそうです。
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折り紙の研究は一種の幾何学ですから、数学者がするのかな?と思うとそうでもないようです。 物理学者の伏見康治氏はライフワークとして折り紙の研究を続け、その内容を科学朝日に連載していましたし、ミウラ折の三浦教授も宇宙工学の研究者です。
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折り紙の話はさておき、今回の太陽光線を受けて飛ぶ宇宙船には不思議な事がたくさんあります。
1. 太陽光の光圧で、推進力が得られるか?
光速で飛ぶ光子に運動量があることは昔から知られており、それを推進力に用いる光子ロケットも、ゼンガー博士によって唱えられています。しかし、作用反作用の原理を考えると、噴射エンジンは、噴射物の速度が物体の速度に近い場合に最も推進効率が良くなります。だから光子ロケットは、ロケットが光速に近づいた状態でなお加速する場合に有効であり、光速よりはるかに遅い「ハヤブサ」や「イカロス」では、噴射速度の遅いイオンエンジンやプラズマエンジンの方が高効率です。
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つまり太陽電池で発電しイオンエンジンを駆動する「ハヤブサ」型の方が高能率です。
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日本では原子力電池を人工衛星に使わないので、どうしても大面積の太陽電池を利用した電力発生装置が必要ですが、それをも廃して太陽光を直接推進力にしようという訳で、発想は奇抜ですが、推力は十分なのでしょうか?
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2. 光圧よりも太陽風の風圧の方が高くないか?
太陽風は、太陽からのプラズマで、彗星の尾が太陽と反対方向へなびくのも太陽風のせいです。「イカロス」が帆で受ける圧力も、太陽光の光圧よりも、太陽風の風圧の方が高いはずで、推進力としてもそちらの方が強いはずです。 しかし問題は真空中で強いプラズマを受ける事で、薄い膜なら損傷を受ける可能性があります。「イカロス」の帆は本当に大丈夫なのか・・?素人ながら不安です。
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3. 向かい風の帆船操作は難しいか?
最大の不思議は、向かい風に向かって「イカロス」は飛べるか?という事です。目的地の金星は内惑星(つまり地球の軌道の内側の惑星)です。従って、厳密には太陽の方向に向かって飛行することになり、太陽光は逆風になります。 それでどうやって推進力を得るのか?
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金星の軌道は楕円であり「イカロス」が到着するのは、金星軌道が一番地球の軌道に近づいたタイミングになります。 「イカロス」は公転軌道に沿って飛行するから、 ほぼ太陽を真横に見た状態で飛行する事になりますが、それでも地球の内側に行くのは、方向が逆です。
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ではどうするのか?それについては、次号で申し上げます。
面白いですね〜光を受けただけで、モノが進むなんて!
科学オンチには「魔法」にしか見えません。
300年前なら、その博士は火あぶりかも〜(笑)
by おじゃまま (2010-07-09 14:55)
おじゃまま様 コメントありがとうございます。
太陽光の反射が推力をもたらす事は、真空中に表と裏を白黒に塗り分けた回転翼を入れたガラス容器を用いて確認できます。中学か高校の理科実験室で見た記憶があります。その時、光子は飛んでいる時だけ質量を持つ不思議な素粒子として教えられました。 まだ相対論などは、学ぶ前です。
誰も言いませんが、外国のスパイ衛星や外惑星探査機(ボイジャーやバイキング)には、原子力電池として原子炉が積まれています。 しかし、日本の宇宙探査機は、原子力電池を積みませんから、その分、太陽電池に頼る必要があるとの事です。 だから、折りたたみ方法が発達したり、発電効率の高い太陽電池が日本で開発された訳ではないと思いますが・・。
またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-07-12 12:38)