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【 Who wears short shorts? 】 [アメリカ]

【 Who wears short shorts? 】 

まじめな人や夜更かしをしない人はご存知ないでしょうが、タモリ倶楽部という、不思議な深夜番組があります。統一したテーマも無いし、企画もかなりいい加減なのか、毎回いきあたりばったりで制作したと思える番組です。内容の多くはくだらないのですが、疲れた脳みそにはちょうど波長が合うのか、オヒョウは時々観てしまいます。

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問題はそのエンディングテーマです。女性がお尻をくねらせるシーンが延々と続き、テーマ曲として”Who wears short shorts?”というちょっと退廃的な音楽が流れます。

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意味としては「ショートパンツを穿いているのは誰かな?」くらいだと思うのですが、この番組以外では聞かない曲なので、番組用に作曲したものかと思っていました。

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ところがある日、シカゴ・トリビューン紙の見出しに、このフレーズ”Who wears short shorts?”を見つけました。 かなり有名な曲だったのかな? シカゴ・トリビューン紙はかなり硬派の新聞ですが、新聞不況になって路線を転換したのかな?などと思いましたが、記事の中身は、普通のファッション記事で、今年はショートパンツが流行っている・・というだけのものです。

http://www.chicagonow.com/blogs/chicago-infashion/2010/07/street-fashion-who-wears-short-shorts.html

シカゴの街中を歩く女性の写真を何枚か載せて、ショートパンツが増えていると言っています。何の変哲も無い・・というか、こんなので記事になるのかな?と思ってしまいます。

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ところが、その数日後に、今度は朝日新聞が、「今年の流行はショートパンツ」と紹介する記事を載せています。

朝日の方は、洒落のきいた見出しを付ける訳ではなく、普通の見出しですが、ロンドンの野外フェスティバルであるグラストンベリーフェスティバルに集まった人に、ショートパンツを穿いた人が多く見られる・・・というだけのこれまた平凡な記事です。参加者の写真を多く並べています。

http://www.asahi.com/fashion/vogue/ 

不可解なのは、単に野外フェスティバルに集まった若い女性を取り上げただけなのに、セレブにショートパンツ旋風が起こっているという表現になっています。セレブって一体なんなのか?

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どうも軽いノリの記事で朝日新聞に相応しくないな・・と思ったら、これはVOGUE誌の記事を引用しているだけと分かりました。何だ、他人の記事を拝借したものなのか・・。 新聞のWEB版は、他の雑誌や新聞記事に容易にリンクできます。だから、記事のボリュームを見かけ上膨らませる事もできますし、注意しないと、どこまで新聞の記事でどこから他誌の記事なのか分からなくなります。 手抜きやゴマカシが可能になるのです。

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するとシカゴ・トリビューンの方はどうなのだ? と思って確認すれば、シカゴ・ナウというサイトにある誰かのブログを取り上げただけの記事だったのです。 やれやれ、こちらも他人の褌か・・。しかも、こっちの問題はより深刻です。

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普通、新聞が一次情報を提供して、ブログはそれを元に二次情報を作成します。 ちょうどこの「笑うオヒョウ」がそのスタイルです。 ブログの方が現場に近く、確度の高い一次情報を発信できる場合もありますが、稀です。 だから、新聞記者が素人のブログ情報に頼るなんて、本末転倒であり、邪道です。

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ブログには、写真やイメージ情報主体のものと、写真と文章が半々の折衷型、文章主体のもの(笑うオヒョウ型)の3種類があります。写真を多く掲載するものには、目を見張る素晴らしい写真が多く登場しているのは事実です。しかし、それをそのまま新聞記事にするのはいかにも安直です。 確かに文章を引用するよりは、多くの写真を転載する方が容易ですし、記事の文章の巧拙が現れないので、新聞に馴染みやすいのですが、読者は気づきます。

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あれっ?以前の新聞記事とは文章が違うな。 問題の掘り下げも浅いし、内容が平板で幼稚になっている。 あの格調高いシカゴ・トリビューンの記事はどこへいったのか?

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日本ではつい最近まで、日刊紙は、ブログやインターネットに登場するWEBメディアを目の敵にしていました。 米国はそうでもありませんでしたが、プロの新聞記者とアマチュアの書く記事には厳然とした差があったはずです。 それがネットに迎合し、ブログを転載して紙面を埋めるなど・・新聞は白旗をあげたという事でしょうか?

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新聞社の経営不振が、編集者や記者のモラールを下げ、手抜きをもたらしたとなると、これは悪循環をもたらすでしょう。将来は暗い。

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低予算と手抜きの象徴の様なテレビ番組「タモリ倶楽部」は、実は大変な長寿番組です。 これは、タモリ自身が持つ微妙な可笑しみがマンネリ化を防止し、猥雑であっても、ぎりぎりのところで下品にならない工夫と矜持があるからです。

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新聞各紙もジリ貧の経営環境と低予算化の中で、倦むのではなく新聞の質を上げる工夫をすべきです。 そうしなければ、生き残りはますます難しくなります。

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ところで「笑うオヒョウ」には写真は滅多に登場しませんが、記事はどちらのメディアでも、自由に引用していただいて結構です。誰も使わないでしょうけど。


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