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【 ベイルアウト その2 】 [航空]

【 ベイルアウト その2 】 

飛行を続けられない機体から緊急脱出する事をベイルアウト(Bail Out)というそうです。もともとの意味は、倒産しかけた企業に銀行が緊急援助する事らしいので、どうしてそれが緊急脱出の意味になったのかは不明です。

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高速の飛行機の場合、パイロットが自分で風防を開けて、操縦席から這い出すのは無理ですから、火薬で風防ガラスを吹き飛ばし、さらに座席の下のロケットエンジンで、座席ごと操縦席から発射します。そうしないと、風圧で尾翼に衝突したりするからです。 その機能がある座席を射出座席 (ejection sheet) といい、その性能はいろいろです。助かる為に射出するのですが、なにせロケットで撃ち出すのですから乱暴です。サーカスで演じる人間大砲よりも、ずっと凄まじい衝撃です。だから助かっても、全身打撲や骨折で重傷を負う事もありますし、風防ガラスに当たって死亡する場合もあります。

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だから、パイロットにとって、射出座席のロープを引くのには勇気と決断が必要です。 しかし、多くのパイロットの場合、自分がさらされる危険よりも、もっと重大な事を考えます。

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1.今脱出すれば、自分が助かる可能性は、増大する。

2.一方で今脱出すれば、必ずこの機体は墜落し、失われる。

3.そして今脱出すれば地上に被害が出る可能性は少なからずある。

4.脱出せず、機体の回復に努めた場合、自分と機体が助かる

 可能性は本当にないのか? 

 回復の可能性はないと断言できるか?

5.今、脱出せず、機体の回復に努めれば、可能的に存在する

 地上の被害を食い止められないか?

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パイロット達は、緊急事態の操縦席のごく短い時間に上記の5点を考え、結論を下します。 これは射出の衝撃にも等しい大きなストレスです。日本の自衛隊機の場合、脱出しても死亡したパイロットもいますし、助かってもパイロットには戻れない人が過半数だと言います。

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事故の後遺症で肉体的に操縦に耐えられないという事もありますが、ベイルアウト時のストレスが負担となった場合もあるようです。

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考えてみれば、この種の経験は自衛隊機のパイロットだけではありません。 危ない・・と思った時、自分だけ脱出する人は、他の世界にもいるのです。しかも、何のためらいもなく・・・。

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商工ファンド(SFCG)の経営者だった大島某は、SFCGの倒産前に会社の資産を隠匿した可能性が指摘されています。そして、彼とグルであったろう日本振興銀行の木村某も、銀行が赤字になると、問題表面化の前に逃亡しています。 日本振興銀行は銀行という名前ですが、街の金融業者相手の卸金融を生業とする銀行で、高利貸しの元締めです。貸金業改正で、彼らの仕事が成立しなくなると見込んでの、早めの脱出ですが、債権者や、高利貸しの不当な取り立てに苦しんだ被害者は置き去りです。

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飛行機に例えれば、F4ファントムの後部座席にいた木村剛がベイルアウトし、次に前部座席にいた大島健伸がベイルアウトしたようなものです。あとは機体がどこに墜落しようが構わない・・という事になります。

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あれ? ベイルアウトの本当の意味は銀行からの緊急融資だったのに、いつの間にか、経営者の責任逃れの意味になってしまいました。

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ところで全くの余談ですが、射出座席で最も高性能なのは、ロシアの会社の製品だそうです。一説では、総理官邸の首相の椅子にそれを採用したいという声があるそうです。 総理の仕事が嫌になったら、ロープをひけばいいのです。すぐに飛び出せます。 

そうです。後の心配はしないのがベイルアウトのルールです。


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