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【 ベイル アウト その1 】 [政治]

【 ベイル アウト その1 】 

沖縄ピアノさんのブログを読んでいて、ハッとした事があります。50年前に沖縄の小学校に米軍のジェット機が墜落し児童らに多くの犠牲者がでた事件についての記述です。 パイロットはパラシュートで脱出して無事だったが、地上にいる多くの人々が犠牲になったという部分です。 実はここに、基地問題の本質があるとオヒョウは思ったのです。

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沖縄の米軍基地に反対する人には、何種類もあります。大別すると3種類です。

1. 絶対平和主義のもと、どの国の軍隊であろうと、全ての軍事基地に反対する。

2. 沖縄を侵略・占領し、今もアジアで戦争を続ける米軍の基地と、その手先となる日本の自衛隊には反対するが、それ以外の平和勢力の軍隊なら許容する。具体的には中国の人民解放軍なら可とする

3. 外国の軍隊が駐留する事の不自然さ、不平等さ、屈辱は許容できないが、自国の軍事基地なら認める。だから米軍基地は困るが、自衛隊の基地なら認める。

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一部の政治家やマスコミには、本音は2という人もいますが、敢えて明確にせず、全体がまとまって、米軍基地反対を唱えています。しかし、基地問題を解決するには、それらの分類が必要です。オヒョウは沖縄の人々の素朴な思いとしては、1、そして日本人全体の意見としては、3を主張する人も多いのではないか?と思います。

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そこで、今回は3について考えます。 

米軍は困るけれど自衛隊は許すという場合、在日米軍と自衛隊の違いは何か?です。

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その違いが端的に現れるのは、戦闘機の墜落事故です。米軍は、飛行機が帰還できないと決まったら、市街地の上空であろうと、住宅街の上空であろうと、即座にパイロットは脱出します。自分の命が最優先で、地上の日本人の命は顧慮しません。 これは沖縄だけでなく、日本の本土でも同じです。過去には横浜の市街地でファントム戦闘機が墜落し、乗員2名は脱出し、地上にいた親子3人が亡くなっています。生還したパイロットはすぐに本国に帰還し、日本のマスコミから隠されました。

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一方、自衛隊の場合はどうか? 埼玉県入間基地の近くで練習機T-33が墜落した時は、市街地を避けてゴルフ場に到達するまで2名の乗員は脱出せず、高度を失った結果、脱出しましたが殉職しています。地上の犠牲者はありませんでした。

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自衛隊機だけではありません。日本航空のジャンボ機が墜落した際、空港に帰れないと悟った高浜機長は、敢えて機首を山岳地帯に向けて、墜落地点が市街地から外れる様に誘導した可能性があります。ボイスレコーダーにある機長の「どーんと行こうや」という、ふっきれた様な発言の後、飛行機は埼玉上空から西の山岳地帯に向かっています。ちなみに高浜機長は、海上自衛隊出身でした。

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日本だけではありません。人類初の宇宙飛行士であるロシアのガガーリン少佐(後大佐)は、墜落事故で殉職していますが、市街地を避けたために脱出の機会を失ったとされています。 中国でもパイロットが殉職すると、しばしば、同様の説明がされます。 一部は死者を讃えるために創作した美談かも知れませんが、地上に被害を出さないために、自分を犠牲にするという発想がロシアや中国のパイロットにある事は事実です。

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日本に話を戻します。日本の自衛隊だって、いつも民間人の犠牲者を防ぐ事ができる訳ではありません。 昭和40年代、百里基地から小松基地へ向かっていた自衛隊のF104戦闘機が金沢の市街地に墜落しました。落雷で機体が制御不能になり、海上に機体を誘導できなくなった為、パイロットの経二尉は脱出して生還しましたが、地上の女性4名が犠牲になりました。犠牲者の葬儀の際、隅でうなだれている経二尉がTVに映っていました。

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同じ40年代、岩手県雫石の上空で全日空のB727型旅客機が自衛隊のF86戦闘機と衝突した際、戦闘機の市川二曹は脱出して生還しましたが、旅客機の乗客乗員は全員が死亡しました。遺族の一人は、TVカメラに向かい「あなた、自衛隊の方は助かったっていうじゃないの。本当に悔しい」と語っています。 事故の相手側が生還した事をくやしがるというのも寂しい話ですが、本音かも知れません。また別の遺族は「夫は以前から自衛隊には反対だったのです。それがこんな事になって・・」と泣いていました。 反自衛隊を標榜するマスコミ各社はそれを利用し、ここぞとばかり、反自衛隊キャンペーンを展開しました。

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自衛隊が関係する事故で民間人が犠牲となる事故は、その後も50年代の潜水艦と遊漁船の衝突事故や、平成になってからのイージス艦と漁船の衝突事故がありますが、平成になってから反自衛隊のキャンペーンは大幅にトーンダウンしています。

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でも自衛隊にはそれらの事故の苦い経験が遺伝子として残っています。そして民間人を巻き添えにしてはいけないという意識が、彼らにはあります。

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一方、米軍はどうか? アメリカ国内で米軍機が墜落し市民が犠牲になった事故はたくさんあります。しかし反軍隊闘争などは起こりませんし、軍は国家を守っているのだから、市民は犠牲を受け入れるべきという発想もあります。 なにせ戦時には徴兵をする国ですから。 従ってパイロットの命を優先し、地上の犠牲への配慮は後回しです。

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問題は、米国本土の場合と、沖縄や日本本土の場合で、彼らの対応に違いがあるか否かです。オヒョウが尋ねた米国人(民間人)は、その点について返答しませんでした。後ろめたい部分があるのかも知れません。彼らにとって日本人と米国人で命の値段は違うのか?

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上空で機体が故障した時、日本の自衛隊と米軍で、地上の犠牲に対する配慮が違うのなら、これは問題です。米軍には帰ってもらい、必要なら自衛隊基地を代わりに置くべきでしょう。勿論、憲法上の問題や自衛隊予算の問題はありますが・・・。

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素朴な発想として、米軍は困るが自衛隊なら許すという、3.の意見を持つ人は、この点に気づいているはずです。しかし、誰も触れません。

だから、次号では、もう少し詳しくこの点を考えます。


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コメント 2

Dr.Y.

度々書き込んで申し訳ないです。中学校の屋上から自衛隊機が落ちた方向を眺めていた記憶が蘇ってきましたので、書き込ませて頂きます。上では基地反対の心情について書いてある訳ですが、基地闘争というか飛行差し止め訴訟は、何も沖縄、また米軍基地に限らないということです。

当方の小松基地では、基地そのものについても飛行場についても、その誘致や増強(ファントム配備など)について、市長選や市議会での採決など何度も民意を問う機会がありました。その度に、自衛隊基地は民意に支持されてきた訳です。
では、飛行差し止め訴訟をやっている人たちは、イデオロギー的に偏向した真赤な人々か?というと、必ずしもそうではない所が、この問題の根の深いところでは? 上では飛行機の墜落というリスクだけが考慮されている訳ですが、原告団(の一部か?)が日々耐えている騒音は、実に耐え難いものであるらしいですし、我々周辺に住んでいたり勤めていたりする人間に、全く理解できない被害らしいのです。もちろん、有権者の数的には基地を支持している市民が圧倒的に多いのですが......
by Dr.Y. (2010-07-06 15:55) 

笑うオヒョウ

Dr.Y様 コメントありがとうございます。 たびたびコメントして申し訳ないなどとんでもないことです。コメントは辛口であれ、甘口であれ大歓迎です。
ご承知の通り、金沢の自衛隊機墜落事故は、私の家の近所で発生しました。だから私も鮮明に記憶しております。
実は基地周辺の騒音問題は、墜落の危険性とは別の次元ですが、やはり深刻な問題であると考えます。しかし、それについては複雑な問題があり軽々に議論できないとオヒョウは思います。一度、普天間の騒音問題はWECPNLでは評価できないという駄文を綴りましたが、いずれまた管見を述べたいと思います。

次のコメントをお待ちします。


by 笑うオヒョウ (2010-07-06 16:54) 

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