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【 人間・山本五十六 その4 】 [新潟県]

【 人間・山本五十六 その4 】 

軍人や官吏は、身分・職階によって、権限が大きく異なります。そして、そこで働く人にとって、出世する事、昇進する事は、無条件で良い事とされます。だから、皆さん、上の地位に就く事を目指すのですが、オヒョウが、傍から観察した結果では、偉くなった人々は、その人生観によって2種類に分類できる事に気づきます。

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一つは、出世自体が目的であった人々。もう一つは、何かを実現するために、出世する必要があった人。つまり出世自体は目標ではなく手段であった人。

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出世自体が目的であった人々は、偉くなるために精根を使い果たすので、偉くなってからはろくな仕事をしません。最近の総理大臣は、たいていその口です。 一方、偉くなってから何かをしようと考えていた人は、確かに偉くなってから活躍するのですが、その前に潰される人も多いのです。

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山本五十六の場合、出世する事が目標ではなく、出世した後に行うべき事を、真剣に考えていたことは明らかです。

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軍隊では、その地位によって、考える事が異なります。

下士官や兵は、具体的な作戦の遂行を考えます。

尉官や佐官は、戦術を考えます。 そして部下の兵の事を考えます。

将官は、戦術だけでなく、戦略を考えるべきです。

もっとも、戦術と戦略という分類が、戦前の日本軍に明確にあったかは不明ですが・・・。

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そして最後の政治的な判断は、文民統制の場合、文官が行いますが、戦前の日本では文民統制ではありませんでした。このため政治や外交については能力不足とも思える武官が政治判断を行い、そして失敗しました。

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山本五十六の場合、米国駐在武官時代に石油資源の状況などを詳しく調査しています。 これは戦術ではなく、広義の戦略というべきものです。もし日米戦わば、勝敗の帰趨を決めるのは、個々の作戦の巧拙ではなく、戦略物資・資源の量だと見抜き、その研究をしています。彼は佐官の時代から、戦略を考えていたのです。

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だから、彼が戦略を決定しうる高位顕官に就いた時点で、若かった頃の研究成果をもとにして、石油資源確保の作戦を立案するか、開戦を止めるべく活動する事になります。

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実際、彼は石油が不足するため長期間戦えないと、分かっていましたし、開戦を阻止すべく行動してもいますが、どうも不完全です。本気で石油の事を研究していれば、以下の2点の失敗をしなかったはずです。

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1.開戦後に南方に進出し、インドネシアのパレンバンの油田と精油所を確保するという、泥縄的な南方作戦を実行した。(パレンバン油田の採油量は、日本の戦争遂行に、かつかつ足りる量だったようですが、インドネシアから日本への輸送の困難を考えると、全く十分ではありません)。

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2.黒龍江省(旧満州)での石油探査を徹底して行ない、戦後発見される大慶油田を活用する事ができたはずなのに、見落とした。もし戦前、または戦中に大慶油田が発見されていれば・・・、戦局は大きく異なったはずだし、或いは太平洋戦争は無かったはずだ・・・という、歴史のifを考える人はたくさんいます。

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実際には、戦前に日本軍は、黒龍江省で若干の石油埋蔵を確認したが、重質油で高粘度の特性だったため、当時の日本の技術では採掘できないと判断したとか、油層が地下1000m以上の深さにあり、当時の技術では採掘できなかったと言われていますが、どうも腑に落ちません。

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油田の採掘可能深さは、4種類の技術で決まります。

1. 大深度の油層を発見する探査技術。

2. 大深度まで掘る鑿井技術。

3. 大深度に到達し、機能する油井管の技術。

4. 大深度から高粘性流体を吸い上げる、汲み上げ技術。

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どれも、当時米国が最先端であったのは事実ですが、日本の技術が極端に遅れていた訳ではありません。開戦前の時点で深さ3500m程度の油田掘削は可能だったと聞きます。ちなみに、3の油井管とは、高性能の継ぎ目なし鋼管ですが、その製造技術は、大砲の砲身製造技術と共通点があるそうです。オヒョウは全くの素人ですが、その分野で当時日本が極端に遅れていたとは思えません。

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大慶油田については、油層を確認したものの、その採掘可能性を真剣に検討せず、放置したというのが真相だと思います。 つまり政府や軍部が予想される石油不足を、重大な問題だと認識していなかった訳で、山本五十六らのアピールが足りなかったのだと、オヒョウは思います。

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海軍に比べ陸軍は、燃料不足の深刻な意味を理解していなかったとも言えますし、旧満州は関東軍の支配下にあり、海軍が介入できなかった可能性もあります。事情を知っていた海軍の人々の意見は通りませんでした。

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いずれにしても燃料の手当については、完全に準備不足のまま戦争に突入した訳で、偉くなったら使うはずだった山本五十六の知識は使われないままでした。 彼は開戦時点で既に無念だったに違いありません。

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翻って、今の日本のリーダーに、若い頃の研鑽があったのか疑問です。 通勤途中の電車の中で思いついたようなマニフェストを掲げても、勉強不足はすぐに露呈します。

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CO2 25%削減という、鳩山イニシアチブも、若い頃から彼が地球物理を真剣に研究した結果ではないでしょう。 

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沖縄の基地問題も60年以上前からありますが、若い頃からこの問題を真剣に考えてきた政治家は、本土にはいないかも知れません。

(一部、現実離れした提案をする政党はありますが)。

首相の普天間飛行場移設案には、案と言えるものですらありませんでした。

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偉くなる前の段階で、各々「偉くなり、権限を持ったら、あれを実現しよう。その為には、今、これを勉強しよう・・」と考えて行動しなかった人達が、国政や地方自治の桧舞台に立ちます。

偉くなる事が手段ではなく、それ自体が目標であった人達に、政治判断が委ねられています。


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コメント 5

Dr.Y.

今回書かれている内容には、根本的に疑問を感じます。戦前の軍人(私がよく知らない人...)と現在の政治家とを類推的に論じるのがまず奇妙だし、ビジネスマンの出世と政治家として大臣や総理になることとも、次元が相当違うと思います。それに冒頭で、出世自体が目標であった人(今の日本の政治家?)と何かの目的(権限?)のために出世を望む人、という二分法が示されるけれど、これもおかしいでしょう?(てゆうか、以下の立論の“ためにする”議論?)......
私個人は出世に無縁ですが、出世したからといってとくに権限が増える業種職種ではありません。私は低い地位ですが、外から見ると管理職かも?(長の付く役職でもあるので) それに、同窓のH君のように出世した同業者も、別に私に比べて勤務先で権限が多いこともないと思います。おそらく、責任も....
こうしたことは業種職種によって違うので、やはり同窓で一流銀行の平取になったK君、k君らは、地位に伴う権限も大きいだろうけれど、責任も我々とは比較にならない大きさと思いますよ。ですので、出世云々について違う業種で一般化してもしょうがないのでは?、と思います。
ついでに言うと、弾の飛んでこない所で批判する、とくに政府首脳などを匿名で批判しても、全く生産的でないと思います。長くなりましたが....
by Dr.Y. (2010-07-01 17:31) 

笑うオヒョウ

Dr.Y.様 コメントありがとうございます。

一部に飛躍があるようなので、整理しますが、軍人と政治家、大学の教員では、昇進とか出世といっても、全く性格が違うと思います。上に行くほど、より大きな権力を手にするという点で、軍人と政治家は似ています。 軍人の世界は、上意下達が必須で部下は上官の命令に絶対服従でなければ、組織として成立しません。何らかの自分の意志を反映させるには、高官になる必要があります。政治家も当選して何らかのポストに就けば、強い権力を持ちますが、落選すればただの人です。 彼らは権力を得るために、上昇志向を持ちます。

以下 続く

by 笑うオヒョウ (2010-07-02 12:02) 

笑うオヒョウ

一方、大学の教員/教官は、出世しても、名誉と若干の収入増、あるいは、狭い組織内の人事権が手に入るだけで、絶大の権力を得る事にはなりません。だから組織内の昇進以外に、人生の価値を見出す事も可能です。

従って、出世を志向する人々の例として軍人と政治家を挙げましたが、本文は海軍軍人として、大将(死後元帥)まで昇進した山本五十六についての考察なので、出世する過程の各段階で彼が考えた事・行動した事が、適切であったかを拙文に示した次第です。
結論は、せっかく自分の研究結果を戦略(国家戦略)に反映させる事が可能なポストに就いた時に、もう一押し欲しかったな・・という事です。開戦反対派として、本領を発揮して欲しかったという事です。

次のコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2010-07-02 12:03) 

Dr.Y.

はあ、あんまり釈然としませんが.......上に“ビジネスマン”云々と書いたのは、前に山本何某という軍人がタイトルについた貴ブログで、飛行機が墜落して拍手された?某財閥系メーカーの部長だったか管理職のことが書いてあった記憶があって(思い違いか?)、様々な業種での“出世”が一般化されている、と勝手に思い込んだせいでした。私の思い違いであれば、お許しを。
私は先ほど福井県からの出張より戻りましたが、福井駅前で菅直人首相が街頭演説してたようです。私は近くまで寄って見ることはできませんでしたが、スピーカーから演説は聞こえました。近寄れないほどの人、ということです。メディアが伝えているのと大分違う気がしました。
by Dr.Y. (2010-07-02 15:56) 

笑うオヒョウ

Dr.Y様 コメントありがとうございます。 山本五十六に関する駄文を何回かに分けて書いておりますが、それぞれに完結しており、首尾一貫した文にはなっておりません。 その為に、分かりにくくなり誤解を招いたとすれば、出来の悪い文章をお詫びする次第です。

学者や文学者と軍人は正反対の存在で、考え方も昇進の意味も全く違うと考えます。両者が隔絶した存在であることは、古くは芥川龍之介がしめしています。 例外は明治時代で、漱石や子規と秋山兄弟の親交が厚かったのは、面白い事です。おそらくインテリゲンチャ自体が希少だった頃に、知識人同士という事で、友人たりえたのだと思います。 だから今回の立身出世の話に、大学の先生は無関係と思いました。

もっとも山本五十六は、乃木希典らと並んで、軍人ながら文人の趣きのある存在だったようですが。。

次のコメントをお待ちします。


by 笑うオヒョウ (2010-07-02 16:19) 

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