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【 最小不幸の社会 】 [政治]

【 最小不幸の社会 】 

菅直人新首相が、最小不幸の社会を作る事が政治の目標だと発表しています。これを聞いて、なるほど面白い考え方だな・・とオヒョウは思います。

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言うまでも無いことですが、これはイギリスの ジェレミ・ベンタムの最大多数の最大幸福をもじったというか、その裏返しの発想です。逆説で考える事を常とするオヒョウは、菅首相の発想にちょっと共感しました。

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ベンタムの最大多数の最大幸福の思想は、その後のミルによって功利主義にまとめられますが、行為が善か不善か・・という倫理的な観点からは議論されていません。 そして倫理的な視点が欠如した思想は政治のバックボーンにはなりにくいと、オヒョウは思います。その逆をいく菅首相の考えは妥当かも知れません。

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幸福を追求するのは全ての人の権利で、放っておいても皆さん幸福を追求します。だからそれに政治が介入する必要はあまりない。 しかし望まない不幸にさらされている人々を救済することは、政治の責務だ・・という菅首相の言葉は分かりやすく、耳障りのいいものです。

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菅首相は、これを政治全般の考え方として語りましたが、もともと福祉の基本は、最小不幸社会の実現です。 しかし、これは一筋縄ではいきません。

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大多数の豊かで幸せな人々の中に、少数の恵まれない人が混じる社会は、福祉による救済は非常に効果的です。全員が幸福になれます。しかし、一部の人だけが豊かで、大多数の人が恵まれない環境下では、福祉はしばしば無力です。

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社会全体に閉塞感がただよう中で、多くの人々の不幸を無くす有効な対策があるかは不明ですが、福祉を充実させる事にオヒョウは賛成です。しかし、菅首相はその費用を消費税の税率アップで賄う考えのようです。最も恵まれない人を救済し最小不幸な社会を確立するために、逆累進性の高い消費税に頼るというのは、ちょっと矛盾しています。 直接税である所得税率や法人税率を上げるのは困難なので、消費税をという発想なのでしょう。

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いずれ、消費税率は上げざるを得ないと、多くの国民は理解していますが、民主党は選挙対策として消費税率アップに触れたがらないでしょうし、野党は、昨年の総選挙時の公約との矛盾をついてくるでしょうから、簡単ではありません。

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そもそも増税について、菅首相はどういう理屈を用意しているのでしょうか? 彼は「増税しても、その使い道を間違えなければ、景気はよくなる」という持論を展開しています。 使い道を間違えなければという但し書きがついているので、この説を否定する事はできませんが、福祉目的の増税であれば、それで景気回復を狙うというのは、ちょっと変です。景気対策として考えるなら、税金の使い方として公共投資が(短期的には)最も有効で、福祉への支出の経済波及効果はあまり大きくないと、オヒョウは考えるからです。

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そもそも、お金を使う目的に景気対策と、福祉対策を兼務させるのは欲張りですが、民主党の政策では、しばしばそこが曖昧になっています。例えば、今年から始まった子ども手当ですが、目的が少子化対策・子育て支援なのか、景気浮揚策なのか、いまだにはっきりしません。都合よく、その場その場で目的を使い分けています。

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確かに増税した場合、その使い道を誤らない事が大事ですが、菅首相に明確な思想があるのか? 彼は「乗数効果」という経済用語さえ知りませんでした。 専門家である、経済官僚の知恵を借りるべきですが、彼は「官僚は大バカ者だ」と公言し、官僚の助けを求める考えはなさそうです。

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増税目的とその効果予測がデタラメで、理論武装が無いまま、消費税率アップを、国会に諮ったら、野党からは厳しく追及されるでしょうし、官僚からは冷ややかな目で見られるでしょう。

「 官僚は大バカ者かも知れないが、菅僚はもっとバカだ 」と言われるかも知れません。 

最小不幸の社会を目指す道は多難です。 

次号では、経済は好調で活気があるけれど、決して最小不幸ではない国、中国の場合について考えます。


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おじゃまま

「友愛」よりは分かりやすいですけれども…
by おじゃまま (2010-06-11 09:21) 

笑うオヒョウ

おじゃまま様 コメントありがとうございます。

ご承知かも知れませんが、鳩山由紀夫の「友愛」について、かつて中曽根康弘が「ソフトクリームみたいだ。甘ったるいし、日なたに出すと溶けてなくなっちゃう」と言った事があります。政権与党になって8ヶ月間、光を浴びて{友愛}は溶けた・・かな?
菅首相の「最小不幸」はその点分かりやすいですが、理科系首相はもともと政治経済では素人です。誰かに足をすくわれないか・・とちょっと心配です。

またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2010-06-11 12:29) 

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