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【 官と呼びたいその心 】 [日本語]

【 官と呼びたいその心 】 

車で移動中にNHKラジオを聞いていたら、ある歌人が佐佐木信綱の紹介をしていて、「お孫さんの佐佐木幸綱さんも歌人で早稲田大学教授ですが、先ごろ退官されました」と言っています。

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「 あれっ? 早稲田大学なら退職ではないのか? どうして退官なんだい? 」とオヒョウは思いました。昨今は学校にもいろいろあって、半官半民の第三セクターの学校もあります。だから、官立(国公立)学校と私立学校の境界はあいまいになっているかも知れませんが、それでも在野精神旺盛な私学の雄、早稲田大学の先生なら、退官のはずはないじゃないか?・・と私は思います。

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考えてみれば、役人でもないのに、という言葉を使いたがる人はたくさんいます。民間企業に就職する際、面接にあたる担当者を「面接官」と呼んだりします。 官庁が主宰する試験でなくても、試験を行う人を「試験官」と呼んだりします。

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さらに言えば、民間の自動車学校の指導員を「教官」と呼んだりします。指導員自身は、正確でなくてはならない・・という事なのか、あくまで自分を指導員と言いますが、生徒の方から「教官」と呼ぶのは不思議です。

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お役所が行う自動車運転免許試験と、民間の自動車学校での教習・指導とを混同しているのでしょうか? それとも官尊民卑の発想の元、先生をとして扱う事でゴマをするのでしょうか? ちょっとそこのところは分かりません。

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そして「教官」と言えば、思い出すのは、30年前のTVドラマ「スチュワーデス物語」です。 これは飛行機の客室乗務員が少女達のあこがれの職業であった頃、日本航空の全面的な協力の元に制作された、一種のコメディでご記憶の方もいるはずです。

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当時、独身のオヒョウはテレビを持っていませんでしたし、テレビを見る時間もありませんでした。そして時間があったとしても、そんなミーハーなTVドラマは見なかった・・と思います。しかし、そんなオヒョウでも記憶する場面があります。

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主人公のスチュワーデス訓練生が、「教官!私はドジでノロマな亀です」と自嘲的に語る場面です。「あれ? 日本航空は民間会社ではないのか?」 当時、日本航空は完全民営化前の特殊会社でしたが、社員はではなくだったはずです。それでも社員にはの意識が紛々していたそうです。 (オヒョウの知る限りでは、そんな感じの人はいませんでしたが・・・)。

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そもそもスチュワーデスとは、厳しい教官の指導の元に訓練を受けなければ、こなせないほど、高度に専門的な職業なのかなぁ・・という素朴な疑問は別にして、このドラマの中に頻繁に登場する「教官」という呼称に誰かクレームしないかな?なんてオヒョウは思っていました。

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しかし、視聴者からも日本航空からもクレームはなかったようです。これはなぜなのか?「官」という言葉の定義に人々が無頓着で、言葉の誤用と思わないのか、それとも日本航空が、自他共に認める官僚の世界だからなのか・・・・?

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オヒョウは必ずしもそうは思いませんが、民間会社なのに、お役所的な意識を持っていたら、いずれ経営は破綻する・・という意見があります。今頃、それを言っても遅いのですが、果たして日本航空は経営破綻しました。「教官」と呼ばれ、自分を官吏と錯覚していた人はハローワークに通うことになるのかも知れません。

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考えようによっては、会社更生法の適用は、悪しきの意識を払拭するいい機会なのかも知れません。 今後、制作されるかも知れない、スチュワーデス物語の続編では「教官」ではなく「先生」と呼ぶかも知れません。

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しかし、この問題は日本航空だけではありません。鉄道も同じです。JRはすったもんだの末に、国鉄が民営化された民間会社ですが、地方に行くと、自治体も出資した第三セクターの鉄道があります。

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今、上越市で問題になっているのは、北陸新幹線の開業に伴い経営の見直しが必要となる並行在来線(つまり信越本線の一部)をどうするか・・という点です。 自公政権時代に、第三セクター化するという方針が決まっていましたが、民主党政権となって「前政権が決めた事は、とにかくひっくり返す」という方針の元、前原国交大臣はゼロベースでの見直しを打ち出しています(なんだか普天間みたいです)。

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民主党を支持する国労は、並行在来線をJRに留めるべきだ・・と主張します。 第三セクター化したら赤字になることは明らかなので、それを放り出すというのは不適当だという主張です。 確かに長野新幹線ができた後の、しなの鉄道の困窮を見れば、彼らの言い分も分かりますが、国労の主張は、従業者の待遇保証が目的であり、会社の経営や社会全体の事を考えてのものではありません。

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並行在来線の扱いを具体的にどうするべきかは、稿を改めて管見を述べますが、オヒョウが漠然と思うのは、官と民の事です。今、第三セクターに勤務する人の中には、国鉄に就職し、途中でJRになって民間企業の社員になり、それが今は半官半民の第三セクターに勤務するという、公務員だか民間企業人だか分からない人がいます。

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どの身分でもやる仕事は同じで、もくもくとこなすだけ・・とは思いますが、何度もの身分の変化で、自分は翻弄されている・・と思う人がいるかもしれません。できれば、最初から最後までではなく民間企業のサラリーマンとして仕事をする方が、すっきりするのに・・と思う人もいるかも知れません。


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おじゃまま

私から見ると、「軽蔑」とか「嘲笑」が混じっているような気がしますが…。
ま、NHKはそんなことはないので、単に間違いでしょうね。
「先生」にも、時々そういう嫌みを感じます…(笑)
by おじゃまま (2010-05-19 22:56) 

笑うオヒョウ

おじゃまま様 コメントありがとうございます。

ドタバタしていてブログの更新が遅れるだけでなく、コメントへのお礼と返事が遅くなっております。 お許しをお願いします。

「先生」という言葉の持つ嫌味については、いずれ雑文にまとめたいと思いますので、またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2010-05-28 11:28) 

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