SSブログ

【 再び事業仕分けに苦言、 その1 】 [政治]

【 再び事業仕分けに苦言、 その1 】 

第二回目の事業仕分けが公開で行われました。内閣支持率や与党支持率が下がってくると、挽回策として行うパフォーマンスに過ぎないという穿った見方もありますが、本来、事業仕分けは、常に行うべき手続きであり、民間会社では普通に行っています(勿論、実施しない会社もありますが)。

・・・・・・

前回 “生意気蓮舫のあだ名の通り、高圧的な尋問の姿勢で、顰蹙を買った蓮舫議員の言葉遣いは多少おとなしくなりましたが、事業仕分けの考え方は以前のままです。

・・・・・・

具体的には、ポイントは、下記の4点です。

1.天下り役人が甘い汁を吸う温床になっていないか?

2.民間でできる仕事を非効率で高コストの官がしていないか?

3.利用されないサービスや無意味な仕事をするという無駄はないか?

4.各独立行政法人で、重複した仕事や研究をしていないか?

・・・・・・

前回は研究機関の研究テーマにまで踏み込んで、事業の割愛・取捨選択(のまねごと)まで行ったのですが、今回は多少控えめで、研究テーマの議論には踏み込まなかったようです。

・・・・・・

ノーベル賞学者野依理事長から「あなた方は歴史の法廷に立つ覚悟がおありか?」と反発された理化学研究所の仕分けでは、研究内容には踏み込まず(踏み込めず)、秘書の内の2人が研究員の配偶者であった事を問題視して、お茶を濁しました。

・・・・・・

どうでもいいけれど、国会議員には、自分の親族を秘書にしている人がたくさんいます。公職である国会議員を世襲して、家業のごとく私物化している政治家が何を言うか・・・とオヒョウなどは思いますが。

・・・・・・

問題を指摘しやすいのは4.です。事業仕分け人は無駄の発見と排除が使命ですから、他の研究機関との重複業務を見つけると、やりだまに上げます。

「 他の研究機関でも似たような研究をしていますね。統合して一本化するべきでしょう 」というコメントになります。

・・・・・・

もっともな指摘ですが、本当に研究機関を統合して一本化すべきか、あるいは一つの研究テーマは一つの機関で取り組むべきか・・?オヒョウは甚だ疑問に思うのです。

・・・・・・

画期的な発明や研究には、複数の機関や複数のチームが関わって完成したものが多数あります。そしてそのタイプは2種類に分かれます。

1. 多段式ロケットあるいは、リレーの様に、基礎研究から製品化までを複数のチームが引き継いで行くもの。

例えば、ロータリーエンジンがその例です。基本的な発明はドイツのNSUのパンケル博士が行いましたが製品化したのは日本の東洋工業(当時)です。液晶も基本的な発明は米国でなされ、日本で実用化しました。

・・・・・・

2. 複数のチームがヨーイドンで、一斉に一つの目標に向かって競争するもの。

青色発光ダイオードがその例です。トップでゴールに入ったのは日亜化学の中村修二氏のグループですが、現在、日亜化学の方式は、ほとんど使用されていません。ちょっと遅れてゴールインした他のチームの方式が実用化されています。

・・・・・・

.2.も民間企業の例ですが、そうでない場合もあります。公の研究機関で、2の例をあげれば、高温超電導の例があります。高温超電導の研究は、数多くの元素の組み合わせについて性質を確認する必要があり、天文学的な数字の場合分けについて調査する必要があり、一つの研究機関でまかなえるものではありません。田中博士が率いる超電導工学研究所なるものはありますが、最近の新しい発見は、他の研究機関(大学)から出ています。複数の研究機関が競争し刺激しあって、成果を出しています。

・・・・・・

さらに重要な例をあげれば、ヒト万能細胞の研究があります。かつて脚光を浴びた、ES細胞は外国で発明されました。しかし、ヒトの受精卵を使うので倫理な問題があります。京都大学の山中教授が発明したiPS細胞はその問題はありませんが、容易に癌化する可能性が残ります。東北大学で発明されたMuse細胞は、癌化の危険性は非常に低いとされますが、短命です。

・・・・・・

どの万能細胞にも、長所と短所がありますが、将来はより完璧な細胞が造られると期待されます。

・・・・・・

もし、仕分け人が「万能細胞の研究は外国でもしていますね。国内の他大学でも研究して、成果がでていますね。 だったら、もうこちらで研究する必要はないでしょう」などと言ったら、日本の(いや世界の)万能細胞の研究は、すぐにスピードダウンするでしょうし、その結果、現在存命の患者が万能細胞の恩恵にあずかれる可能性も減ってしまいます。

・・・・・・

仕分け人に、各種万能細胞の違いを理解しろと言っても無理です。新人代議士や文科系の専門家が、付け焼き刃の知識を元にして、1時間議論して、全てが判断できるなら、大学の講義など不要です。実際には、似たような研究に、複数の研究者が同時に取り組む事に非常に意味がある場合があります。

・・・・・・

うすっぺらなパフォーマンスである事業仕分けではそこが説明されません。 一方、一見かけ離れた研究でありながら、その目的に共通した部分が多く、片方を割愛してもいい場合もあります。決して仕分け人には理解できないでしょうが・・・・。 

その例を次回報告致します。


nice!(6)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 6

コメント 2

はりがや

うーん...なんだか,不思議な事業仕分けですね.
by はりがや (2010-05-02 15:06) 

笑うオヒョウ

はりがや様 ご訪問、そしてコメントをありがとうございます。

事業仕分けについての続きは、本日、書き込む予定です。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-05-06 00:40) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。