【 セサミストリートの挫折 その1 】 [アメリカ]
【 セサミストリートの挫折 その1 】
読者諸兄は、未就学児向けのテレビ番組セサミストリートをご存知でしょうか? 1971年に日本でこの番組が始まった時はオリジナルの英語版が放映されました。 オヒョウは当時中学生で、英語版のテレビ番組を見せられてもちょっと困ったのですが、英語の先生のミス・キザワは、正確な英語の発音を学ぶ為に、この番組の視聴を奨励されました。
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音声多重放送・・などというものは、まだなく、字幕スーパーはあったかも知れませんが、そもそも幼児向けの番組を見て面白いはずもありません。 その話を母にすると、母は英語教師だった祖父の話をしました。
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祖父は、日本でテレビ放送が始まった頃に放映された、ルーシーショウというドタバタ番組を好きだったそうです。その頃は、声優による吹き替えという仕組みがなく、英語での放送だったのだそうです。イギリス英語を学んだ祖父には、アメリカ英語を聞けるルーシーショウが新鮮で興味深かったらしく、この番組を好んだのです。しばらくして、ルーシーショウが日本語の吹き替えになると、興味を失い見なくなったそうです。
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だから、母は祖父の例を引き合いに出して、英語のオリジナルの番組を見るよう勧めました。 まるで木沢先生と同じ事を言うな・・・と考えて思い当たりました。
ミス・キザワは祖父の教え子で、母の先輩でした。
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しかし、英語のオリジナル版にこそ価値があったセサミストリートは、その後日本語の吹替版が登場し、音声多重放送では日本語版が主音声、英語版が副音声になりました。その頃には、オヒョウはもうこの番組を見ませんでした。
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セサミストリートには、未就学児に数字やアルファベットを教えるという目的の他に、英語を母国語にしない子供たちに英語を教えるという意味があります。そして番組の背景にはモデルがあります。 オヒョウがそれを知ったのは、その20年後、アメリカに暮らした頃です。ライス大学を卒業し、住友商事ヒューストン支店に勤務する青年に教えてもらったのです。
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20世紀の前半、テキサス州には、ゴマの栽培で成功した大農場があったのだそうです。当然、その農場では多くの労働力を必要とし、メキシコからのたくさんの移民が働いたのですが、その多くは英語が話せません。その子供たちももちろんスペイン語しか話せません。
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田舎でもあり、幼児教育をする施設もありません。そこで農場主は子供向けに初等教育を行う学校を農場内に設けました。その農場主の考えは2つ。
1. 農場主の子供も労働者の子供も、等しく同じ教室で学び、貧富の差、民族の差に関係なく、一緒に教育を受ける。
2. 英語を母国語とする子供も、スペイン語を母国語とする子供も、英語を学ぶ。
農場主は、移民であれ、出稼ぎ労働者であれ、異民族であれ、米国で暮らす以上は英語を学び理解すべきだと考えました。特にこれから教育を受ける子供は、英語を学ぶべきであり、アメリカで暮らす以上、英語を話せない事のハンディキャップの大きさを考えるべきだ・・と思ったのです。
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実際、外国で暮らして、その国の言葉が分からない時の苦しさは、オヒョウにはよく分かります。全く自慢にもなりませんが・・。
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この試みは大成功し、複数の民族、マジョリティもマイノリティも仲良く学び、差別もない環境を実現した学校として、米国では評判になったそうです。一説には、農場の外からもその学校に通う子供がいたそうです。ゴマ農場の中央には大きな通りがあり、名前はセサミストリートでした。
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その学校の趣旨を汲み取り、マイノリティの人、貧しい人を考慮した幼児教育番組を考えたのが、ジム・ヘンソンで、その番組セサミストリートは大成功し、世界中で放映されたのです。
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オヒョウは、その話を聞いて、実に良い話だなぁ、アメリカも捨てたものではない・・と思いました。しかし、その後日本に帰ってから、アメリカの事情を聞くと、かなり事態が変わってきているようなのです。全く、オヒョウの考えていない方向に変化しているようです。その辺りの話は次号で・・・。
ミス・キザワがセサミを授業で奨めた、というのは初耳です。少なくとも私のクラスでは記憶ないです。もっとも、前の新保さんの講演内容と同様、私が覚えていないだけかもしれませんが。中学時代のことは忘却の彼方っぽいですね.........
ところで、セサミストリート、たしかに時々スペイン語が入りましたね。ヒスパニックの子供に英語を教える番組だったのでしょうか? それにしても変なキャラクターが一杯いましたね。クッキーモンスターとか、名前は忘れたけれど大きな黄色い鳥とか.....
by Dr.Y. (2010-03-31 08:57)
Dr.Y様 コメントありがとうございます。
木沢先生の話というのは、日常的に、アメリカ人の話す英語を聞く機会があるか?との
教室内の雑談の中ででてきたものです。最初、先生は「外国映画などを見るといい」と言われました。しかし中学生がそうしょっちゅう映画を見る訳にもいきませんし、ラジオ番組でも生の英語が聞こえるものは多くない・・(FENやVOAを聞く機会はありませんでしたし、NHKのカレントトピックスぐらい)という流れの中で、ではテレビ番組で英語が聞けるものは・・という事でセサミストリートがあがりました。当時、アメリカのTVドラマがほとんど吹き替えになっていた中で、そうでないもの・・という事で名前が出たものと記憶します。
またのコメントをお願いします。
by 笑うオヒョウ (2010-03-31 09:20)