SSブログ

【 島を売れ? エーゲ海に捧ぐ その1 】 [雑学]

【 島を売れ? エーゲ海に捧ぐ その1 】

 暴力金融業者の取り立てというのは、それはそれは厳しいものだそうです。幸いにして、オヒョウには経験がありませんが「借金を返せないなら腎臓を売れ!」とか「目の玉くりぬいて角膜を売れ!」とムチャクチャな事を言ってくる場合もあるそうです。

・・・・・・

ベニスの商人のシャイロックは、借金のカタに心臓を取ろうとしますが、ポーシャ姫に、心臓を取ってもよいが血を一滴も流してはならぬ・・とやりこめられてしまいますが、それを真似たのでしょうか。

・・・・・・

日本で臓器売買などできる訳もないのですが、実際に東南アジアには、臓器を売った人も多いというのですから・・冗談には聞こえません。もっとも考えてみれば、最も小規模な臓器移植は輸血です。そして日本でも昭和の時代には売血があったのですから、他人事ではありません。

・・・・・・

ちょっとそれに近いニュアンスで聞こえたのは、先日のドイツの与党有力政治家の発言です。

「ギリシャは借金を返せないのなら、無人島を売れ」

複数の政治家が同趣旨の発言をしたそうです。

・・・・・・

ギリシャのせいで、ユーロ圏で初のデフォルト(破産国家)が誕生するかも知れません。 そのためにユーロの価値が下落して、他の国家が莫大な富を失う可能性もある訳で、思わず厳しい事も言いたくなるかも知れません。 オヒョウは何をおいてもギリシャの救済が重要だと思うのですが、ギリシャの前政権が財政赤字を粉飾していたとあっては、援助しろと言われても抵抗があるでしょう。まして粉飾をアドバイスしたのはゴールドマン・サックスで、その幹部は天文学的なボーナスを貰っているのですから。

・・・・・・

それに、ユーロ諸国には余裕がありません。 ギリシャの後には、ポルトガルが続いています。そしてスペインもそれに続きます。さらには破綻後のアイスランドの問題が続いています。アイスランド政府が、英国やオランダの預金者の預金を保護すべきか否かでもめており、その結果、英国、オランダとの関係が険悪化しています。もっともこれらの国は以前から、仲が良いとは言えないのですが・・。

・・・・・・

ギリシャには3000以上の島がありますが、人が住むのは100以下です。それ以外の無人島なら売っても良いではないか?という提案ですが、国土を借金のカタに売るというのは・・ありうるのでしょうか?

・・・・・・

日本でも無人島の売買は時々話題になります。先日も瀬戸内海の小さな無人島(国有地)がオークションにかかり1億円で売れたとの事ですし、さだまさしも以前、島を買って話題になりました。

・・・・・・

しかし、これはあくまで売買による所有権の移転に過ぎません。国家主権の及ぶ範囲としての国土の帰属を変えるというのは、あまり聞いた事がありません。有名なのは、アメリカ合衆国が帝政ロシア(当時)からアラスカを買収したエピソードです。たしか代価は720万ドルという只同然の金額です。

・・・・・・

アメリカが買取った後、アラスカでは金が見つかり、やがて石油が見つかり、アメリカは大儲け、ロシアは大損・・という結果でした。オヒョウがアラスカのジュノーに行った時、当地にはロシア正教風の教会があり、奇異に思った記憶があります。アラスカがアメリカに移った後も宗教は残っているのです。

・・・・・・

アラスカはともかく、ギリシャの島は売れるでしょうか?エーゲ海の小島はどれも風光明媚で気候もそこそこ温暖ですから、欧州のお金持ちの別荘地、保養地としてはニーズがあるでしょう。それにギリシャの孤島には、思わぬ古代遺跡がある可能性があり、ロマンを持つ人(正確に言えばヤマ師の感覚がある人)にはとても魅力的でしょう。第二のシュリーマンを夢見る人は、島を買いたいと思うでしょう。

・・・・・・

でも、本当にうまくいくでしょうか?他の欧州諸国も疲弊していますから、そうそう買い手はいないかも知れません。 いや待てよ・・ひとつだけあります。

・・・・・・

はるか昔からエーゲ海を挟んで対立し、領土争いや宗教対立を繰り返してきたトルコです。不倶戴天の敵であるトルコは、エーゲ海の領土が戦争なしで手に入るとなれば、借金してでも買うかも知れません。トルコも財政的に豊かではありませんが・・・。

・・・・・・

しかし、それではギリシャ国民が黙っていないかも知れません。

本来、領土は、お金で購うものではありません。それが可能なら、バブル期の日本はお金を払って領土問題が解決できたはずです。

・・・・・・

実際、一部の政治家から北方領土を金で買取るという提案がありましたが即否定されています。北方領土は日本固有の領土であり、それが不法に占拠されているのに、代価を払って買うと言えば、現在のロシア(ソ連)の所有権を認めてしまうから・・・という理屈です。

・・・・・・

一方、ロシアの方だって、黙っていません。彼らは「血で購ったものは、金では売らない」という主張で、武力で簒奪した領土の領有権の正当性を主張します。 しかしこれを逆説で考えると、「返して欲しければ、戦争をしかけて血で奪い取れ」と言っているのと同じで甚だ物騒です。北方領土問題に限らず、竹島、尖閣列島問題も同様でしょう。

・・・・・・

やはり島を売るのは難しい・・・。では他に換金できるものはないか?実はたくさんあるのです。 その話は次号で。


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。