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【 JALについて思うこと その1 】 [航空]

【 JALについて思うこと その1 】

何年か前の話ですが、羽田から小松に飛ぶJALに搭乗した時です。なぜか無条件でクラスJにアップグレードされました。

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ご承知の通り、クラスJはスーパーシートほど高級ではありませんが、エコノミーにプラスαのお金を払って乗る優等席です。 座席の幅はわずかですが、エコノミーより広くなっています。その便は、エコノミーが混み合っていたのに、クラスJは空いていたのです。 そして係員は、乗客を見渡して、一番恰幅がいい(横幅の大きい)オヒョウを選んで、アップグレードしたのです。

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生まれてン十年、肥満している事で、得した事は一度も無かったのに、この時だけは、ラッキーでした。 オヒョウの敬愛する××仮面さんなどは、クラスJの差額分のマイレージだけむしられて、座席はエコノミーだったという不運な目にあっているのですから、オヒョウは幸運でした。

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スーパーシートの食事には負けますが、クラスJでは茶菓が出ます。離陸してしばらくすると、濃い緑色の美味しいお茶と、黒文字の楊枝を添えた和菓子が出されました。

そのお菓子を見て、オヒョウは驚きました。

「 これは森八ではないか! 」

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城下町金沢は、茶道の盛んな町です。 城下町で茶道が盛んという事は独自の和菓子の文化があるという事です。 実際金沢には、大小合わせて、多くの和菓子舗があり、工夫を凝らした上品な和菓子が多くあります。 森八は、和菓子の老舗であり、店頭で買い求められる和菓子の中では、当時、高級ブランドで通っていました。

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特に干菓子の長生殿は上品な味の銘菓で贈答用にも適しています。

しかし・・・母が言うには、

「 長生殿をプレゼントするのはいいけれど、相手にその価値が分からなくてはつまらない。金沢以外の方にプレゼントする時は、避けた方がいいかも。 逆に長生殿をいただく場合は、先様が『あなたは長生殿の価値を知っている』と認めてくれている事になるから、喜んでいいかも 」

どうも、なんだかややこしいお菓子ですが、オヒョウは森八のお菓子が大好きです。

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お菓子自体は大変おいしかったのですが、オヒョウは思いました。

「 これはまずいのではないか? 」

クラスJとエコノミーの差額はたいした金額ではありません。 それなのにこんなお菓子とお茶を出して、ペイするのだろうか・・・?

(まあ、無料でアップグレードされたオヒョウが考える事ではありませんが)。

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クラスJの乗客の内、何割が金沢出身者で、どれだけの人が森八のお菓子の価値を知っているのか・・・オヒョウには分かりません。多分、和菓子を嫌いな人もいるし、森八を知らない人もいます。その人達には、金沢の老舗の和菓子を出さなくてもいいのです。スーパーで売っているダイフクモチで十分なのです。

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お客の気付かないところにあえてコストをかけたり、一部の気付く人だけがその価値を理解するサービスを提供する・・・というやり方は、高級なサービス業ではなりたちますが、急速に大衆化が進む航空業界に馴染むか・・・やや疑問です。

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オヒョウは1個の和菓子から、JALの経営にちょっと不安を感じました。航空会社にとって、スーパーシートやクラスJなどの優等席をどうするかはマーケッティング上の大問題です。そしてJALはそれに失敗しました。

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鉄道からの乗り換え組のお客には、ファーストクラスのイメージがあるスーパーシートは高級すぎて敬遠される・・・と読んだJALは中途半端なクラスJを設置して失敗しました。 高級ブランドを造る時は、中途半端はいけない・・という鉄則に背いたからです。

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余談ですが、レクサスブランドを造ったトヨタは、名前とエンブレムを換えただけのトヨタ車をレクサス車として売り出して、お客から総スカンをくった事があります。

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欧州や北米、中国でも、古くからあるエアラインは、短距離の国内線にも優等席を設けていますが、新しい格安エアラインは全席エコノミーが多いようです。 これからは、一つのキャビンの中を区切るのではなく、便で、或いは航空会社で優等席とエコノミー席を分ける事になりそうです。

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JALに同情すべき点もあります。飛行機の大衆化の中で、優等席とエコノミー席を分けろというお客の声に答えて、彼らはスーパーシートの研究を25年前からしていました。 いよいよ実行する間際になって、JALはジャンボ機の御巣鷹山への墜落事故が発生し、計画は大幅に遅れました。 事故の影響でただでさえ乗客が減ったのに、その上、スーパーシートの利用客は全部ANAに取られてしまいました。

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以前、JALの蹉跌は、JASの吸収合併から始まったとこのブログに書きましたが、正確には御巣鷹山の墜落事故が発端だったのかも知れません。

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本文では国内線の和菓子について書きましたが、国際線のワインにも同じ事が言えそうです。 そのあたり機会を見てまた書きます。

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夏炉冬扇

こんばんは。
面白く読みました。

by 夏炉冬扇 (2010-02-22 18:29) 

tomomame

初めまして。
色々考えさせられますね。
なんでもそうですが、相手の価値基準に合っていないと
「そんなもの(こと)」と裏目にでますし。
せっかくの労力やコストもわからない方には
たいしたことのないものに思われたりしますし…。
by tomomame (2010-02-22 21:43) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様  コメントありがとうございます。

JALの再建は難しそうですね。
この件については、これからも駄文を書き連ねます。
私が意見を述べたところで、ごまめの歯ぎしりですが、他人様が気付かない細かい事を取りあげて、「よしのずいから天を覗く」ような意見を書くのが好きなのです。 これからもお時間のある時にごらん頂ければ幸いです。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-02-23 00:08) 

笑うオヒョウ

はじめまして TOMOMAME様、ご訪問とコメントをありがとうございます。

オヒョウはJALの例を挙げましたが、お客へのサービスにどれだけのコストをどのようにかけるか・・というのは、全ての事業に共通した問題だと思います。
安いコストで顧客満足度を上げられるビジネスは成功し、不器用な企業は失敗します。日本のエアラインはたいてい不器用です。

でもオヒョウは個人的には、お茶菓子にあえて上等なお菓子を出す判断を決して軽蔑してはいないのです。むしろ尊敬しているのです。

またのコメントをお願いします。
by 笑うオヒョウ (2010-02-23 00:18) 

Dr.Y.

私は最近ほとんどJRで上京するようになりましたが(先の週末も)、13,4年前に学位論文執筆中は、ほぼ月に1回くらい飛行機で上京していました。優等な席を予約することはなかったので、お菓子については分かりませんが、その間にJALもANAも大分乗りました。

で、地上勤務の人も含めて乗務員の態度というかサービス品質が、どうもJALの方が劣るような気がしてきて、以来どうしても飛行機を利用する場合ANAにするようになりました。具体的に指摘はできませんが、乗務員の意識に親方日の丸的なものがあって、顧客を重視していないのでは?、と思わせるようなとことが多々見られました。まあ、ほんの末端顧客の印象に過ぎませんが、それにしても倒産するとはね.......

by Dr.Y. (2010-02-23 10:12) 

笑うオヒョウ

Dr.Y様 コメントありがとうございます。

ひとりひとりの接客態度・・という点は、たしかにそうかも知れませんね。
私の家内もY博士と同意見です。

私の方は何とも言えないのですが・・・、そのあたり、また雑文にしたためます。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-02-23 12:26) 

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