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【 吉宗のリストラ 】 [航空]

【 吉宗のリストラ 】

 とうとう日本航空が会社更生法の適用を申請しました。経営破綻した会社の経営者というのは、どこか敗北した軍の将軍の様で、痛々しさを感じます。 でも待てよ? まだちょっと何かが足りません。

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今から30年ほど前、造船不況に見舞われた佐世保重工が経営危機になった事があります。 社長は上京し、日本鋼管(当時)や多くの金融機関に支援を求めましたが、どこも応じません。日本鋼管(造船部門)にも、他社を救済する余裕は無かったのです。

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社長は、最初、黒塗りのセダンで、銀行を廻っていましたが、行き詰まってくると、タクシーに切り替え、更に厳しい状態になると、電車で移動して金策に走っていました。TVカメラは山の手線の電車の中でくたびれ果てた社長の横顔を写していました。

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結局、佐世保重工は来島ドック(当時)に救済されるのですが、それを見て、経営者とは厳しいものだと思いました。

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融資を頼みに行く場合、あるいは債権放棄を頼みに行く場合、やはり謙虚な姿勢が必要なのは当然です。そして全ての行動は慎ましくあるべきです。 会社更生法の申請に行く、日本航空の幹部は黒塗りの車に乗っていました。 多くの債権者、さらには国民に負担を求めるのなら、やはり電車と徒歩でよかったのでは?とオヒョウは思います。

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昨年、米国で政府の援助を求めた、自動車メーカー、ビッグ3の経営者はデトロイトからワシントンまで、自家用ジェットで飛び、議会で非難を浴びました。 その次の時は、自社製の自動車でワシントンまで出向いたそうです。日航経営陣も当然参考にすべきです。

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ビジネスマンとして一生を送る多くの人々の中で、金策に苦労する経験を持つ人が何%いるかオヒョウは知りません。金策とは、辛いし、しばしば屈辱的かも知れません。 しかしオヒョウの知る幾つかの会社では金策にあたるのはその会社の幹部、あるいはエリートの人たちです。 優秀な人達でないと金融機関を説得して、いい条件でお金を調達するのは容易ではないからでしょう。まして債権放棄の要請などとなると、責任ある人でなければできません。そして彼らが謙虚になって、初めてことは前に進みます。

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経営の立て直しの為に、銀行にお金を借りに行くと、貸してくれる代わりに、経営の甘さを指摘され、リストラの断行を要求されます。つまり首切り要求です。 ここで経営者の対応は二手に分かれます。

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ある種の経営者は、それをチャンスとして、喜んで使用人の首を切ります。もともと、気に入らない部下でも簡単に馘首する事はできませんが、融資の条件としてリストラを迫られた・・となると、大義名分をもって首にできるからです。

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別の種類の経営者は、社員の解雇に強い抵抗を感じます。 一般的にはリストラ対象となる人達の責任で、会社が傾いた訳ではないからです。経営不振の責任を負うべき人と、深刻な不利益を被る人が別というのでは、道理が通らず、残された人のモラールダウンにつながる可能性があります。

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経営不振の責任を議論するなら、経営者の退陣を融資の条件とするのが筋です。その延長上に、経営者の退陣を前提とした会社更生法があります。しかし、最近は経営陣を温存したままで、使用人の解雇をほしいままにする民事再生法の方が増えています。

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日本航空の場合は会社更生法ですから経営陣は全員退陣となります。しかし、それ以上に一般従業員がリストラされます。単純に考えて、運航便数が減れば、運航乗務員と客室乗務員はそれだけ余剰が発生するので、リストラの対象となります。

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そこでオヒョウの提案ですが、客室乗務員の解雇に当たっては、年齢・容姿・所属組合などで差別せず、無作為抽出でリストラ対象者を選んだらいいでしょう。もし勤務評価・査定などで、劣位の者から解雇する・・・などという事になれば、リストラされる人は、大変不名誉なレッテルを貼られる事になります。 経済的に大打撃を受け、新しい仕事を探さねばならぬ身に、その不名誉は足枷になります。 

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評価が低いのだから優先的に不利益を被って当然だという乱暴な意見もありますが、その評価基準のモノサシを作った人たちが無能だから、経営不振に陥った訳で、そのモノサシなど全く信用できません。無作為抽出で、残る人と去る人を決めるのはそれなりに合理的です。

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いや、もう一歩進んで、優秀な人、美貌の人、若い人から解雇するという方法もありえます。大昔のようにスチュワーデス出身というだけでもてはやされた時代とは違います。地上に下りた彼女たちの再就職は簡単ではないはずです。巷に放り出された人の再就職を考えるなら、その方が適切です。 かつて大奥を大リストラした将軍吉宗が、美人から順番に暇を出したという故事にならうのです。

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容姿の劣る人ばかりが残ったら、会社の評判が下がるから経営再建が遅れるって? そんな事はないでしょう。昔のブラニフ航空ならいざ知らず、今時、美しい客室乗務員を目当てに搭乗する鼻の下の長い客などいません・・・・(多分)。

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かつて、女性の憧れの的だったスチュワーデスの価値は、昭和50年代以降、急速に低下しています。これは航空需要が増えて、スチュワーデスの数が増えて平均値が下がった事もありますが、他にも理由があります。 特に飛行機に乗る客層との関係があります。

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かつて、飛行機が高級な乗り物だった頃、客層も紳士淑女に限られました。 そして、そのお客に接するスチュワーデスも特別な存在でありえたのです。 しかし、飛行機が大衆化し庶民の乗り物となった現代、客層の変化に対応して、客室乗務員という職業も普通のものになってしまいました。

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サービス業の難しいところは、サービスする側がお客より偉くてはビジネスがなりたたない事です。 サービスする側の客室乗務員が、サービスされるお客より、ずっとプライドが高く、ずっと高給取りだったら、お客は居心地の悪さを感じるでしょう。

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飛行機の旅客も、乗務員も急速に大衆化していく中で、その変化にワンテンポ遅れ、お客が普通の人々になったのに、乗務員がまだ特別の存在であり続けたら、経営は失敗します。そこに日本航空の蹉跌の根本原因があると、オヒョウは思います。


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コメント 4

夏炉冬扇

こんばんは。
倒産させて再建するのがいいと思って「見て」おりました。

しかし、リストラされる人の側から見ると堪りませんね、家族がいるわけですから。ーを+に変えるのはとてつもないエネルギーが必要でしょうから。

3年後、どうなっているでしょうか。

by 夏炉冬扇 (2010-01-20 20:53) 

上野まり子

こんばんは 上野まり子です。

拝読させていただき、もっともだと思い、またそういう考えもあると関心いたしました。繰り返えし報道される経営陣の対応の姿、何故それらを参考に出来ないかと思わざるを得ません。リストラの問題についてはその先別に大きな課題があります。それにしても将軍吉宗の決断はなるほどと妙に納得いきます。
サービスをする側とされる側の立場、これはどの業種にもいえることでしょう。
またお邪魔します。

by 上野まり子 (2010-01-20 23:03) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇さん コメントありがとうございます。

社員と社員の家族の事を思うと、会社とは絶対に倒産させてはならないものだ・・・とオヒョウは思っております。しかし、日本航空については一度ご破算にしてから、再構築した方が確実に早く再建できると思います。

ポイントは稲盛氏の下で、誰がCOOをやるかですが、大西さんではちょっと無理では?とオヒョウは思っております。

そのあたり、また機会をみて、駄文を書きつづろうかと思っております。
またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2010-01-21 00:11) 

笑うオヒョウ

上野様 コメントありがとうございます。

かつてエアラインの社員と言えば、皆さんが羨望の目で見た職業でしょうから、彼ら彼女らがリストラされても、世間はあまり同情しないかも知れません。

でも、私はどんな合理化でも、辞めさせられる人達の事を真っ先に考えてしまいます。そういう甘ちゃんは、経営者にはなれないでしょうが、逆に働くなら、そういう人の下で働きたい・・と思ったりします。

またのご意見をお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-01-21 00:16) 

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