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【 ラム戦用意 】 [雑学]

【 ラム戦用意 】

 ラム戦とは、海戦において、軍艦の艦首にある鋭角な突起物(ラム)を相手の艦船に衝突させて破壊する戦闘方法です。海戦も陸戦同様基本的には飛び道具の世界ですが、いよいよ切羽詰ると体当たりです。

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陸戦でも、敵との距離がなくなり相互に接した状態で戦うとなると、銃剣で突き刺したり斬り合う白兵戦になりますが、近代戦では滅多にありません。 日露戦争の奉天の戦いは白兵戦で有名ですが・・・。

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海戦の場合もラム戦は滅多にありません。ミサイルや艦砲などの武器が使える限り、離れた地点から敵を攻撃した方が安全で効率的に決まっているからです。 わざと衝突するというのは、ミサイルや艦砲、魚雷といった兵器が全て使えなくなった状態か、弾がもったいない・・という状態で、しかも相手が自分よりずっと小型の場合です。

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日露戦争の前に、山本権兵衛が旧式の戦術しか知らない海軍の将校を大リストラした事があったそうですが、その際ラム戦にこだわる人もリストラの対象になったそうです。 ちょっと信じがたい話ですが・・・。私の知る範囲では実際に近代戦でラムを衝突させた事は無いのではないか?と思います。 

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現代の大型船舶は、造波抵抗低減のためバルバスバウという球状船首を用いますし、多くの軍艦は、艦首部にソナーを設置するため、ラムを装着しません。

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しかし、ラムでなくても艦首をぶつけ、相手の船に乗り上げて真っ二つに破壊する方法があります。こちらは実際に例があります。

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ロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンスが出演した「眼下の敵」では、浮上した潜水艦に駆逐艦がのしかかる形でUボートを倒します。これは映画ですが、実際に第二次大戦では、ソロモン沖で日本の駆逐艦「天霧」が米軍の魚雷艇PT109に衝突して、これを撃沈しています。その時の魚雷艇の艇長は、のちの大統領ジョン・F・ケネディです。駆逐艦より優速の魚雷艇に載っていて、敵の接近に気付かず、衝突されるなど、マヌケを絵に描いたような振る舞いですが、彼はこの時の行動で勲章を貰い、英雄的エピソードとなっています。

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戦後も自衛隊の軍艦が漁船に衝突して沈没させた例は複数あります。勿論それらは全て事故であり、避けなければならない事態ですが、シー・シェパードのように「これは戦争だ」と宣言して体当たりしてくるなら、話は別です。 

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調査捕鯨の船団には護衛艦隊を随伴させ、シー・シェパードが捕鯨船に体当たりしてくるなら、その前に護衛艦が立ちはだかって妨害船を真っ二つにしてもいいでしょう。彼らを相手に弾薬を使うなどもったいないですし、発砲すると話が大袈裟になります。鶏頭を割くに牛刀を用いる必要はありません。艦首をぶつければ、悪趣味な黒色に塗装し白いドクロのマークを書き込んだ、おもちゃの様な船は、即沈没です。

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ただ気がかりな点があります。戦前の軍艦は鋼板が厚く装甲が頑丈だったのですが、戦後の護衛艦は鋼板が薄く、華奢に出来ています。これは砲弾が当たった時の防御性よりも高速性を優先したものでしょうが、シー・シェパードの船に体当たりした時に護衛艦の方が大きく破損した・・などという事になると実にみっともない事になります。

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実際、関門海峡で韓国のコンテナ船と衝突した護衛艦「くらま」は艦首を大きく破損し、出火しています。むしろコンテナ船の被害の方が軽微でした。(もっともコンテナ船の船殻は、普通の貨物船よりは堅牢にできていますが)。

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こんなみっともない事にならない様、あるいは南氷洋の氷に当たっても傷まない様、捕鯨船団を護衛する護衛艦の艦首は強化する必要があります。 場合によってはラムを付けてもいいかも知れません。ついでに護衛艦の名前も変えましょう。「あまぎり」と。


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