【 五大湖の魚 】 [アメリカ]
【 五大湖の魚 】
Bloombergの記事に面白い話がありました。米国とカナダの間の五大湖で中国原産の外来魚が繁殖し、在来種の魚を脅かすと同時に観光に大打撃を与え、さらには沿岸の鉄鋼産業にも、大きな被害を与えている・・というのです。 英語版の記事は
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601103&sid=adpnjCeSJ8CQ
題名( Flying Carp Threaten Bond Rating. Great Lakes Fish )めんどうくさいから日本語版を・・という方は、下記のURLを御覧下さい。http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100106/mcb1001060504008-n1.htm
題名( 五大湖の地域経済脅かす外来魚 )Flying Carpとは何物か?と考えたら、これはハクレンの事でした。
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余談ですが、この記事を書いたMario Parkerという記者をオヒョウは好きです。何時も、他のマスコミとはちょっと違った角度からものを見て記事を書きます。 Bloombergのオヒョウみたいな人です。
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記事の内容は驚くべきものです。ミシシッピ川の水系からミシガン湖に大型の淡水魚ハクレンが入り込み、観光上も水産業上も重要な魚である在来種のサケの棲息を脅かしているというのです。巨大魚のジャンプは、水上スキーや小型船舶にも危険だし、ハクレンの侵入を抑える為に、水門を閉じれば、運河を利用する水上交通には大打撃で、特に五大湖沿岸に製鉄所を持つミッタルには、影響大だ・・・との事です。
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実は、オヒョウは五大湖の魚にこだわります。その昔、敬愛するAさん夫妻に誘われて、ミシガン湖でサケ釣りをした事があります。実に痛快で楽しい思い出でしたが、そのサケは養殖です。 天然のサケは湖や川と海を往復して一生を送りますが、ミシガン湖はナイアガラの滝の上流にあり、海からは遡上できないからです。
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そのサケを外来魚が脅かしているとなると、これは大問題です。でもまてよ、イリノイ州やウィスコンシン州といえば、日本で問題となる外来魚、ブルーギルやブラックバスのふるさとです。 米国ではブルーギルやブラックバスは在来種として問題なしとされ、草食性のハクレンが問題視されるのは、実に面白い事です。
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ご承知かと思いますが、ハクレンは日本にも輸入され、外来魚として利根川水系で棲息しています。 イトウと並び、日本では最大級の淡水魚として知られ、利根川で見られるハクレンの大ジャンプは風物詩だそうです。
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淡水魚の個体の大きさは、棲息する水系の規模と相関があるそうですから、ハクレンの場合、利根川よりもミシガン湖の方が体が大きくなるかも知れません。 そうなると、そのジャンプはかなり見ごたえのあるものになるでしょう。
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それにしても、なぜ五大湖ではハクレンは嫌われるのか?多分、まずくて食用としては適さない事もありますが、中国原産という理由もひょっとしたらあるかも知れません。 日本では中国原産を抵抗なく受け入れたのに、米国では拒絶される・・というのは現在の世界経済を象徴しているかの様です。米国の人は、巨大化して更にジャンプする中国経済を、無意識に拒絶しているのか?と勘ぐってみたくなります。
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さらに驚くべきは、その外来魚の影響が製鉄業にまで影響している事です。オヒョウは以前、五大湖の水運と米国の製鉄業の立地に密接な関係がある事をレポートにまとめた事がありますが、その当時はミッタルなんて会社は、米国にはありませんでした。それが、いつの間にか、米国の大手製鉄所の相当数がミッタルの支配下になっていたのです。 そしてそのミッタルの製鉄所が中国からの外来者に脅かされるというのは、面白い話です。いや米国だけではありません。世界中の製鉄所が、中国の影響を受け、その動向を注視しています。ハクレンは何かを象徴しています。
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巨大な魚ハクレンの立場になれば、利根川に棲むよりも揚子江やミシガン湖に棲む方が幸せかも知れません。中国には「大魚は小川に棲まず」という諺があります。小さい会社から大きな会社に転職する人などに送る言葉です。以前、オヒョウが中国にいた時、中国人の同僚が転職する際、この言葉を語ったら、彼は私の体を見て、「オヒョウさんもその体格なら、今の環境は窮屈かも知れませんね」と言いました。
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しかし、実際には普通のサラリーマンには五大湖で豪快にジャンプする機会など、なかなかないのです。 今年あたりは・・・なにか変化するかも知れませんが。
荒川でも1メートルくらいの死んだハクレンを見たことがあります。(笑)
確か日本には、食用目的で移入されたと記憶していますが・・・・♪
by よっちゃん (2010-01-09 00:13)
よっちゃんさん、久しぶりのコメントありがとうございます。
実は、オヒョウはまだハクレンの実物を見た事がありません。
おっしゃるとおり、ハクレンは食用魚として日本に持ち込まれて野生化したものですが、味はまずく、小骨も多い上に、淡水魚固有の生臭さが敬遠されて、食糧事情が改善してからは、見捨てられたと聞いています。 同じように食用として持ち込まれた外来淡水魚でも、ドイツゴイやニジマス、ティラピアは受け入れられたのに、ハクレン、ソウギョ、ブルーギルは生態破壊者として白眼視される・・・。 なんだか人間の身勝手さを思います。
またコメントをお願い致します。
by 笑うオヒョウ (2010-01-09 02:02)
北海道ではブラウントラウトが外来魚として駆逐されようとしてます。
理由は鮭の稚魚をばくばく食べるからだそうです。
北海道の在来種であるアメマスやイトウもばくばく食べてるのに・・・。
by 白熊パパ (2010-01-09 03:23)