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【 中国代表の呵々大笑 】 [中国]

【 中国代表の呵々大笑 】

 コペンハーゲンのCOP15では玉虫色の結論が示されましたが、真剣に地球温暖化問題を考える人にとっては、完全な敗北とも言える結果です。各国の利害が対立して足を引っ張り合うということは、誰もこの問題を地球全体の危機として考えていない・・・という事です。

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結局、京都会議より更に後退した状況になった訳ですが、この結果によって得をする人は誰か? 損をする人は誰か?を考えてみます。

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その判断に理屈は必要ありません。 会議が終わった後に、会場を出てくる人々の表情を見れば、一目瞭然です。苦虫を噛み潰した様な顔で出てくるのは欧州と米国の代表者達。 死刑を宣告されたかのように、悲壮の中に憤怒の表情で出てくるのは、水没の危機にあるツバルなどの島嶼諸国や、氷河湖の決壊による惨事を恐れるヒマラヤの国です。 そして満面に笑を浮かべて得意気に出てくるのは中国代表です。 

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結論として、建設的な合意が得られなかったのに、嬉しそうな顔をするという事は、この会議が成功しない事を望んでいたと白状するようなものです。 では中国はこの会議で何を狙っていたのか?

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1.自国への削減義務が設けられる事の回避。別のブログでも申しましたが、できれば、京都会議の結論の延長が彼らには望ましかったのです。更にいえば、米国には新たに削減義務が生じて、一方、中国は義務を負わないというのがベストでした。

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2.国際会議での拒否権の確認。中国の拒否権が認められているのは国連の安全保障理事会だけですが、主要な国際会議の全てで、中国がYesと言わなければ、結論が、まとまらない・・・という実績を積みあげたかったのです。今回は、CO2の主要排出国という立場で、本来は肩身が狭いはずなのですが、逆に我々が同意しなければ何事も合意できないのだから・・・と言う形で意見を押し通しています。

開き直りというか盗人猛々しいというべきですが、盗人猛々しいという中国語表現はありません。(いや、オヒョウが知らないだけかも)

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3.途上国グループのリーダーの地位の確認。中国は、ある時は先進国であると言い、ある時は途上国であると言い、自分の立場を使い分けます。最近、多くの場面で温家宝首相は、そのご都合主義を指摘され、自国を先進国とは言わなくなりましたが、大国であるとか、重要な位置を占める有力な国だ・・という表現を用います。

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全くコウモリの如き行動ですが、COP15では、当然途上国側の代表として振舞います。

しかし、そこに齟齬が生じます。

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自力で経済成長を遂げられる立場であり、そのためにCO2排出を減らしたくない中国と、自力では経済成長など望めず、CO2を削減しようにも台所の煮炊きぐらいしか燃料を使っておらず減らしようもない本当の第三世界では、全く立場が違います。

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「中国は我々の立場を代表する存在ではない」という一部の途上国の指摘を中国は黙らせました。それは開発援助のお金をばら撒く事で可能です。

国連であれ、オリンピック招致であれ、ASEAN会合であれ、多数決で決まる会議では、票を持つ貧しい国を買収し、いかに抱き込むか・・です。それにはお金です。中国はいかに多数派工作を成功させるかのノウハウを積み、自分の主張を通す方法を確立しました。

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今後、その手法は、COPだけでなく、WTOであれ資源保護の会議であれ、各国の利害が対立するあらゆる国際会議で用いられ、世界は中国の思惑に振り回されるでしょう。

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中国は今回、もっとも厳しい場面で、その実験に成功した訳で、それで笑いが止まらないのです。

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でもこれを非難するのは、適当ではないかも知れません。外交とか国際会議なんて、本来そんなに紳士的でも上品でもありません。 中国のやり方が当たり前です。数の力と金の力でねじ伏せるなんて、日本の国政も似たようなものではないですか・・・。 まあ、国政だけでなく、地方自治もそうですが。

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えっ?鳩山イニシアチブですか? 誰もそんなものは覚えていませんよ。

本来、駆け引きの場で、最初に大金を拠出すると宣言したお人好しの国があったことをジョークとして思い出す人はいるかも知れませんが。

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私が、温家宝ならこう言います。

「 第一、日本の政治は、鳩山イニシアチブではなく、小沢イニシアチブでしょう? 自分の国のイニシアチブが取れないのに、どうして国際会議でイニシアチブが取れるのですか?」


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白熊パパ

自分は森林再生事業を応援していきます。
温室効果ガスを減らすことで喧嘩しても、吸収する場所が
減少しているのではまったく意味が無いと考えてます。
by 白熊パパ (2009-12-24 00:56) 

笑うオヒョウ

白熊パパさん コメントありがとうございます。
ご指摘の点、その通りだと思います。
森林伐採を初めとする、光合成を行う環境を破壊する行為についての、規制が非常に甘いと思います。
植林事業については、単純にCO2排出量と相殺できる計算式になっていますが、熱帯の樹木を伐採や、焼畑農業の規制については、途上国の経済活動に干渉する事になるため、難しいのかも知れませんが、国際的に規制する必要があります。
例えば、中国は自国内の砂漠の緑化を日本の協力を得て進めていますが、一方アフリカでは中国企業が材木の伐採を盛んに行っています。全地球規模で考えれば、おかしな事ですが、彼らに言わせれば「同じことを先進国も行って来たではないか」という事になります。

いずれ、この件についても、管見をブログに述べたいと思います。

またのコメントをお願いします。

by 笑うオヒョウ (2009-12-24 11:45) 

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