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【 1時間でスーパーコンピューターを説明できるか? その1 】 [政治]

【 1時間でスーパーコンピューターを説明できるか? その1 】 

民主党政権下での仕分け作業が話題を呼んでいます。かつては財務省の密室で行われていた予算の査定作業が白日の下に曝されるというのはかつてない事で、結構なことだと思いますし、事業の評価と見直し・・というのは民間企業の経営者なら、当たり前で誰でもやっている事です。しかし、そのやり方が乱暴ではないか・・という意見も全くその通りです。

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相手の説明を聞こうともせず、一方的に遮り、些末な事を尋問して追いつめていく方法は確かに乱暴であり、客観的で公平な結論を導く事を最初から諦めているとも思えます。 最初から廃止の結論ありき・・でアリバイ作りの為に担当者に証言させているものと言われても反論できません。

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意見の対立が予想されるなら、説明者と査定者の間に中立の司会者を置いて、双方に発言の機会を与えながら、時計に基づいて進行を遅らせない様に配慮するのが本来です。現代の法廷は裁判官が進行役で、検察官と被告弁護人の双方に発言の機会を与えて進行します。一方、江戸時代の町奉行所のお白洲は、検察官兼判事が、直接被告人を詰問する形です。 今回の事業仕分けは、江戸時代のお白洲の方に近く、公平で民主的な結論を出す方法とは言えません。

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かつて「演説」を日本に導入した福沢諭吉は、討論(Debate)のルールにも拘った人です。つまり、適切で自由な発言機会を両者に与え、かつ反論と質疑の機会も与えるのがdebateのルールであるとしています。 米国や英国に比べて、日本ではdebateの機会も少なく、そのルールについての教育もあまり受けません。 学生運動が華やかだった頃、中学生のオヒョウが何かを語ろうとすると、同級生のナンセンスコールがおきて話せなくなった事がありました。 あの当時は、討論に於いて、相手の言う事など聞かなくてもよい・・・という風潮だったのです。今の政治家にもその考えを持っている人が多い様です。

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事業仕分けこそは、典型的なdebateの機会なのですが・・・・、この事業仕分けの仕組みを考えた人は、あまりdebateの訓練を受けていないな・・と、オヒョウは思いました。・・・・・・・・象徴的なのが、女性教育会館の理事長と蓮舫議員とのやりとりです。この様子は何度もTVで放映されたので、ご記憶の方も多いでしょうが、あの場面で、どちらの肩を持つかで、その人のdebateに対する理解度が分かるというものです。

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片方がお茶の水出身で他方が青学出身だからと言うのではなく、片方が元東洋大学学長で他方が元クラリオンガールのタレント議員だから言う訳じゃないけれど、この分野(男女共同参画や女性の教育)についての専門知識では、この理事長は蓮舫の適う相手ではありません。

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だから、専門知識の議論になれば負けると分かっているので、蓮舫はまともな討論を避けて逃げたのだと思います。矢継ぎ早に蓮舫から繰り出された質問は、利用率だの、天下り人数だの、人件費だのという、回答が数値で示されるものばかりです。査定人たちは「1時間しかないから、てきぱきと質問する必要があった」と言いますが、それなら数値で示される情報は予め書類で提出させ、それをサーベイして置くべきではなかったか?その場で尋ねるのは時間の無駄です。怠慢はむしろ査定人達の問題です。

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オヒョウがかつて、技術レポートを報告し、かつ報告される側だった頃、報告時には、紙に書いてある事は読むな・・と言われました。しゃべるより読む方が早いからです。聞く側は、一瞬で文書を読み、かつ耳から入る口頭説明の内容を咀嚼し、融合させて瞬時にポイントを掴まなくてはならない・・とされました。それができなければ、管理職あるいは査定者の資格は無い・・と言われました。それでも技術報告会は何時も時間をオーバーしたものです。

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蓮舫が、査定される側の説明を再三遮ったのは無礼でありルール違反ですが、彼女の気持ちも分からないでもありません。

オヒョウの経験によれば、相手の説明を遮る場合は、理由は3つあります。

1.その内容を既に熟知しており、改めて報告を受けるに及ばないから、遮る。

2.内容が理解できず、そのまま聞いていると、自分の無知が暴露されてしまうので、それを糊塗するために遮る。或いは不安・不愉快だから遮る。

3.本当に時間が押している。

遮った本人の様子を観察していれば、遮る理由が、上記の1,2,3のどれかは、自ずと分かります。 蓮舫の場合、明らかに2であり、かつ、てきぱきと案件を処理している様子をTVカメラに映すというパフォーマンスもあったようです。

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パフォーマンスと言えば、数千件に及ぶ、事業の中で恣意的に数百件を選び出して、お白洲で議論しTVで放映するという事自体、パフォーマンスです。

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査定人達は、各分野については素人ですから、事業の本質には踏み込まず、天下りに甘い汁を吸わせる温床になっていないか・・・?という観点からチェックするしかありません。 性悪説に立って審査する訳ですが、前政権時代に決めた事、或いは官僚が決めた事だから、基本的に全て悪である・・・という前提は、選挙前から民主党が明らかにしていた考えであり、その点では平仄が合っています。

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しかし、専門家じゃないから中身には踏み込まずに、仕分けをする・・というやり方には、やはり無理があります。特に先端科学の分野である、スーパーコンピューターの開発予算やGXロケットの開発予算についての審議には問題がおおありです。 その内容については・・・次号で。


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コメント 4

Dr.Y.

事業仕分け、科研費予算も削られるのか?、とみんな心配していますが、私はパフォーマンスと思いつつ拍手喝采です。自民党政権がそんなに良い物だったら、なぜその時にできなかったのか?、とさえ思います。
フェミニストおばあさんのKMさん、これまでずいぶん(過分に?)尊敬されていたのに、あの数秒のニュース映像で、立派な過去が台無しになった、と私は思います。まあ、KMさんの本は読んでいないし、これからも読むつもりがないので、その過大評価という印象は、私の中でこれからも変わらないでしょうが。
私が連想したのは、学会とかで発言を許されると際限もなくしゃべる人。あの場で、別に専門家としての識見を求めて呼んだのではなく、まして何らかのテーマについてディベートしようという場でもないのに、まあ自分が偉いという自己評価が強すぎたんでしょうね......有名私大の学長になったのだから、少しは自分の立場を含む力学みたいなものが分からないと.....
by Dr.Y. (2009-11-19 08:41) 

笑うオヒョウ

Dr.Yさん、コメントありがとうございます。科研費が削られる可能性がある点、門外漢である私も憂慮しています。その点については、続報で管見を述べさせて頂きます。 さて、ご指摘の老女性学者対、国会議員の討論ですが、オヒョウはどっちもどっちだと思います。民間企業では、毎日あの手の議論を口角泡を飛ばして、行っている訳で、いよいよ役人の世界も、民間に近づいたかな?・・・という思いがあって、微笑ましいとも思った次第です。
by 笑うオヒョウ (2009-11-19 09:13) 

Dr.Y.

すいません、複数回書き込んで。私の研究上の専門ではないのですが、家族社会学を教えることもあるので、KMさんの分野は全くの分野外ではないのです。ですので、余計にこんなに評価されている人が、あんな数秒の映像でこれまでの研究者としての高評価すべてを棒に振った(と私には思えた)ことが、お気の毒なのです。
大体、彼女の今の所属である国立何とか会館に税金を回すかどうか、という場で(ここが、企業の同種作業とは違う)、彼女がジェンダーとかフェミニズムとかについてこれまで築き上げてきた識見を披瀝しようとするのは、完全に馬鹿げているとしか思えません。お門違い。まあ、フェミニズムとか差別問題とかやっている社会学者全般にいえる傾向かもしれませんが、主張していることが完全に正しい(女性差別や民族差別は悪いに決まっているから)、という点が拠り所なんですが......
by Dr.Y. (2009-11-19 11:16) 

笑うオヒョウ

Dr.Yさんコメントありがとうございます。
あの場でアカデミックな言説を述べても全くナンセンスなのは事実です。しかし理事長としては、それしか反論の足がかりがありませんでした。民主党政権は差別や人権に対して敏感なはずですし、連立を組む社民党などは「女性の党」なんていう奇妙なキャッチフレーズを使っていたくらいですから、女性教育の予算を無くすなど、矛盾しているではないか・・と、彼女は言いたかったのかも知れません。 でも予算を削る時にはどうしても矛盾が露呈するものの様です。 これは民間企業も同じです。

by 笑うオヒョウ (2009-11-19 12:02) 

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